怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

早めに出るつもりがそうはならず、のんびり目の出発。

南海で和歌山市駅に到着。南海の南半分は未知の領域だ。駅前は少し南国のような空気感があり、なんとなく台湾の田舎のようでもある。人はあまりいない。

まず和歌山県立近代美術館へ歩く。日曜なのに人出はなく、どうにも寂しい。これまで行ったのはJRのほうばかりだったので、こちらからのアプローチは初めてでなにかと新鮮だ。和歌山城横の美術館も閑散としている。510円で特別展を観れるからずいぶん安い。「LOVE (your) LIFE! まいにちがアート」というタイトルには期待ゼロだったのだが、これが意外といい。名作傑作といえるものはないのだが、見応えのある作品を組み合わせて、その連関がいい。だから見終わってどの作品がとはならないのだが、不思議に満足感がある。この辺、学芸員の腕がいいのだろう。また、おそらく方針として大衆におもねった集客ありきの企画をしてないのだろう。公立美術館かくあるべし、の見本のようなものだ。応援したくなったし、単に見たいので、また来よう。しかし気づくのが遅すぎたね。

お昼ご飯を食べようとしたが、ランチタイムを過ぎてることもあってパッとしない。結局ヒスイにたどり着き、またサンドイッチとコーヒーになった。日曜だからか、娘さんらしい人が手伝っているが、それでも主力はおじいちゃんおばあちゃん。相当しんどそうだが、頑張っている。アイスコーヒーをホットと聞き違えるのはご愛嬌。そういうのも込みのこの店だ。自家製ケーキセットも美味しそうだったので次こそは。

またスマートボールをやってみるが、やっぱり景品引き換えのやり方がわからず。名も知れぬチョコレートが欲しい。

歓楽街の端くれみたいなとこを抜けて天王新地へ。聞いていた通り、もはや残骸としか言いようのない、零落した姿を晒している。それでも数軒は営業中のようで、常連さんだとかはそれなりにいるんだろう。あちこち更地も見えるので、ここもいずれはなのだろう。間に合った、のかな。

歩き回ってさすがにくたびれたが、まだこれからだ。ぶらくり丁やあちこちを歩く。衰退してゆく街だ。江戸時代から続いた老舗家具屋の閉店セールなども見てしまう。

お昼がサンドイッチなので早々に空腹になり、公園で軽く満たし、また歩く。

だんだん暮れてゆく街。曲がり角の先に何があるのか知らない街。そんな道をただ歩く。それが僕だ。消えてゆく街と消えてゆく僕。消える前に、その空気に浸りたい。何があるわけでもないただの街だが、それが僕の居場所だ。

真っ暗になり、店が閉まる前にラーメン屋でラーメンとビール。日曜の夜、お客さんはほんの数人だ。

少し酔って歩く。ぶらぶらと、足はふらつき、荷物を落とし、ただひとりで。和歌山なんて近所もいいとこで、日帰りできるのに泊まるなんて馬鹿げてるから、夜中に歩くことが満ち足りる。馬鹿なことってなんて楽しいんだろう。すまんな。

大きな橋を渡り、目指す快活CLUBに到着。風に吹かれ橋から見る夜景は吸い込まれるような色をしていた。

快活CLUBは静かで広くて居心地のいいネットカフェ。無料のシャワー室がきれいで広々しており、ほんとにいいのかな。すぐに就寝。