怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

紀伊半島の旅4日目

朝早くネットカフェを出る。まだ雨が降っている。
海沿いの道を西へ歩く。
古い市営住宅などが見える。こういう古いアパートというのは、人の生活感の強烈な匂いが手まねきをする。
西へと進み、屋敷町のあたりを歩く。町名にもなってるくらいだから本当に屋敷町で、昔はもっと屋敷町だったのだろう。今は生気が薄れている。
縦横に歩いたのち、巴里という喫茶店でコーヒーを飲む。クラシックの流れる豪奢な内装で、屋敷とあわせると、この田辺がかなり繁栄した時代があるのがわかる。この喫茶店ができた頃とは時代が変わったのだろう。
田辺の街を再び歩く。貧しげな地区も、長屋も井戸も、歩き見るにはいい。
ここから和歌山へは電車の本数も多い。新駅舎で御坊へ向かう。
御坊の駅はおそらく町外れなのだろう、寂れているというより殺風景だ。市街地の方向へ歩くが、駅が離れているから結構遠い。遠浅を干拓したのか田んぼを埋めたのか、平坦で歴史のない道が続く。
つまらないかなと思ったが、そういうところでも楽しみはある。
カラオケドナルドという、閉店したらしいカラオケ店の廃墟や、東宝ボウリングというこれは営業中らしいがどこか興味を惹かれるものもある。
紀州鉄道も始めて見た。駅で高校生が吹奏楽の練習をしていたり、グッズを売っていたり、使われてない車両で弁当を売ってたり。いろいろ努力しているようだが、この場所では無理がある。僕もこういうローカル線は好きなんだけどな。
農道を歩いて駅へ。単線の踏切がまた趣深い。
歩いてると充電が切れた。ケーブルもだが、iPhoneも最近様子がおかしい。まだまだ使わないといけないのに。
駅前の土産物屋で職場用のお土産を買う。こういうとこで土産物なんか買う人がいるんだろうか。いるんだろうな。誰なんだ。
あとは和歌山へ。別世界のような賑わい。駅前に堂々とデパートがある街は久しぶりだ。和歌山駅前はこれといって何もないのは以前の田辺帰りの経験でよく知ってるつもり。
とことこ歩いてぶらくり丁あたりへ行き、和歌山の目的地である喫茶ヒスイへ。幸い営業していた。
水を運んでくるのも大儀そうなおじいちゃん、腰が痛いともらすおばあちゃん。デイサービスでももっと元気そうな人がいるんじゃないかという身体だが、それでも精一杯営業している。
御坊がなにもないところだったから、ここでなにか食べるつもりだったが、あれこれ料理してもらうのがちょっと申し訳なく思うのだが、営業してるからには注文はあった方がいいはず。コーヒーとサンドイッチを注文した。セットというのはないので結構高くつくが、苦労からすると安すぎるくらい。
このヒスイ、内装は田辺の巴里と同じく豪華で、特に2階と天井から下がるシャンデリア、ステンドグラスが美しい。
ご夫婦の様子からみると、相当しんどいはずで、いつ閉めざるを得なくなっても不思議はない。
商売というより生き甲斐として、そして僕が帰るころに入ってきた二人連れの常連さんなどのためにも、開け続けているんだろう。再訪できることを願う。
その後ぶらくり丁を散策。レトロ度の高いエリアで満足だ。大通り沿いに中古レコード屋があったように記憶しているが、そのあたりにはなく、商店街のなかにクロスロード・レコードという中古レコード屋があった。移転したのか別の店かはわからない。中森明菜「不思議」、山口百恵横須賀ストーリー」、シモンズ「恋人もいないのに/シモンズの世界」それぞれ200円。
あとは駅に戻るだけなのだが、途中でスマートボールの店を発見。正直なところルールはろくにわからないのでただ弾くだけなのだが、何回か穴に入って玉も結構増えた。上手くなったら100円でだらだら遊べそう。面白かった。
和歌山駅からは天王寺まですぐ。改札を出るとき、記念の切符持ち帰りをお願いした。
久しぶりの帰宅。ありがとう。