怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

思ってたより遅めに家を出て、駅の窓口でオーダーしたところ、近郊区間であることが発覚し切符を作れず。そういえばそうだったか。不覚。せめて最初に確認しておけばよかったのに。

そんなわけでカードで改札を通ったが、わずかに乗り遅れ、結局永原に到着したのは予定の1時間後。ついてない。

ついてないのは持ち物もで、携帯の充電コードを忘れたので乗り換え駅で100均に足を伸ばし買い込む。何やってんだよ。まあいいけど。

まあでも天気はいいし、元気よく歩き出す。サイクリングの連中が多い。バイクもたびたび通り、歩いてるのは僕だけだ。祭をやってる集落を通り過ぎ、1時間ほど湖岸を歩いて昼食。用意しておいてよかった。なにしろ自販機すらないから、向こうに着いても食べ物があるかどうか怪しい。

さらに1時間二車線道路をとことこ歩いて菅浦に到着。琵琶湖の眺めと散り際の八重桜が美しかった。これで車とバイクさえなければな。

菅浦は小さな集落で、道といってもそう多くはない。縦横に歩いてもたかが知れてる。意外なくらい皆々がしっかり暮らしているのが見てとれるが、それでも放棄された家屋はある。空き地もある。この長く続いた集落がこれからどうなってゆくのか、考えてしまう。小さな集落で皆顔見知りだろうから、僕などが歩いてると迷惑だろうが、今日だけは我慢してくれという気持ち。ただ琵琶湖のサーファーなのか観光客なのか、部外者はそれなりに歩いてるから慣れたものなのかも。古い名も知れぬ神社と、近代になって集合された須賀神社があったので参拝。

須賀神社はかつてこの地に流されたという天皇を祀ったもので、さっぱり小綺麗な感じの良い神社。大きくはないが手入れが行き届いており、皆で守り続けているのだろう。特徴的なのは、手水舎から先は土足厳禁ということ。初めて見た。スリッパが用意されているが、昔は裸足で石段を登り玉砂利を踏みしめたのだろう。ろくに調べもせず来たのだが、なかなかいい体験になった。

そんなわけでそろそろ出発。駅まで2時間の道のりだ。

帰りは行きより面白みはないが、ただ歩く。今夜の段取りなどを考えつつ財布に手をやると、ない。おかしいな他のポケットかそれともリュックかとあちこち探したが、ない。さすがに顔色が変わり、リュックをひっくり返すが出てこない。どこかで落としたに違いない。賽銭箱まではあったから、それからどうなったか。ともかく来た道を引き返し、路面を見ながら心当たりを考えてみる。1時間歩いた後でポケットからこぼれることはないだろう。落ちるなら歩き始めて少ししたあたりだ。つまり菅浦のどこかだろう。そこに着くまで1時間ということは2時間路上に落ちているわけで、無くなってる可能性もある。菅浦のひとは盗んだりしないだろうが、他所者のサーファーはわからない。歩きでは急ぐこともできないからやきもきする。警察にも電話したが届けはまだないとのこと。そもそも集落に交番がないので、もし届けられても取りに行くのが物理的に難しい。それにしても警察の応対ときたらけんもほろろで、憎しみが湧いてくる。

一番可能性がありそうなのは須賀神社の手水舎前だろうか。靴を履くためにしゃがんだ時にポケットから落ちたのかもしれない。

結局路上では見つからず、菅浦に着いた。神社後に集落内を少し歩いたのでそのルートを探すのが正攻法かもしれないが、ここは須賀神社の坂道を上る。この時点で永原駅を出て5時間ほど経っており、疲労困憊だがそんなことは言ってられない。きっとあるはずと手水舎まで着いたが、ない。

もうだめだと倒れそうになったが、とにかく探すだけだ。疲れた身体で石段を登る。するとなんと、脇社の賽銭箱に財布が立てかけてある。よかった。よかった。助かった。

ここに置いたわけがないので、誰か見つけた人が置いてくれたのだろう。神様の前なら盗人も手を出しにくいと考えてくれたのかもしれない。助かった。

その方にお礼する方法はないが、須賀神社のお陰なので、賽銭を弾むことでお礼にした。この神社が末永く栄えますように。

さてこれで電車にも乗れるし大丈夫だぞと意気揚々永原駅まで歩き始めたが、まあさすがに足が痛む。足というか股関節だな。経験したことのない、ものすごい痛みで、早足どころか休み休みでないと歩けない。その休み休みもなかなか厳しい。これを2時間だ。空腹も襲ってきたが、菅浦を出るときに見つけた自販機でジュースを飲むくらいしか手がないし、股関節の痛みは増すばかり。あと1時間ほどとはいえ、その1時間が遠い。ここへきて、とうとうヒッチハイクが頭にちらつき始めた。

サーファーの車はたぶん止まってくれないだろう。お願いするなら地元のひとたちだろうが、そうそう走ってこない。たまに来ても勇気が出ない。なんだよヒッチハイクって。アメリカかよ。

しかし恥ずかしいだのと言ってられない。ほんとに歩けないのだ。業務用らしきバンが来たので思い切って手を挙げた。車は止まってくれて、運転してたおじさんに頼むとすんなり乗せてくれた。九死に一生だ。

この車は誰を迎えに行くところだそうで、そこまでならとのこと。もちろんありがたい。駅まで20分ほどのところで降ろしてもらった。大きな声で礼を言った。車が見えなくなるまで頭を下げた。

そこから20分、辛いが車のシートが休憩にもなってるし、この距離なら頑張れる。途中2回休んだが、なんとか駅にたどり着いた。おじさんありがとう。

電車に乗り込み、近江今津で乗り換え。終着駅として名前は知ってたが、ほぼ通路で成り立ってる不思議な駅だ。今回は外に出る時間も体力もないので改札から外を覗いただけだが、何もなさそう。いつかここにも来よう。

そして長浜到着。瀕死の足だが、少しは回復してるのでなんとかなる。なんとかなるが、歩き回るのは無理。

とりあえずラーメン大学という店でラーメンと餃子とビールで慰労会。ほんとにお疲れ様だよ。ラーメンはどうってことない味だが、このどうってことないラーメンが人生だよなって気がする。今の自分には凝りに凝ったラーメンより、このなんでもないラーメンがいい。そして餃子は美味かった。

以前にも泊まったネットカフェに行くと、近くにブックオフが見えたので巡回。ゲットなし。

ネットカフェで爆睡。そりゃ寝れるわ。