怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

新潟より

寒くて夜中に目が覚める。寝る前から嫌な予感はしていたが、こんなにエアコンを効かせることはないと思うのだが。毛布などの準備をしっかりしていてよかった。
朝はおおむね予定通りに起床。シャワーをお願いに行ったら待ち時間がかなり長く、仕方ないので無しで。寒かったおかげで汗はまるでかいてないし。そんなわけで9時間パックで出て、料金は入会金合わせて1930円。
列車の時間まで駅前をうろうろ。廃墟化したホテルや広大な駐車場ががあったりする。走ってる男の人に「コンビニ知りませんか」と聞かれたが僕もその周辺では見てなかったので何の役にも立てず。
7時前の列車に乗り弥彦へ。乗換駅の吉田で30分ほど時間があるのでここで朝食を考えていたが、駅まわりは朝やってる店など一軒もなかった。当てが外れるのも旅のうちだし、そもそもそんなに当てにもしてなかったが空腹にはなる。
日曜の朝、ひと気のない街は絵の中のようで浸れる。
弥彦に到着。神社を模したような風格ある駅舎が壮麗だが、一歩出ると廃墟となったホテルがある。駅前のホテルってどこも大変そうだ。実際のところ、もしここに泊まるなら神社近くの温泉街のほうが明らかに吸引力があるわけで、駅前なんて泊まりたくないですよね。
なかなかの雨の中、弥彦神社へ歩く。よくあることだが歩いてるのは僕一人だ。そしてここも朝からやってる店などない。地元の人は家で食べるし観光客は宿で食べるから。
彌彦神社に到着。閑かな森のなか、参道を歩いてゆく。人はまばら。雨が降っているおかげですべての喧騒が空に吸われていくようだ。やかましい子供の声も気にならない。玉砂利の向こうにある本殿は荘厳で、なるほど新潟随一の神社と見える。時間もよく、神職さんが装束に身を包んで箒で掃き掃除の最中で、その図柄もまた見ごたえがある。無駄口なく、黙って務めている。
それが終わると今度は本殿に入って祝詞。大声ではないのだが数十人が唱える祝詞が本殿に響いてこれも見ものだった。この彌彦神社では二礼四拍手一礼が作法と聞いたが、この祝詞を見ていると途中で二礼二拍手一礼、最後に二礼四拍手一礼だった。9時から10分ほどの儀式だったが、折よく見ることができて幸運だった。早くネットカフェを出てよかった。
帰りは中村屋という菓子屋でお土産の温泉まんじゅう。バラ売りもしていたので出来立てを二つ食べたがなかなかおいしかったし少し空腹も解消された。
帰り道、湯神社というのもあるようなので寄ろうとしたのだが、意外に遠いし雨は強いしで断念。ただその代わりに弥彦公園を散策できた。
ここからどこか新潟の街をもう一つ訪ねようかと思ったのだが、乗り換えの都合などを見ると意外とそこまでの余裕はなく、まっすぐ土合に向かい途中駅で下車することに。
東三条で下車、華園という中華料理屋でこのあたりのローカルグルメらしいカレーラーメンを注文。880円でご飯も付いて、朝昼兼用にはぴったりのボリューム。カレー中華そばはジャガイモやニンジンがごろごろ入っていかにもカレーな一方で、ネギが入るところはカレーうどん風、肉はチャーシューという混合スタイル。おいしいが自分でも似たようなのがなんとか作れそうな気になるのは仕方ない。イチオシは姉妹ラーメンらしいし、地元のお客さんの注文もバラバラだったのでここではカレー中華そばというより何でも頼めばおいしいのだろうと思う。
街をぶらついて今度は長岡へ。
長岡は昨日行ったのだが、ほかにというと田んぼの真ん中の駅しかないからしょうがないのだ。
ただ今日はやっと雨も上がったので行動範囲が広がった。微妙に廃墟が点在する夜の街を歩き、ナイトウェアの店では店主らしきおじさんがテーブルの上で寝てるのを横目で見、という感じ。長岡は市役所がやけに立派でイベント施設も兼ねているようだ。
ついでに駅裏にも足を伸ばして、水上行きの列車に乗る。
あとからあとから客は増え、満席で立ってるお客さん多数。しかも帰省絡みで荷物が多い人がたくさんいるのでなかなか大変なことに。
そんな中、僕はひとり土合で下車。水上行きは地上のホームで、山の中にあるごく普通の無人駅だ。案内に従って改札まで行くが、人っ子一人いない。駅もかつては駅員さんがいたのかもしれないし改札の通路も3つほど作られているが、全くの自由往来。建物には緑が這い寄っていて、廃墟としか思えない雰囲気だ。トンネル駅という以前にもうこの雰囲気だけで価値がある。
長岡行きのホームをめざし長い通路を歩いてゆくと、川を渡ったところに階段があった。462段の階段が5段ごとに踊り場を設けて一直線に続いている。両側には地下水が流れ、ちょっと洞窟探検の趣がある。降りるのは楽々で5分もかからない。ホームに着くと温度がさっと数度下がったのが感じられた。
駅のホームはしっかりしたコンクリートで、なにしろ人がいないからゴミもないし汚れてないし、ライトが無為に煌々と闇を照らしている。いったい何を考えてこんなところに駅を作ったのか、地上のホームだけで単線でいいように思うのだがそれにしても面白い。こんなホームにもちゃんとトイレがあるし待合室もある。
さて帰りは見上げると果てしない階段。大丈夫かと思いながら上がってゆくと、もちろん大変だが特に休憩することもなく6分41秒で登り切った。表示では10分とあるが、その先の通路を通過する時間や荷物が多かった場合を考慮すれば確かにそんなところだろう。しかしこれお年寄りには無理だな。さほど多くもない近隣住民も、これじゃ車に乗るわなと納得。
実は土合駅は観光として訪れる客は多いようで、僕が行った時も入れ替わりで数組の姿が見えた。しかしみんな車で来てたからJRには一円も入らない。それもちょっとなあ。駅前には廃屋となった元食堂が見えたが、まあそうなるよなあ。
バスで水上駅へ。ほんの20分ほどの道のりだが610円の料金はまあそうだよねというところ。途中、同じくトンネル駅の湯檜曽駅も見えたが、こちらは新しい駅舎だし周囲も建物が並んでいたので実需があるのかもしれない。
水上ではまた時間がなく、路地を少し歩いたのみ。旅は事実上ここで終わりなのでビールでも買って車中で飲もうかとも思ったが、そうしなくてよかった。10分ほどでどんどん乗客が増えてゆくとは思ってなかった。
そして喧騒に帰ってきた。短いし雨にも降られたが、この時期にしては暑さにやられずに済んだこともあっていい旅になった。送り出してくれた妻は本当にありがたい存在。
帰宅しオリジン弁当で遅い晩御飯を食べて温泉まんじゅうを食べる。疲れた。
列車内でもうつらうつらはしていたのだが、あっという間に就寝。