怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

文豪の墓

遠くは無理だけど近くなら、というわけで前々から考えていた上川霊園ゆきを決行することに。幸い曇り空で涼しいし、雨もせいぜい小雨のようだ。
新宿から中央線で拝島まで。途中、眠たげな目をした透明感のある少女がドア脇に立っていて目を奪われた。友人と大騒ぎなどではなくひとりというのがまたいい。願わくばずっとそのままでいてほしいのだが。
乗り換えてた先はローカル線で、おばあちゃんがペットボトルを忘れて降りようとしたので手渡すと笑顔でありがとうといわれてうれしかった。
秋川駅に到着。それなりの駅前だが、雰囲気はもう完全に田舎の駅で、実にのんびりとしている。キャピキャピした女の子グループやカップルがタクシーに乗り込んでいたが、どうも遊園地か何かがあるようだ。
僕は少し駅前をぶらついてから霊園の送迎バスに乗り込む。ほかに3組の客が同乗。皆さん四十代くらいで険しそうな顔をしている。しかもそのうち二組はどうやら相続関係の話し合いを控えている模様でよそよそしい雰囲気。他人事だから面白いが、自分のこととなると大変だなこれ。
霊園に到着。園内に循環バスが走ってるらしいが、そんなものを待つより歩いたほうが楽しいのでぶらぶらと。坂はあるがほどなく石川淳の墓がある区画に到着。整然としているのですぐに見つかった。
著作を思い浮かべながら手を合わせる。
雨が上がったあとで澄んだ空気に濡れた墓石が美しい。雑草は少し生えているが十分に手入れされている。裏面の墓誌を見ると石川淳と奥様だろうかの名が刻まれている。ご子息などもいずれこの墓に入るのかもしれず、そうなると石川淳の墓という感覚も段々薄れてゆくのかもしれない。
続いてその先にある安部公房の墓へ。ひときわ目立つ墓石がある。ほかの墓と同じ広さの区画にひときわ小さな墓石。玉砂利に縦に据えられた自然石は何の銘もなく、知らなければこれがあの安部公房の墓とは窺い知れない。しかし凡人俗人の墓ではないことは容易に知れる。故人の遺志かどうかも知らないのだが、しかしまぎれもなく安部公房の作品と考えたい。
送迎バスは一時間ごとでちょうど出たばかりなのでどうするか。秋川まで歩けば1時間ほどだからバスを待つのと変わりないが、別の駅なら30分とわかり歩き始めた。
途中トンネルがあり排気ガスが心配だったが、案外大したことはなく、また下り坂なので調子よく歩ける。難なく武蔵増戸駅に到着。秋川には有名なラーメン屋があると聞いて少し楽しみにしていたのだが、無理して行くほどラーメン好きでもないしまた調子を崩しても困るし、順路優先で。武蔵増戸は秋川以上に田舎でいい感じだった。
帰りは逆コースから。こちらのほうが安く帰れた。
空腹で松屋でプレミアム牛めし。言うだけのことはあって、以前に比べおいしくはなっている。しかし牛丼に380円出すなら、弁当でも食べたほうがバラエティがあってよい。出先で弁当という選択肢がないならともかく、自宅近くでは意味がないな。
苦労してRIJの予約をし、もう一度新宿へ行き、用事を済ませる。
帰宅して夕食の買い物。鳥手羽元のカレー煮とブロッコリー。手抜きにしてはまずまずか。
夜、妻の仕事先の女の子が風呂を借りに来る。RIJに10-FEETを見に行くとか。大丈夫なのかどうかわからないが気を付けて。
風は強いが雨はさほどでもない。