怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

春の東京4日目

出発前の夜とまるで同じく、ろくに寝れない。確かに少し早起きはするが、極端なわけでもないのに。睡眠不足もこたえるし、風邪の治りにも影響する。全然よくなってない。やれやれ。

僕は6時過ぎからシャワーだったが、たぶん5時ごろからシャワー浴びてる奴もいて、なにも気にすることはなかった。トイレシャワー洗髪歯磨きで約30分。急げば時短はできるが、結構かかる。

いくつか調べものもして7時すぎに宿を出た。スタッフはもう掃除など始めてて、清掃のお願いをすればよかった。シャワーがちょっと詰まり気味なんだよな。

目をつけてた喫茶アーモンドへ。実は地下の店で、中に入るとレトロというより古色蒼然雑然とした喫茶店で、マニアが持ち上げないこういう喫茶店がまたよい。この見栄えのしなさ、気取りのなさこそが喫茶店

モーニングは420円、トーストサラダソーセージ目玉焼きにコーヒーがついて、少食ならお昼ごはんにもなりそうなボリュームで味もいける。コーヒーはミルクを入れて飲むタイプだろうな。昔の喫茶店はブラックで飲む客のほうが少なかったから、そういう味になってる。

普通に食べてたら20分くらいかかったので、のんびりする間もなく神田へ。

順調に乗り換えて佐倉へ。乗り換えがあるので寝るに寝れず。まあ眠いときってなかなか眠れないもんだ。

佐倉駅の到着からバスの発車時間まで3分しかないので電車が遅れないかヒヤヒヤしたが幸い定刻どおり。乗り場までも1分くらいで行けたし、バスが2分遅れて来たので余裕だった。DIC川村記念美術館到着も定刻の2分遅れだから所要時間は予定通り。スイスイとはいかなくてこれだから、帰りもなんとか電車に間に合うかもしれない。

バスは922分に着いたが開門は30分なのでにこやかなお姉さんの案内でのんびり待つ。小雨模様だが、その分静かで空気もきれいだ。こんな田舎に美術館を作られても行くのが大変で困るが、たまにはこういうとこまで足を伸ばすのもいいか。

開門から一番乗り、特別展会場から回る手もあるが素直に常設から。ここは3度目だが、いくらかの展示替えはあるし、日本画が売り払われた跡も見たかった。

日本画の部屋はジョージ・シーガルのガートルードなどが鎮座し、コレクションを少々売ってもビクともしない質を示している。が、ちょいちょい売ってるところをみると、まだあるかもしれない。元日本画ルームの奥にある茶室が虚しいが、これもたぶんいつか閉鎖されるんだろう。先行きは暗い。

寝不足で名品を本当に味わえてるのかわからないが、まあそこはそれ。あまり興味のないものは飛ばして、ロスコは多少時間を使い、ここは海外ばかりだと思ってたら瀧口修造は持ってるのね。

そしていよいよ「ジョセフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」。

初期のコラージュからしてハイレベルで、そこから「箱」への序章となるべきピルケース、そして圧巻はやはり箱。20点ほどあるだろうか。国内にあるものがおそらくほぼ集まったこの展示、今後そうそうあるとは思えない。もちろん箱の裏もしっかり見せているし、ピアノに至ってはヘッドホンでしっかり音も聞ける。しかもノイズキャンセリングというから心憎い。ヘッドホンをかぶった瞬間、音が消えてオルゴールの音に包まれる、奇跡のようなひと時。

また見どころのひとつは、コーネル の手紙。内容より、コラージュ魂が炸裂しと、作品レベルの美しい手紙たちは必見としか言いようがない。まさに至福の展覧会。

映像作品は全部見てる時間はないし、そこまでするものでもなかろう。だいたい見ればよし。

それなりに見尽くしたところで2時間あまり、バスの時間になった。ショップを覗くと、図録はまだないが予約すると10%引きだというので紙をもらい、バス乗り場へ。庭を見る時間はなかった。小雨なので美しかったろうが、まあ仕方ない。やれる事をやるしかない。このあと銀座でイベントに参加するので、もうギリギリなのだ。もしバスが遅れたらすべておじゃんになるほどにギリギリなのだ。

乗ったバスは順調に進んで、遅れるどころか定刻前に佐倉駅到着。ホッとした。

妻へのお土産にぴーなっつ最中を買った。おいしいのかな。

そこからはまた東京へ。混んでるのでなかなか座れず、またも眠れず。まあ座ってからもそんな気配ないんだけど。またこのまま夜まで頑張るしかなさそう。やれやれ。

有楽町で降り、わずかな時間に吉野家で燃料補給。ほんとに時間がない。外国人の店員さんが外国人客を英語でさばいてて見事だった。発音は日本語のそれと同じく、訛りは相当あるが、なにしろシチュエーションが決まってるからそれでも充分通じるようだ。日本人の店員もしっかりしようぜ。

急いで食べて集合場所のオメガ前へ。

TALIONの「既存の展示等を改変 : RECALLS」展のイベント、《東京でひとつ、銀座でひとつ》。

イベントはいいけどまさか参加者は僕だけじゃなかろうな、いや数人の中に一般人が僕だけというのも気まずいぞ、と思いつつもこの面白そうな機会を逃すわけにはいかない。まあでもするっとまぎれこんで、定時にスタート。

イベントはまず銀座を走るところから。東京オリンピックをイメージしてという、そう来たか。観光客多数のなか、キュレーターというより首謀者と呼んだほうがしっくりくる成相肇、橋本聡両氏がガイドするのを聞きながらゆっくり走る迷惑な集団。迷惑だろうが、この身体性も刺激的だ。銀座を重層的に解説し頭の中の銀座を改変してゆくこのイベントの楽しさは言葉では表現しづらい。だからこそのイベントであり、だからこそ無理矢理参加したわけだ。ガイドの内容は銀座の歴史に関する諸々なのだが、そのひとつひとつが重要というよりは、それを聞くことで新しい銀座が生まれる、その感覚が大事なのではないだろうか。銀座を数周して、最後に銀座の裏スポットをけんかして、プロントの1号店へ。こういうオフ会みたいなやつ、心底苦手だけどこういう経験もしておかないと。僕と同じく一般人で参加してた人がいたのは助かった。向こうもそう思ってたかも。

最後にもう少し観光し、徐々に人が減るので僕も離脱。ありがとうございました。

予想以上に遅くなり、まあもっと早めに切り上げる手もあったわけだけど、見たい展示もいろいろある一方でイベントの面白さもあり、しかし時間は有限で。難しいね。

EUKARYOTEでユアサエボシの個展。架空の画家を設定し、という凝った作りのアートで、凝り方は面白いのだが、面白がり方が難しい。いや、趣旨はちゃんとわかってるんだけどさ。

あまり時間はないが、スパイラルでクマエキシビション奨学金を出しててその発表会とかなんとか。若い作家は好きだが、ちょっと方向性は合わなかった。まあスパイラルだからね。

NANZUKAでキャサリン・バーンハート。こういうのいいな。この大きなスペースで、こういうちょっとバカなことやってるのがいい。

ヒカリエの小山登美夫は柏原由佳。これもよかった。

高円寺に移動、とよんちの卵で王卵を買う。どうせ無いと思ってたら6個だけ残ってるとのこと。珍しいな。

アニマル洋子は閉まってた。残念だ。残念だが、まあ古本屋に行けないだけのこと、大したことじゃない。その分時間が余ったのでどうするか考えて思いついたのが、前に行ったカレー屋ネグラ。行ってみると開いてるので食べることにした。少し値上げして1000円になった模様。

食べ終わってからU-haへ。ほどよい時間に到着、目当てのバンドを聞かれたので全部と言ったら嫌そうにそれは困るとか言い出した。知らんがな。実際全部だし、どれも見たことないんだこっちは。しょうがないので一番少ないとこに付けてもらったが、全部と言って嫌な顔したのはここが初めてだ。

そんなこんなで中に入ったが、今日はお客さんが多くて座る場所に難渋する。どうせ満席になりそうだからどこに座ってもいいのだが、良さそうな席は女性の隣で気を使う。めんどくさい。

最初が白と枝というこれは弾き語り。まあまあよかった。

次がどろうみ。チェロは昨日も見たしおりさん。追っかけでもあるまいに。キーボードとボーカルの彼がリーダーだろうか。アコースティックで音の重なり具合がいい、なかなか僕好みのバンド。音源は全部買った。来阪希望。

夢見る港もいいバンドで、これも音源を買いたかったのだがとりまぎれてしまった。次こそは。

最後が棚木竜介と図書館。今日の出演者は全部バンド名がいい。センスがいいとはこういうことか。終わってみれば満足の4組で、どれも見たことないのにこれは昨日に続いての奇跡的な収穫。こういう思いをしたくてライブハウスに行ってんだな俺は。

ひかりのうまで見かけたフライヤーの古本市に行き、まあまあしんどい思いをして「耳袋」黒井千次「」村松「」を500円で。行かなきゃよかった。このあとから迷惑メールが来るし、困った奴だ。

最後に西友で明日朝用の弁当や夜食など買い、駅に着いたらもう終電。風邪でしんどいんだし、サクッと選んでさっさと買いたかったんだよ俺は。ほんとに。終電だなんてさ。

夜半を過ぎ宿に戻る。定住してるらしいおばちゃんに少し面倒みてもらったりして夜食を食べ寝る。醤油がなかったので寿司を塩で食べた。大丈夫だ。

おばちゃんはいい人であった。