怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

春画展@永青文庫

お昼はトムで弁当。
夕方ダッシュで電車に乗る。1分1秒の勝負。まだ帰宅ラッシュ前なので案外電車も空いている。
早稲田に到着し一瞬方向を見失いかけつつ永青文庫に向かう。手前の急坂階段に見覚えがあるが、そういうことを深く考えることもなく登りきったところに永青文庫があった。もちろん行列はなくすんなり春画展へ。中もお客さんはそう多くなく、じっくりと見られる環境。やはり日本画の細やかな筆づかいはじっくり見てこそのもの。春画を見るたびに思うけれども、性器はごくありきたりな誇張でしかなく、個性を出せるような部分ではない。春画としてお決まりの領域としてそこにあるだけで、画としてなにがどう素晴らしいのかといえばそれ以外のところだ。道具立てであったり着物の色彩対比であったり季節感であったり。そういう意味では、春画は単に浮世絵の版画の一ジャンルに過ぎず、特別扱いするようなものではない。あるとすれば、画家自身の楽しみとして存分に腕を振るっているというところだろうか。なにしろ春画としての要素さえ備えていればあとはなにをやってもいいうえによく売れるのだから、これほど芸術家にありがたいジャンルはない。
展示はそこそこのボリュームで、2時間弱で見終えたが、それはほぼ思い通りに見て回れる環境だからこそで、大混雑してたら2時間でも見た気になれないかもしれない。ブームに乗って来たような方々はさーっと見て回るのでおそらく1時間もかかってないのかな。ああいうペースに合わさせられたら困るなあ。
なお館内のそこかしこに細川家の蔵書などがさりげなく飾られ、第1展示室には代々お輿入れされた長持も足元にこっそり展示されている。監視員さんに長持のことを聞くとうれしそうに色々教えてくれたので、やはり本来の永青文庫への矜持があるのだろうと思った。
最後に別棟のショップで図録購入。背表紙がないのは和綴じを思わせるので良い仕掛けかもしれないが、表紙が手抜きに見えるのは気のせいか。それともなにか意味があるのだろうか。
帰りは雑司ケ谷まで歩いたが、ここであの急階段に見覚えがある理由が判明。以前通ったことがあるから当然のことで、この永青文庫村上春樹が短期間住んでいた和敬塾の隣にあるのだった。そうか、以前に来たときには永青文庫に気づいていなかったのか。
電車に乗り帰宅。妻が待ちかねていた。ごめんなさい。