怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

茨城東京1

眠いがきちんと起きた。何しろ今回は飛行機だから寝過ごしたら終了だ。荷物を整え、予定通り出発。いつも妻は目を覚まして「いってらっしゃい」と言ってくれる。僕ならいつも熟睡してるのに。
小雨だが傘をさすのが鬱陶しいので濡れながら駅へ。予定通りに到着し、電車を乗り換えながら神戸空港へ。乗り換えを間違えるとこれまた終了なのでここは注意を払った。
電車はこんな早朝でも結構混雑しており、しかし予定通りおにぎりを食べておく。機内で寝るためにはそれしかない。
神戸空港はわかりやすいというよりコンパクトで、ラウンジにギリギリまで居ても大丈夫。そんなわけで初のスカイマークに搭乗。LCCではないので席もゆったりしている。窓側なので寝るにはもってこい。飛び立ってすぐに爆睡した。ドリンクなどがあったのかどうかもわからないまま、茨城空港に到着。
茨城空港もこれまたコンパクトな空港で、バス待ちの時間は土産物売り場で費やした。売れずに困ってる郷土産品の爺ちゃん、気の毒だ。面白かったのは戦闘機関連の充実っぷり。プラモデルなんか誰が買うというのか。
無事バスに乗り込み、一路水戸駅へ。ここでも爆睡し、寝不足はすっかり解消された。見覚えのある水戸駅裏に到着。それにしてもずいぶん充実した駅ビルだ。駅ビルは立派だが、水戸芸術館への道中はシャッターもちらほらで、ここも大資本が個人商店を食い尽くしてるのかという思い。それは消費者の求めでもあるんだけど。心配してたミナミ食堂は健在のようでホッとした。
10時半過ぎに水戸芸術館到着。平日だし内藤礼の作品を静謐な環境で味わえると思っていたのだが、幼稚園児が集団で見に来ているという大惨事。内藤礼を幼稚園児と一緒に見るのか。幼稚園児は何しに来たんだ。誰が考えたんだこの企画。
いまさらどうしようもないが、幸い最初の展示室ではは自分ひとりで見ることができた。
階段を上がり、廊下を進んで右を向き、展示室を覗いたその瞬間の感動。
とても純粋で透明で、心を映し出すようなその光景。展示室の端まで見通せるこの水戸芸術館だからこその展示風景。その後も内藤礼ならではの作品と展示構成が堪能できるが、なによりもこの瞬間こそがはるばる水戸に来た意味だった。作品をの細々を語るのはどうもやめたほうがよさそうだ。これはそういう展覧会ではない。ひそやかに、ただ訪れたひとりひとりとの対話として存在するものだ。
この展覧会が水戸で企画されたのも、実際に見てみれば肯ける。これが東京なら、あっという間に消費され展示室に空間も光もなくなり、魔法は消え失せていただろう。都市部からそれなりに遠く、近隣住民とある程度の熱意ある人しか来ないからこそできたことだろうと思う。ゆっくりと堪能した。
本来なら図録も買うべきだが、まだできてないし予約もできない。残念だが機会はあるだろう。もうひとつ残念といえば、あいにくの雨天だったこと。どんな天気でもその日に応じた光で楽しめるのだろうが、やはり快晴の日ならどう見えたかは確かめたい。
水戸芸術館を出て、ミナミ食堂でラーメンと半カレー。今日はおばちゃんがいた。老夫婦だけでやってるわけではないようだ。ラーメンは素朴なもので、でもそういうのがいい。常連らしきおじさんと食堂のおばちゃんとの会話もいい。
特急の金券を買い、指定席もゲット。東京から水戸に仕事しに来るサラリーマンで席はかなり埋まっていた。車内販売もあって、これはドル箱路線なのかもしれない。することがないのでここでも爆睡。睡眠過多かも。
品川で下車、まごまごしながら京急新馬場そしてテラダアートへ。それにしても雨がめんどくさい。
KOSAKU KANECHIKAで安野谷昌穂。カラフルで光に満ちた近作はには違和感があるが、振り絞るような感性に満ち溢れている。前回やはり思い切っておくべきだったかななどと思ったりもする。
3階は永らくURANOがお休みしているのでなぜかなと思っていたら、山本現代含めて工事中で、どういうことなんだろう。気になる。
品川に戻り、馬喰町からタロウナスで秋吉風人「We meet only to part」、Kanzanで「尺度の詩学 」vol.1土屋紳一「TIMELINE」。
今日は一日券など買ってないので、心置きなく都営新宿線に乗ってた。懐かしい馬喰横山の駅だ。辛いことも多かったが、今となっては懐かしい。あんなの全然辛くないあの日に帰りたいとまで言っていいのかな。どうなんだ。
新宿三丁目で降りて、KEN NAKAHASHIへ。階段上るのはほんとにしんどくて、今日は睡眠充分でたいして歩き回ってないのにこれだから、普段の東京行脚ではどれだけしんどいことか。しかしその甲斐はあった。松下まり子「Silent Resistance to Oblivion」には。
本来は油彩の画家だが、大小のスケッチブックに描かれたドローイング。手すさびのようでもあるが、だからこそ作家の本質、作家の内面の一番深いところが露わになっているように思える。会期も今日で終わりだから僕が見てこれはと思うものはおおよそ売れていた。というのも、小さなドローイングは1万円からという取っ付きやすさで、こうなるとこの際買ってしまいたくなるのは当然。価格だけでなく狭い部屋でも飾りやすいということもあるのだろう、若い人を中心にかなり売れているようだった。
渋谷に移動し、バーガーキングで手早く夕食。
整理番号も遅いので開場時間を過ぎて久しぶりのWWWに到着。もちろん良いポジションでは無理だが、中段の中央なら悪くないはずだ。こういうシアトリカルな舞台はやはりセンターで見たい。音もこのあたりが一番いい。ただ誤算だったのは、女優の細かな表情や仕草を見るには遠すぎたことで、もしかしたら下段にすべきだったのかもしれない。
今日の演目は、石橋英子×マームとジプシー presents 藤田貴大の「The Dream My Bones Dream」。主演は成田亜佑美
開演までの音楽も素晴らしいものだったが、本編はそれ以上だった。
「私の骨が見る夢」というキーワードを手がかりに、現実と幻想の境目を彷徨うような構成に目を奪われる。予想以上に演劇の要素、つまりマームとジプシーの色が濃い。石橋英子のライブに色を添えると捉えていたが、むしろ石橋英子の原案と音楽をもとに舞台を組み立てたくらいにすら見える。こういった舞台はあまり見ていないが、だからこそなのか、緊張感に気圧される体験になった。
一夜限りという触れ込みに惹かれた自分ですら、この舞台は再演すべきだと思う。誰も咎めないだろう。DVDでは物足りない。是非とも検討してほしい。願わくば関西で。例えばロームシアターはどうだろう。着席して存分に楽しみたい。
早めの終演で、雨上がりの渋谷をふらついて池袋へ。
明日の朝用に西友でパンを買ってカプセルホテルきぬやに投宿。ホテルの人は昔風にキッチリしたひとで安心感がある。
カプセルも端っこの比較的静かなところを割り振ってもらえてありがたい。ライブが早終わりなこともあり、余裕をもって就寝。