怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

茨城東京2

起きて風呂に入る。昨夜も入ったが、風呂の狭さだけがこの宿の欠点で、狭いうえに湯の循環もほぼされていないから湯船に浸かるのに二の足を踏む。休憩スペースなんかもう少し狭くてもいいから、風呂を広げてほしい。
パンをコーヒーで流し込み、というかコーヒーが不味い。無料だから文句は言わないけど。
まず恵比寿に行き、東京都写真美術館へ。
コレクション展はおなじみの作品も多いし切り口も平凡ではあるが、まずまず不満もない。
「杉浦邦恵 うつくしい実験/ ニューヨークとの50年」のほうは、めまぐるしい作風の変遷のなかで抽象絵画との融合を試みた時期が特に好みであった。
MA2で大西伸明、NaDiffで森山大道「東京ブギウギ」。森山大道は販売用のプリント付き写真集をそのまま展示しているのだが、整然と並ぶと、迫力に欠ける小さなサイズにと見えたやつが俄然説得力を持ってくるのが面白い。売れたやつはポツポツと欠けており、それがどんなものだったのか想像してしまう。また、そもそも半分は展示に出てない。それらの暗点にも興味がいってしまう。
G/P galleryの多和田有希「悪魔祓い、系統樹、神経の森」は、最初よくわからなかったのだが、構成と狙いがわかってきてから俄然面白くなった。やはり見てみるものだ。
六本木でピラミデビルとcomplex665ビル。いつものことだがWAKO WORKS OF ARTではろくに告知もないヘンク・フィシュの展示が行われており、まあそりゃ僕に数百万円の彫刻が買えるわけがないから知らせる意味もないわけだが、しかし実にいいものだった。主に彫刻作品で、それらが原始的な情熱と衝動に満ちており、少し不思議なポージングなどがかえってリアリティを示している。リーフレットはドローイングが主体だったのだが、それもいいものだったので購入。こういうことがあると、ちょっとうれしい。
小山登美夫ギャラリーでは日高理恵子「見ること─ 作品集1979-2017より」。日高さんはかなり前から好んで見ているが、今の自分の志向するところではないのかもしれない。
タカイシイフィルムは山元彩香。
またバーガーキングで昼食。食傷気味だが諸事情ってものがある。
日比谷線で日動コンテンポラリーへ。
ギャラリー小柳は今回もグループ展というか企画性の薄いもので、どうも最近元気がない。ひとつひとつの作品はさすがのものだけど。
ポーラ美術館アネックスを経由して銀座SIX。2度目になるが、そもそも銀座SIXと僕の相性が悪いのだから、そこのギャラリーが相性いいわけがない。
EUKARYOTEで松葉邦彦のコレクションとその作家による新作群という展示。企画の目の付け所が面白い。僕には面白さの伝わりにくい作品ではあるけれども、作品の側ではなく僕の修行が足りないのだなと自覚させるレベルではある。解説付きでじっくり見たら面白くなるかもしれない。
AKIO NAGASAWAで森山大道宇和島」。表参道でブランドショップの上という場所柄でこれを見るのは、倒錯した思いに駆られて面白い。森山大道の本来の資質とは対極にあるように見えて、実は現在は(というか大物になって以後は)森山大道とはこうした存在であり、それがこういう作品群を撮り続け、という思いだ。たとえばこれが奈良美智だとそうはならないのがまた不思議。
GYREで「2018年のフランケンシュタイン バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま」。GYREでは久々のヒットなのではないだろうか。テーマにせよ作品のレベルにせよ、これが無料というのはありがたいこと。解説だけはもう少し工夫が欲しいような気がする。
The Massで「PORTRAIT」展。一貫しているといえばしてるけど、作風から狙いからさまざまにバラバラなので感じるところも少ない。
blum&poeの石川順惠はまあまあ面白い。作家の個性をもっと知っていけばもっと面白くなりそうなのだが。
表参道エリアの最後はfanzaで興梠優悟の作品を拝見。アダルト系の店なので性愛をテーマにはしているようだけど、そのために興梠さんにしては幅が狭い。個展ではないからしょうがないんだけど。なぜかカルピスウォーターのミニ缶を頂いた。美味しかった。展示だけ見にくる変人は少ないようだった。すいません。
そのfanzaと表参道の中間に、旗竿地の一戸建てがあった。通路には草むらが生い茂り、虫が好き好きに鳴いている。小さな良心のように思えた。
ヒカリエの小山ギャラリーで桑久保徹。無題のすごい絵があり、数年前の絵のようだったが、金持ちがなぜあれを買わないのかわからない。200万円なんて格安じゃないか。
と駆け回った末にお久しぶりの7th floorでoono yuuki bandワンマン。メンバーは変わったし、前回wwwでのワンマンとはいろんなことが違うが、だからこそ関西で見れる可能性がほぼないわけで、このチャンスを逃す手はなかった。演奏は手堅く、また大野さんのピアノも聴きものだった。大野さんはMCでなにやら口走った挙句に「違う…そんなこと言いたいんじゃないんだ…」と呻くなど相変わらず愛らしい。いつまでもこのままでいてほしい。
今日も終演は早め。
時間があるので、池袋の中華地帯に潜入しようかと思ったが、予想以上に敷居が高く、しおしおになって適当な串焼き屋でちょい飲み。豊田屋という店で、コレクターズのコータロー氏がよくいらっしゃるとのこと。外国人のバイトが懸命に焼いてくれたが、焼き加減はまだ素人のようである。がんばれ。
またパン買うかと西友に行ってみたら、弁当が安かったのでそちらに。
宿はおおむね満室のようだが、それなりに静かでよい。