怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

皐乃一座企画「影絵の夜会」

早めにお昼を食べて、といってもインスタントラーメンですけど、そのあと六本木へ。六本木といえば森美術館か新世界かギャラリーか。ほかには何もないところだ。
森美術館でいつものようにチケットをカウンターで交換しろと言われるが、何のためにこんな手間を取らせるのかさっぱりわからない。いつか突破してやる。
いつものように音声ガイドをスルーしてディン・Q・レ展。聞き覚えのない名前だが見たことのある作品もあった。森美はこうして第三世界の僕も覚えてないようなアーティストを大きく取り上げてくれて、その点は本当に感服するけど、展望台とセットで券を売ったり音声ガイドをセットにしたりコインロッカーを置かなかったりするのを止めない限り僕の中では永遠に二流。
このディン・Q・レ、前半はメッセージ性と芸術性を見事に調和させ、しかもベトナムのテイストは失わずで本当に素晴らしい作品が続く。後半は失速した感はあるけど、前半だけで十分いいものだった。この大規模個展はやはり大きすぎたようにも思うが、まあいいでしょ。MAMは正直なところピンと来なかった。
ついでにWAKO WORKS OF ARTなど。
会社に寄って少し仕事をするつもりだったがPCが使えずどうしようもない。それでも多少はやることがあるのでまあいいか。
千駄木へ。二度目だけど意外と覚えてるものですんなりカフェギャラリー幻にたどりつく。少し早いのでどうしようと思ったが、半開きのシャッターから足が見えたのか反応したようだったので入れてもらう。
簡単にご挨拶して段取りをもう一度確認。何人来るかにもよるが、なんとかなるだろう。
とかげさんが到着。写真でも見たが、久しぶりのロングヘアーが妖しい。
段取りを打ち合わせといっても30秒もかからない。来たばかりで落ち着かないだろうから必要以上には話しかけずにそっとして、ただちょっと調子が悪そう。
とかげさんの準備もできたので開場。予定時間過ぎに来てた人もいたのが見えたから、遅れたのは申し訳なかったけど時々あるよね、この開場遅れ。
ありがたいことにみんなパラパラと来てくれるので慌てずに済むし、ほとんどお釣りも出さなくて済んだ。念のためお釣りの用意はしておいたけど、丁度の金額を出してもらうのはやっぱりありがたい。わかってはいることだけど、すごく実感する。
予約があと一人残ってるけど時間なのでスタート。僕はもう一人来た時のために立ったまま聞く。もちろん本来すわって聞く類のライブだけど、それを立って聞くのも実は意外と悪くない。視線が斜め上で俯瞰して見るのがいいのかな。
今日の「影絵の夜会」は皐乃一座旗揚げ公演、復活したとかげのわかばさんによる「オフェリアと影の一座」の朗読でスタート。この朗読がすこぶるいい。歌っているときの発声とは少し違う、静かではっきりとして深い声が赤い壁と黒い壁の境目から響いてくる。会場がちょうど朗読にぴったりのサイズということもあり、じわじわと引き込まれる。タイトルがとかげさんにぴったりというだけでなく、ストーリーも誂えたかのようにぴったり。こんなにハマる物語があったのか。朗読は30分弱ほどだったかと思うけど、集中を切らさずに聞けた。
そこから今度は影野わかばによるライブ。生音ライブがやはりいい。序盤で紳士をやり、そこから怒涛。1時間ほどだったろうか。ライブ中は影野さんのサジェスチョンもあり、もうお客さんは来ないかなと思ったから座って聞いてたんだけど、後半になってお客さんが。手順通り受付業務をしたけど、もしかしたらすぐに聞いてもらって受け付けは終演後にしたほうがよかったかもとも思う。この辺の機微が難しいなあ。
ライブも堪能したけどやっぱりアンコール、と思ったところに今度は影野わかばによる朗読が。さっき完結したように見えた物語の続きを語るという締めくくりがなんとも小粋で、こういう感覚がとかげさんの非凡なところだと思う。
幸福感に満ちて終演。僕も任務を終えてほっとした。
とかげさんにねぎらっていただいて恐縮だけど、どっちかといえば僕がやらせてもらったくらいのものなので、むしろやらせていただいてありがとうという心境。緊張したけど無事にやりおおせたし、緊張に見合う以上の充足感があった。またやれないかとさえ思う。
少し時間があるのでとかげさんを囲んでお話。最後に来られたハードロッカーさんは思った以上に若くそして面白い関西人だったし、兄弟っぽいけど先輩後輩な二人組は初々しい若者だったし、どっちかといえば僕が場違いなんだけどなんとか輪に入れたからうれしい。さっきのお話がエンデの作品とか、いろいろ。最後に一緒に電車に乗るというのも珍しい展開だった。
こういう日が毎日、とは言わないけど、年に1日でもあるなら生きる価値はあるよ、ほんとに。