怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

ぐるぐるtoiro1日目

早起きして埼玉へ。北浦和で降りる。浦和は7つの駅がある。
開館前だったのでベンチでぼーっとする。
埼玉県立近代美術館の「すごいぞ、これは!」展。過去最高にひどいネーミングだが、こういう名前に落ち着いた経緯や反対した良心ある方々のためにも酷いものは酷いと言い続けていきたい。
この展覧会はいわゆるアールブリュット系の展覧会だから来たのだけど、12作家のうち1人だけはノーマルなアーティストも含まれていて、言ってみればポコラートのようなもの。この12アーティストは12人の学芸員らがそれぞれ推挙したもので、だからテイストは全くバラバラ。といってもそれなりに統一感はあるのだが、しかし好き嫌いはかなり分かれる。キュレーター次第で好みに合うかどうかが左右されてしまうこのアールブリュット、12人に任せれば全滅はないのでいいのだが、その代わり全部当たりということもない。
僕にとっての当たりは杉浦篤。お気に入りの写真を離さず擦っているうちに摩耗し角が取れるどころではないくらいに小さくなり色は褪せ擦り傷のついた写真。愛着の度合いをこういう形で物質に落とし込み、愛されれば愛されるほど時代が付いていくこの作品は現代アートで意図的に行われてもおかしくないようなものだ。それが無意識に行われて作品に転化する。身震いするようなアートの本質がこれだ。この1点だけで来てよかったと思ってしまう。
喜舎場盛也ももちろん良かったが何度も見ているので感想は割愛。興味が漢字の作品から他へ移ってしまったのは残念だ。
ほかは本田雅啓のマネキンかな。異形の存在感があり、アールブリュットとはいえ構成力がしっかりしているのもいい。その次は刈谷智恵か。
もともと広くない美術館のうえに興味の持てない作家には時間をかけなかったしかけようもないので、結局1時間で終了。ややすっぽぬけか。
ただ、たまたま隣の講堂でやってた「幻聴妄想かるた」のイベントが面白かった。
世田谷の施設にいる人たちの幻聴・妄想をかるたにするという法外な商品だが、これがなんとも面白い。イベントなのでその幻聴妄想の当人が来ていて話すのだが、謎の組織若松組の話とか倒れていた宇宙人の女の子の話とか。本人はそれが幻聴妄想と思われていることを承知しつつ、でもそれを取り消すわけでもなく、その微妙な距離感がいい。司会していたのはたぶん施設の方なんだろうけど、つきあい方を熟知しているようだ。こうした患者さんは世間で嫌がられることも多いだろうと思うけど、実際に近くで見ていると特に危険だとは思えないし、こういう方がきちんと看ているのなら全然問題ない。僕も楽しく見せてもらったし。最後に出てきた方は大真面目に静岡市の広報みたいなことをしていて、でももちろん自任しているだけで公式なものでもなんでもないというのがまた可笑しい。
キリのいいところで出たけど、なんならもう少し見たかった。
常設展は別料金とのことだったけど、見渡したところ僕が見たそうな雰囲気はなかったのでオミット。
駅の反対側のバーガーキングで黒大将セット。かなり混んでいた。
食べ終わってぐるぐるtoiroへ。予想外に早く着いてしまった。13:20のOpen Reel Ensembleに間に合わせるために美術館を足早に回ることまで考えていたというのに、13時の開演時間に到着。それまでの間はその名はスペィドを見る。DJ中心のダンスユニットで、サービスたっぷりな。
途中で切り上げてOpen Reel Ensembleに移動。リールが4台並ぶ壮観さと揃いの衣装でビジュアルが素晴らしい。多摩パルテノンでの爽快感はさすがにないけれどもなにしろカッコいい。見れてよかった。
あちこちチラチラ見てエントランスステージの人見知りCREW。見た目からして只者ではないし始まったら更にひどい。ジャンルは一応HIPHOPということになるんだろうが、面白ければいいという割り切りがすごい。4人のキャラと分担もしっかりしてて楽しかった。
クリトリック・リスは久しぶりかな。いいテンション。
YDOとマーガレット廣井は、まあ鉄板なので驚きはないが安心の良さ。
UHNELLYSはライブかなり久しぶりだったが熱量で押し切るライブがいい。ライブはチューニングで決まるもんじゃないよな。
踊ってばかりの国、音源は割といいかなと思ったりもするが、ライブはあまりピンとこないか。
ouside yoshinoは初見。なぜか熱狂的に好きになる対象ではない。
bacho。これが今日の収穫。姫路のバンドだそうだが、遠くから呼ぶだけあって狂おしい情熱の塊で、昔だったらBAHAMAあたりでやってそうな骨太バンド。たぶんまたライブを見る機会もあるだろう。
トリプルファイヤーを途中まで見て、名残惜しいが八十八ケ所巡礼を。ハードロックからアプローチしたサイケ感。ピンとこないが一応最後まで。
例年通りトリはタイムテーブルを大幅に超えるので遅めに電車に乗る。ただ新宿までそう時間がかかるわけでもなく、まあ普段のライブ日くらいの時間に帰宅できるのはありがたい。