怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

朝からJR近江八幡へ。久しぶりだ。この季節はまだ底冷えする時期ではない。楽しく見て回れそうだ。

今日は「ボーダレス・エリア近江八幡芸術祭 ちかくのたび」。アールブリュットのほか、現代美術作家も含めてキュレーションされているようだ。NO-MAでのアールブリュット以外の展示はかなり好みに合うし、まして今回は規模が大きいから来ない手はない。

出だしはNO-MAから。この会場でよかったのはごまのはえ。違和感を湛えたストーリーをホームドラマのように語ってゆくラジオドラマのような作品だった。聞いていても面白いしテキストで読んでも面白い。蔵で展示されていた酒井美穂子の「サッポロ一番しょうゆ味」もしみじみとして好きだ。ただただサッポロ一番しょうゆ味を手で揉むというその風景が癖になる。自分でできるよう、サッポロ一番しょうゆ味が置いてあるのもよかった。もちろんやってみた。

2階には八幡山のロープウェイに向けられた望遠鏡があり、その行き来を見るのも離れがたい魅力があった。

次はおなじみ奥村家住宅。ここではちょうど作家さんが来てたのでご挨拶。外にも作品があるので、庭ともども楽しんだ。

久しぶりの尾賀商店。作品を裏からも見るというコンセプトで、支持体などもわかるようになってる。NO-MAでは時々やってる手法。なんといっても魲万里絵はいい。これは別格としても、三橋精樹も山﨑健一も好きな作家なのでうれしかった。存分に見た。

まちや倶楽部は平野智之に尽きる。美保さんシリーズ近江八幡編はせっかく近江八幡に来たのにそれがそんなに生きてないあたり含め、平野智之らしさが爆発してる。最高。記録映像で見る平野さんが、作品の口調そのままだった。

空腹になり、ほたるという店で昼食。やってるのかなと窓から中を見たらやってるやってると連呼され入るしかなくなった。完全にスナックのおばちゃんで、食べてる間ずっと面白かった。天職やな。

少し離れたところにある寺本邸が今回のベスト。谷澤紗和子×藤野可織の「無名」は以前京都で見た作品だが、二度目でも強い衝撃を受ける。藤野氏によるテキストの力も大きいのだが、あの陶芸作品の凄みといったら。そしてその奥に展示されていた近作「信仰」も同じく両氏の共作で、この二人の感覚の近さが傑作を生んでいるのだろう。そろそろ夕方に近づく時間帯だったのもよかったのかもしれない。

山上の展望館にも展示はあるようだったが、まあいいかとここで終了。

ところでこの「ちかくのたび」、美保さん人形がガイド装置として借りられるようになっている。美保さんの存在感が作品と完全にシンクロしており、なかなかの着想だと思う。こんど大きなイベントがあればまた登場させてほしい。

駅に戻り、山科へ。山科にしょっちゅう行ってたのは20年くらい前だろうか。駅前は様変わりして、昔の面影を探すのが難しい。街道を西へ、ローヌ洋菓子店に到着。閉店近い2階の喫茶室でケーキセット。昔の少女漫画にあるような洋館風のしつらえでちょっといい。街中には、こういうのは却ってないものなのだ。

出るともう夜。地下鉄で三条へ。

なんだかんだでちょうどのタイミングでUrBANGUILDへ。ちょうどKさんがいたがこちらを向いてなかったのでご挨拶もしなかったのだが、気づいて面倒見てくださった。失礼してしまったかな。

僕好みの出演者を集めてくれたこの企画、まず左右から。

また関西に来てくれよの気持ちを込めて新譜を買った。何度か来てるらしいのだがぜんぜん知らなかった。

黒岩あすかと深夜。深夜としては二度目のライブ。柏木さんもだいぶフィットしてきたような気がする。ピアノがあるし持ち時間も長めだから黒岩さんのピアノが聴けるかという期待もあったがバンドのみでした。しかし演奏はとにかく圧巻。息を呑む。最後の「季節」は、もう歴史的なのではないか。

3番目に本日休演。

そしてトリはもちろん壊れかけのテープレコーダーズ。ここで演るのは初めてなのか。ちょっと意外。遊佐さんはお客さんとして来てたけど。

で、アバンギルドに限らず京都のライブハウスは座って見るものと相場が決まってる。壊れかけのテープレコーダーズを座って見る。これは大変な苦行だ。立てばいいことだが、そう簡単にはいかない。そんなにひと目を気にしてるわけじゃないけどさ。セットリストは前回のGOKサウンドとだいたい同じで、あれを立って見てた記憶があるから、なんで座ってるんだよという気になる。

壊れかけは小森さんの気合いの入りかたである程度良し悪しが左右されてくると思ってて、初アバンギルドの今日はもちろん出来がいいだけに。

最後、アンコールの「蝶番をこじ開けろでとうとう立ちました。スッキリした。

帰りに、だいぶ酔ってらしたKさんに「お土産のビールありがとう、いまお花挿してます」と言ってもらえてうれしかった。