怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

VOCA展と鈴本演芸場

朝ぼやぼやしていたので思い描いた時間よりだいぶ遅れて出発。
少し時間がないが、歩いて上野に向かう。晴れた春の朝は少しひんやりした空気が心地よい。歩くにはもってこいで、電車なんて勿体ない。
少し迷いつつ上野の森美術館。今日はVOCA展。現代美術の展望という大仰なタイトルだ。
もちろんお目当てはmarianeさんだが、気鋭の若手作家の作品が見れるのでそれなりに期待もあったが、一方でVOCA展は悪評も聞こえてくる。どんなものかと思ったが、過剰に期待しなければなかなか良い展覧会だったと思う。悪評というのはおそらく現代美術を引っ張るという域に達してないとか選考への不満とかいろいろあるのだろう。だがそれは美術界の内輪話であって、僕のような一般人は無心に楽しめばそれでいいのだ。
VOCA賞の小野耕石は僕も同感で、重ねられたインクの微かな立体性と色合いの美しさは明らかに一等賞だった。僕も欲しい。ジョミ・キムの写真作品も同じく幽玄の美があり、これも非常にいい。どこかで一度見たことがあったかもしれない。
松本寛庸というアール・ブリュットの作家が何食わぬ顔で入っているのも驚きで、時代はもうそこまで来たのだなと思う。もっとも出品作は松本寛庸としては平凡だったが。
このVOCA展はどうやら出品作家が推挙されその後に出品作が改めて提出される仕様らしく、つまり作家として良いからといって出品作が良いとは限らない。そこが難しいところなのだろう。
marianeさんの作品もこの展示を目指したと思われる「RAIJINKODOMO」「FUJINKODOMO」の2作組なのだが、必然的に描くべき形は決まっていることになる。赴くままに線が伸び形になってゆくmarianeさんとしては珍しい形式で、それがmarianeさんらしさを表現できたかどうか。大舞台を前にした気負いもあって不思議はないのだが、自然体で出来上がった作品をぽんと出してほしかったようにも思う。
ほかに面白かったのは横山奈美。岸田劉生に影響を受けたという重厚な洋画は実に新鮮だった。ちなみに横山奈美とジョミ・キムは関西の学芸員からの推挙で、やはり関西の感性というのはあるのだろうか。
眼鏡市場で眼鏡をきれいにしてもらい、赤札堂で弁当を買って上野鈴本演芸場へ。ホールはビルの3階にあり、こじんまりとしつつも立派で見やすい。そして平日だからガラガラだろうと高をくくっていたら、なんと結構な入り具合で見やすい席はすでに埋まっていた。暇人め。
12時半開演とのことだが、その前から前座がやっているようで、さすがに前座だから上手くない。上手くないからどうでもいいといえばどうでもいいが、そういうのもまた乙な気はする。
ビールを飲んでお弁当を食べて、まあなかなか上等な平日の午後だ。プログラムは貰ったが代演もあるので結局誰が出たのかは覚えていない。演目も全部はわからない。しかしみなさんさすがにプロだけあって芸達者だ。トリの春風亭正朝はじめ名前も知らないひとばかりなのだが、なんのなんので笑わせてくれる。笑いに来たけど、でも確かに面白い。
僕のことだから途中眠ったりはしてるけど、まあそれもいいかと。前の席のおじさんが常連なのか、要所で大声で掛け声を飛ばしていたのもいいものだ。後ろの席のおじさんがバリバリうるさかったり、おばさんがペチャクチャだったりは残念だけど、まあいいや。
2800円、満足でした。
終わって買い忘れていたmarianeさんのパンフを買い、駅へ。ミスドが100円セールをしていたのでお土産に買う。
帰宅したら妻はトラブルで遅くなっていた。
夕食はカルボナーラ