怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

代官山、渋谷、新宿

昨夜半に急に今日ライブをハシゴすることになってしまった。ありがたいが、だったらこうしておけばよかった云々もあるのだが、まあ今更仕方ないだろう。
お昼は焼うどん。妻の帰りが予定よりかなり遅いので僕が作り始めたところで帰宅。それはいいのだが、モヤシを入れるなどと言う割に手伝いもせず携帯ばかり見ている。勝手に調理終了したら文句を言われたが、モヤシを洗うくらいはやってもらいたい。ていうか、焼うどんにモヤシは合いません。
焼うどんはベストに近い出来具合でした。どうだ。
渋谷へ。先にDUOでチケットを買おうとしたら、ちょうどお祭りらしく難儀な羽目に。しかもDUOに行くと、会場受付というのはメール予約のことですと言われてしまった。わからんがな。
代官山へ。THE BIG PARADE 2014開演の少し前にUNIT到着。やや後ろめたい気持ちで受け付けを済ます。ほんとすいません。
最初が神聖かまってちゃん。3年ぶりで、前回の感想や最近の評判などから考えるとかなり楽しみではあった。バンドの外面はそう変わっていない。音楽も大きく変わったわけじゃない。だが、カッコいい。カッコいいのだ。奇妙なキャラで始まり、それがいつまでも続けられるわけもなく、どこかで路線を変えなければならなかったこのバンドの答えはこれだった。それは最高の答えだったと思う。以前からポップでキャッチーで、ギミックを取り払ってみれば素直に良い曲が並んでいた神聖かまってちゃんは、そのギミックを突き破るほどのカッコよさを持つようになっていた。ちょっと衝撃的だった。熱かった。またライブを見たい。
次が食品まつり。これから長いのでちょっと休憩。
そしていよいよVampillia。見たところ初見お客さんも多そうだったのだが、X JAPANの完コピで掴んでからは一気。キックスクーターで乗り込むは床で転げまわるはいつものハシゴは持ち込むはで大暴れしてくれた。さらに足がつってスタッフに手当てしてもらうおまけつき。最高。Velladonさんも妖艶で、山本さんも苦笑して、ツインドラムはバッチリで、言うことないでしょ。最高。今月またライブを見る予定だが早くも楽しみ。
ただ初見のお客さんとはいえ、フロアにジャンプする人の足に触るのはほんと危ないと思うんで、あれは絶対やめてほしい。着地失敗したらいくらミッチーでも怪我しかねない。
持ち時間をオーバーするライブだったので急いで渋谷へ。
渋谷区文化総合センターはなかなか大きなビルで、ギャラリー大和田はここの2階。「死刑囚絵画展2005年〜2014年」は死刑囚が拘置所で描いた作品を展示したもので、実は昨年見たかったのに見逃してしまった経緯もあり、今回は見逃すまいということで臨んだ次第。今回は10年分の作品が並んで規模も大きいようで、昨年見逃したことを取り戻せた気分。
この企画は死刑廃止運動の団体が主催しているもので、だから死刑廃止に向けてのアピールもあるにはあるが、押し付けがましくない程度なのでその点は問題ない。まあ僕は押し付けられても全然構いませんけど。
さすがにバラエティに富んでいて、写実に徹したものもあれば、彫士さんだったのかなと思うものもあり、水墨画あり抽象画あり。彫刻等の立体物がないのはやはり諸般の制約なのだろう。作品はほとんど小ぶりで、大きなものはA4くらいの紙をつなぎ合わせていたりする。後で聞くと独房はかなり小さいようだ。色紙を使ったものが多いのは、差し入れしやすいとかの理由かもしれない。
目につくのはやはりメッセージ色の強いもので、タイトルやテーマで死刑への怖れを打ち出したりしている。ただ、これらの作品は言葉にイラストを添えているのと大差ないので、僕としてはさほど見る気はしない。単純な写実画も、上手いものはあるけれどもそれは定年後の老人が趣味を極めているのと似たようなもので、多少は上手くても専門的な教育を受けた人々とは比べるべくもないのだから、いわば自己満足のようなものだ。
そもそも僕が興味を持ったのはアール・ブリュット的な観点からなので、この企画とはいささかすれ違ってるのは仕方ない。
そんな僕が最も興味を持ったのが松田康敏。「タイムスリップ」はアニメのキャラクターがちりばめられた作品。獄中の彼にとって、かつて見ていたキャラクターたちの意味合いは大きく変わり、自由で明日の心配のなかった時代への羨望の象徴でもあるのだろう。おそらくトレースで描かれたそれは、上手く描こう、褒めてもらおうという外的な欲望ではなく、自分の渇望を満たす作品のように思える。「生死の境」は彼が関わった事件と関連があるのだろう、生死の境を彷徨う情景が淡い色で綴られている。写実的な絵も残している彼が、トレースを捨てて拙い技量で作り上げた大型の絵は、その淡々とした表面とは裏腹な情念を感じさせる。
林眞須美の作品は抽象画なのだが、邪念なく思ったところをそのまま線にしたようなところがいい。いい歳をした大人が、これほど素直な形で抽象画を描くのは非常に難しいはずだ。そこに彼女の深い絶望を感じることができる。
原正志は小さな独房に押し込められたがために行き場を無くした妄念が、入ってくるごくわずかな情報と合わさって噴き出したような作品。この人に限らないが、精神面の不安定さを思わずにはいられない。
素通りできる作品も多々あるので、点数の割には時間はかからなかったが、できればなんとかもう一度見ておきたいところ。
最後に某さんらしき方を見つけてご挨拶。ギャラリーの中で喋るのは憚られたし、僕の独善的な解釈を押し付けがましく言うのもどうかという感じだけど、久しぶりにアウトプットできて楽しかった。
急いで新宿PIT INNへ。名前を呼ばれて中に入ったが、余裕で2列目だったのでもう少しゆっくり来てもよかったかなという感じ。とはいえ最終的には満席だったので、やはり予約しておいてよかった。
カフカ鼾、初めてのライブ。ゲストに勝井さんを迎えているので、ややROVOの風味が加わっているような気がするし、ジャズ箱なのでジャズ寄りになっている気もする。他ではどうなんだろうか。あしがらの野外で聞きたかったなあ。まあそんな感じなので、やや眠気も押し寄せてくるのだけど、それはそれでいいのかなと思う。石橋英子さんの繊細なピアノも聞けて良かった。もう死んだひとたちではボーカルに徹していてこの鍵盤が聞けないのが悲しい。それにしても山本さんのドラムは多彩な引き出しで惚れ惚れするし、あの陽性のキャラもいいなあと思う。ジムさんはあまりリーダーっぽくない、落ち着いた演奏。あの服暑くないのだろうか。
あちこち巡り歩いて疲れたが、いい一日だった。