怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

森村泰昌展@資生堂ギャラリーなど

夕方、ギャラリー小柳でRyoji Ikeda「systematics」。もはや音楽ではなく映像を中心としたノイズ表現といったほうがいいように思える。もちろん作品そのものには魅了されるのだが、ではその一部を切り取ったこの物体をこのお値段で、と言われると、それはもう完全に自己満足の世界だなあ。
資生堂ギャラリーで、「LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」。森村泰昌は、ずっと理解できずにいたのだが、数年前に見た作品で突然開眼し興味が持てるようになった。それでも好きな作家とまでは言えなかったのだが、今回の作品は非常に素晴らしかった。演劇仕立ての構成が見事で、作品の一枚ごとに「ラス・メニーナス」に近づき、入り込み、裏返り、そして消える。
絵画というものはどんなに写実を装っていても、その実は全くの虚構でしかない(「これは林檎ではない」)。額縁の中で展開されているその虚構の世界に森村泰昌が対峙し、その細部にひとつひとつ分け入っていくと、それは現実が虚構を侵食することにほかならず、同時に虚構は現実を侵食してくる。そしてその果てに扉は閉じ、静まったプラド美術館が残る。
この作品を見て森村泰昌が絵画の中の人物を「演じる」意味を理解できないのであれば、もう決して森村泰昌を理解することはできないだろう。そう言っていいほどに、この作品は森村泰昌を象徴する作品ではないかと思う。
これを無料で鑑賞させてくれる資生堂さんには感謝しかない。
渋谷へ。伊呂波という新しめの風変わりうどん屋さんで夕食。エビとアボガドのクリームうどんで、スパゲティに近いんだけどうどんの麺を使う必然性も感じられてなかなかおいしい。ただ非常に食べにくく、見苦しく食べる羽目になってしまうのが難点で、それはどうにかならないのか。食べ物はオシャレ系のようなのに店内はむしろ場末感があるのもどうなんだろうか。僕は好きですけど。
WWWへ。PARAだし結構混んでるかなと思ったら全然そうでもなく、ゆっくり見られる感じ。ちょっと拍子抜け。
いろいろ歩いたところに、スペシャルだという「踊り酒」を注文したらこれが結構キツくてふらふら。足は痛いし、かなり悪い環境でのライブになってしまった。
PARAのライブは前回と似たような印象で、いいんだけど熱量が欠ける印象。音を求めて中段に行ったのがまずかったかな。まあ決まった音をピタッと出すのがPARAなので、熱量ってものじゃないんだけど。どうなんだ。僕に向いてないってことかな。途中、山本さんがフュージョンという言葉を出し、それはとても納得できた。フュージョンというとあまりいい印象にならないけど、でも確かにその雰囲気はある。ジャズからのフュージョンと同じようなものかもしれない。
終って電車を逃したりしながら帰宅。リンゴを食べて就寝。