怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

屍肉に群がるハイエナ

泥棒猫

天下茶屋方面へ。
予想はしていたが、古い下町で、木造瓦屋根の風格ある長屋がちらほらと目につく。ところどころ最近改築されたようなものもあり、また数十年前にモルタルが塗られたものもある。
野良猫がやけに多い。おばあさんが餌をやっていたが、こういう人が多いのだろう。
古いアパートの2階から閑をもてあましたおじさんがじっとこちらを見ている。1Fに下駄箱と管理人室、そして公衆電話。昔の漫画によく出ていた、共同住宅だ。20年前はさほど珍しいものではなかったと思うが、今ではなかなか見かけない。
天気がいいので歩いて北に向かう。
知らなかったが、すぐ北にあるのが飛田新地だった。お昼だというのに数軒店が開いており、入り口に40過ぎだろうか、女性が座っている。夜はいったいどんな雰囲気になるのだろう。多分ずいぶん居づらいだろう。
道ばたのあちこちに祠が目につく。
新世界手前の高架下は前にも見たことがあるが得体の知れない物売りが並んでいる。最初に見た時は随分緊張したものだったが、今は慣れたのか向うさんが変わったのか、もしかするとこちらがあちらに近づいていっているのか、リラックスして通り過ぎる。
新世界は、これは以前とは確かに変わっている。店はどうかわからないが新しい看板が増えた。いや、新しい店も増えた。観光に来て趣を感じるような場所ではない。
さらに歩いて、また軍艦アパートへ。
今日はカメラを手にした人が5〜6人いる。もしかすると取り壊しが近いのかもしれない。自分もそのひとりなのだから言えないが、こう見物人がいては落ち着けない。写真だけはたくさん撮ったが、ただそれだけだ。
散乱している遺物のなかに本と原稿を見つけた。原稿はコピーされたもので、出版社に送ったものの写しなのかもしれない。
予告された殺人の記録」「郭公の巣」「夜と霧」を持ち帰った。いつの日か、この三冊をまた誰かがゴミの山から持ち帰る事があるだろうか。