怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

紀伊半島の旅1日目

いつもより少し早めに起きて天王寺へ。こんなわがままな夫を許してくれる妻に感謝。
天王寺駅みどりの窓口天王寺天王寺行の切符を買う。注文を聞く駅員さんが少し緊張したのが面白かった。こういう客、時々来るだろうが、たいていは面倒くさい奴と相場が決まってる。
うとうとしつつ乗り換えを重ね亀山へ。降りてみたが、かなり寂れた駅前で予想以上になんにもなさそうだ。
早速廃墟を発見、もともと歯科医院兼マンションだったものが介護施設になり、それも廃業しマンションの住人もついに最近いなくなったという気配だ。ざっくり見たが荒らされてはいないよう。僕はあまり侵入だなんだとするつもりはないので、蔦に侵され自然に還りつつあるコンクリートを愛でるにとどめた。
そろそろお昼なので、名物とかいうみそ焼きうどんを食べにうえだ食堂という店へ。開店して間もないので先客はおばあさん1人。豪華にホルモンみそ焼きうどん定食を注文。予想どおり、僕には濃厚すぎる味で、こういう機会でもなければ別のにした方がいいくらいだが。腹一杯になり、店を出た。出るころには満席で、サラリーマンや肉体労働者に重宝されているようだ。
丘を登り、街の中心部に向かう。駅前ではなくこの丘の上が中心部になっているのは、そこに城址があり市役所があるからで、もちろん商店街もある。とはいえ、この時代だから商店街はシャッター街。かなり由緒のありそうな店も最近の店も閉まっている。開いていても繁盛はしていないだろう。いろいろ暗澹たる気持ちにはなるが、道路が立派なのが拍車をかけている。
田中病院という大きくて古い病院があり、横のおそらく院長宅から老婦人が古い外車のハンドルを握ってお出かけのようだ。
病院が静まり返っているので、もしかしたら閉院しているのかとも思ったが、そうではなく少し事情のある病院なのだろう。あの立地であの静けさは異様であった。
坂道を降りて駅前へ。違う角度で廃墟を見たりして、さて電車まではだいぶ時間がある。駅前の古ビルの2階に尚という喫茶店の看板があったので行ってみたところ、辛うじて営業中のようで灯りはついているが、中からオヤジの大きな話し声が聞こえる。落ち着けそうにないので断念し、ひたすら辺りを歩いた。
津でまた下車するつもりだったのだが、目指す津新町駅はどうやら近鉄の駅らしく、降りそびれてしまった。津で降りてもつまらなそうだったし、といって近鉄に乗り換えるのも業腹だ。次の機会にと考えて、とりあえず松阪へ向かうが、ただ松阪というのも芸がないのでその手前の六軒で降りる。変哲もない無人駅で、箱のような待合室が駅舎である。松阪はそこそこの街だし、津ももちろん大きな街だが、点と点の間はこれだ。電車には大勢の高校生が乗っていたが、この街で一生を終えたくないと考えても不思議はない。だが、ここに誰もいなくなってしまうわけにはいかないのも確かなことだろう。
駅を出て歩き始めると、道路でスケボーの練習をしている少年たちがいる。「こんにちは」と声をかけられ、慌てて「こんにちは」と返す。
お昼に少し補充したiPhoneのバッテリーは残りわずかになり、携帯バッテリーから充電しようとするが、断線しているのかうまくいかない。増えては減りの繰り返し。イライラするし心配になる。
やがて浪漫遊という店が見えてきた。中古CDやゲームその他を売ってるチェーン店で、以前仕事でこちらに来たときに立ち寄ったことがある。この店ではないと思うが、中の仕様はほとんど変わらない。CDのコーナーが小さくなっているくらいだ。前回は細野晴臣トリビュートを買ったが、今回はシャークニャークス「知ること知らないこと」を400円で見つけた。ディスクユニオンでも見ないものがここに、というのは変な話だが、記念の意味も込めて購入。消費税が足されるのは考えてなかったけど。
その近くのイオンで、伊勢古書堂という古本屋に。イオンに大型古本屋というのが妙だが、見るとかなり寂れていてテナントの撤退が続いていてこうなったんだろう。いいんだか悪いんだか。本はかなり多いししっかりしたものもある。北九州でいうと珍竹林に近い。レコードも大量だが、全部見てまわる時間はない。古書店巡りをしに来たわけじゃないのだ。
夜のバイパスを歩いて松阪の駅裏までたどり着いた。このバイパス歩き、ほかに歩く人がいないこともあって、旅感・孤独感が積み上がる。
松阪の駅前は、見覚えのあるようなないような。来たことはあるはずだが、15年くらい前のことだし、仕事だからしげしげと見たわけでもない。記憶がなくても不思議はないのだが。
駅前をうろうろと歩く。和田金は店だけ見て別の店でなにか肉を食べたはずだが、どの店だったか。断片的な記憶はあるが、思い出せない。
松阪の駅前は、やはり寂れている。もちろんそれなりの賑わいもあるが、車社会だから賑わいというものの本当の姿が僕には見えない。歓楽街は大声で話すおじさん兄ちゃんの姿、店に連れていくホステスの姿、どこかのんびりしている。
その外れにポルノ映画の看板が掲げられており、まさかと思ったが今も営業中のポルノ映画館があるようだ。朝から夕方までという上映時間で客が来るのかとも思うが、でも感じ入ってしまった。
歩き疲れて脇田屋という店でホルモン焼肉を食べる。一人で七輪、申し訳ないが空いているからまあいいだろう。赤味噌べったりの焼肉でビールを飲んだ。お疲れ。2750円。
もう少し歩いて、限界になってきたので街はずれにある亜熱帯というネットカフェへ。途中、安価なホテルを見かけたので気持ちが揺れたけど、ネットカフェがあるところでは節約しておかないと。あと2泊あるんだし、少なくとも1泊は旅館になるだろうから。
亜熱帯は豊田市で泊まったのと同じチェーンだ。様子はだいたい同じ。問題なし。
雑誌などをいろいろ見て、早めに就寝。