怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

起きて支度して近江町市場へ。なんせ観光客が少なく、閑散とした市場では購買意欲もわかない。ていうか、電車ではたいしたものは買えないし。ここも黒門と同じで、いまは観光客向けの市場になっているようだ。世の習いとはこういうものか。ぐるっと一周して、いきいき亭でいきいき丼2200円。高価な朝食だが、妻が食べようというのは珍しいのでもちろん異論はない。味もまずまずだし、店員さんたちのもてなしっぷりもいい。僕にはちょっと過剰だけど、昨日菊一で嫌な思いをしたので口直しになる。

今日の宿、エイトポイント金沢へ荷物を預けに行く。よく調べてなかったが思いの外遠く、妻が不機嫌に。僕も悪かった。レセプションの横に物販があり、大きなトロリーバッグを2980円で買う。来るべき海外旅行用だ。今日も格安で泊まれるし、客がいなくて資金繰りが苦しいのか、ちょっと申し訳ないくらい。

宿を出て尾山神社を探すが山道が見当たらず、機嫌の悪い妻がもういいというのでここで別れることに。

僕はローソンで休憩し暖を取り、バスで富山に向かうことに。妻から神社があったと連絡があったが、今や遅し。

バスで1時間、富山県美術館へ。バス停から駅を越え、水辺の広場を歩いた向こうにある。ずいぶんきれいに整備されており、きっと人気のスポットなんだろう。富山なので別に混んではいない。整備される前は僕好みだったかもしれないが、それを言っても仕方ない。路面電車JRと交差しているあたりなんかも、昔は味があったことだろうが、今は高架の下をくぐってるだけだ。

富山県美術館の企画展は「森村泰昌のあそぶ美術史―ほんきであそぶとせかいはかわる―」。これが意外に面白かった。森村泰昌がキュレーターとして所蔵品と自作を展示しているのだが、切り口次第でこんなに面白く見せられるのだという好例。もちろん肖像品の質が高いからでもあるが、森村の本質が実はキュレーターであるというのも大きいのだろう。

ほかにコレクション展も、瀧口修造関連の展示も質が高く、かなりの満足感。来てよかった。

あとは散歩。富山の街をうろうろと歩く。面白いのはやはり夜の街で、気取らないむき出しの街並みはどこの都市でも面白い。以前、富山には妻と妻の友人と3人で泊まったことがある。あの時のアパホテルはたぶんこれ、まではわかったが、その時行ったイタリアン居酒屋がどこだったか見当がつかない。駅前の地下街だった記憶があるが、そもそも地下街がない。再開発で消えてしまったのだろうか。

昼食も食べたいのだが、これと行った店がない。タイミングを逃すとチェーン店しか選択肢がないのは辛い。最終的に、少し寂れた商店街のはずれにある、ハッピーという素っ頓狂な食堂で焼きそばとビール。焼きそばはずいぶん水っぽいのが出てきたが、これが富山流なのだろうか。

電車で金沢に戻る途中、高岡で降りる。まだ7時だというのにひと気はなく暗い駅前だ。車さえほとんど通らない。路面電車無人で走ってゆく。僕が青春18きっぷで旅した30年前、地方の小都市はここまで寂れてはいなかった。今は建物だけがやけに立派で、それだけだ。

あてずっぽうに栄えていたと思われる方へ歩く。昔は栄えていたのだろうが、もうそんな記憶を持つ人も少ないのだろう。すべてを諦めきったような通りが続く。寂しさの極北のようなところだ。歩いても歩いても。

あるカフェのようなところでライブをやっていた。ジャズのようだ。腕前はさほどでもないが、こういう街でも音楽はあって、FLY ME TO THE MOONで歓声が上がり、拍手が聞こえる。シャッター商店街のマイルスデイビス

名残惜しい気持ちで金沢へ戻る。思いのほか遅くなり、どの店も開いてない。行ってみたかった禁煙室という喫茶店も閉まっていた。

もう飲み屋ですら怪しくなってる時間帯、ホテルに戻る途中のリカークボがシャッターを下ろそうかというところに飛び込み、ギリギリで弁当を買う。名前のとおり、日本酒や焼酎は立派な品揃えのようだ。また今度。

ホテルにチェックイン。弁当を食べて寝る。部屋は上だけ開いてる個室タイプの部屋で、しかしガラガラだ。これでは開けてても儲かるまい。新しいきれいな宿なのに。