怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

大駱駝艦・天賦典式「ムシノホシ」

世田谷線に乗って三軒茶屋へ。まだ明るいこの時間、沿線の風景は楽しい。
少し時間があるのでブックオフへ。JON SPENCER BLUES EXPLOSION「PLASTIC FANG」とqodibop「another tone form」を各250円へ。この価格帯が280円に改悪されたなか、旧価格で残っていたのは喜ばしい。
世田谷パブリックシアターへ。高層ビルの中にある劇場で、立ち飲みのカフェコーナーもあったりしてお上品な雰囲気がある。お客さんも身なりよく、いかにもご鑑賞の雰囲気で、アングラ色を期待していたわけではないとはいえ少々面食らった。
席は3列目で思った以上にステージに近く、かなり見やすい。発売初日に確保した甲斐があったというものだ。
僕が大駱駝艦の名前を知ったのはいつごろだか覚えていないが、だいぶ昔のことだろう。それがなぜ今まで見たことがなかったのかといえば、ひとつには敷居の高さだろう。舞踏なんて見てわかるのだろうか、場違いじゃなかろうか。アンテナも張ってないからいつどこでやってるかも知らないし。
ただ今回はアングラポスター展でフライヤーを見てチケット発売日も把握したし、チケット代を無駄にすることになったとしても今見ておかないともういつ次の機会があるのかわからないという思いがあったから。
そんな気持ちで今日の舞踏を見た。
「ムシノホシ」の発想に関しては上演前に知識として入れておいたが、実際に舞台を見てストーリーがキッチリ把握できたわけではない。ただ大まかな“有りよう”は見えてきたし、それでいいと思っている。
大まかにいうとセリフのほとんどない、体の動きも踊りの形式で表す演劇と捉えればいいのかと思うが、そのなかでやはり抜群に動きのいい方々が重要な役を担い、そしてその方々はたしかに身体の動きだけですべてを感じさせていたと思う。
全くの門外漢である僕にとってはもちろん麿赤兒だけがスターで、そしてその舞踏は年齢というより年輪を感じさせる深く重いものだった。特に童女の仮装で見せた哀しみ溢れる舞踏、最後に群舞の後ろで赤い装束を羽織って消えてゆく後ろ姿は鮮烈な印象があった。たしかにその動きは別格としか言いようがなく、見逃さすに済んだことをうれしく思った。
1時間半、長いかもしれないと思ったが実際に見るとまったくあっという間で、終演の予感を感じつつももう少し見たい、もう少し、と心の中で言っていた。
音楽はジェフ・ミルズとのことだが、そもそもの音も中高音に偏って会場の音響も低音は強調しない仕様になっていたので、せっかくの重厚な舞踏が軽めに感じられたところに違和感はあったのだが、前回と同じ布陣だそうなのでそこはむしろ軽さを出したかったのかもしれない。まあ僕には大駱駝艦=アングラみたいな先入観があるけど、お客さんを見るとそういうわけではなさそうだし。
終演後余韻に浸りつつ物販を覗き、ポスターを500円で購入。いいライブの後はいつも物販に人が集まるのが当たり前だと思っていたから、ほとんどの人が通り過ぎてゆく光景はカルチャーショックだった。
元艦員の若林淳さんも見に来ていたようで、僕は若林さんの舞踏は渋さ知らズでしか知らないのだけど、若林さんの舞踏が大駱駝艦のなかでも麿さんに次ぐくらいの格があることも今日わかった。麿さんと若林さんが一緒に舞うところを見たかった。
お弁当を買い帰宅。券売機前で財布を忘れて冷や汗でUターンしたら親切な方がそっくり届けてくれて事なきを得た。ありがとうございました。
帰宅後パソコンが不調に。どうしよう。