怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

関西2日目

朝は割とすっきり目覚め、シャワーを浴びて前日に買っておいた弁当で朝食。どうということもなく出発し荷物を抱えて兵庫県立美術館へ。開館少し前だったのでコンビニでバス代を払い込み、10時から「フルーツ・オブ・パッション ポンピドゥ・センター・コレクション」展。せっかくパリから呼び寄せて巡回なしは勿体なくも思うが、たまにはそういうこともあっていい。
作品数は31点とかなり少ないのだが、大作や映像作品も多いので鑑賞時間は決して短くない。前半はゲルハルト・リヒターのグレイシリーズからの作品が大作ならではの迫力で圧迫感のある恐怖があり、アグネス・マーチンやファラー・アタッシなども絵画表現の新しい面白さが納得できる作品。キャプションも的確でありがたい。
アンリ・サラはいつもながらあまりピンと来ない・それはともかく座って鑑賞していたら明らかにわざと蹴られたのだがおっさんはなにがしたかったのか。
後半はジャナイナ・チェッペの作品が浮遊感と夢幻感たっぷりで、ピピロッティ・リストの作品とタイプが似ていることもあり、クッションの上で寝転んで見ることができたらもっと良いのではと思った。
ツェ・スーメイも音と映像に包まれるような体験ができ、最後のエルネスト・ネトもよかった。ネトはヴィトンで作品を見たことがあったので作品世界にすっと入っていけたが、この一点だけだとそこまで簡単に受容できなかったように思うので、やはり経験を積んでこそわかっていくものなのだなと実感した。
当然のようにコレクションを見ようとしたら特別展しか見れないそうで、そちらは別に券を買わないといけないらしい。もちろんコレクション展に興味のない人に向けて選択肢を持たせるのはいいのだが、前売りで1100円という設定ならコレクション展も見せてくれていいのでは。どのみち時間がないしお昼もそろそろ食べたかったのでコレクション展を見れないのは好都合でもあるのだが、少し残念に思った。
梅田経由で京都河原町へ。久しぶりの阪急京都線だ。十三のションベン横丁は見えなかった。阪急京都線はやはりよく眠れる。
空腹だがまずバスで京都の某寮へ。うまい具合にバスがすぐに来た。
三度目となる某寮ではなにやら工事をやっており、あの風情ある表玄関が隠れてしまっていて残念だ。食用ウサギもどこへいったのか。部屋に入るとすでに幾人かの布団が敷かれ、僕の確保できそうなスペースは広くないしそもそも良い布団が残っていないようだ。仕方ない。荷物だけ置いてさっそくルネに向かい、昼食。主菜副菜ご飯という簡素な昼食で399円。もう少し贅沢しても良かったかもしれない。それにしても久しぶりのルネは改装されお洒落になっていて、いまどきはどこもこんな感じなんだろうか。
そのあとはせっかくなので井上書店・吉岡書店、そして1月に開店したばかりだという星と蝙蝠に立ち寄った。新しい店なのでまだ棚は埋まりきっていないが、フィッシュマンズがかかっていたりパスカルズのCD(売り物ではない様子)が見えたりするあたり、相性はよさそうだ。ラブクラフト全集の別巻上下を700円で購入。
バスで堀川団地に移動しようと思ったが、時間が合わなかったのでその前にこちらも新規開店の古本屋、町屋古本はんのきに立ち寄る。名前の通りのお店でなかなか趣があるし、値付けも安め。今日は買うものがなかったが、拾得に行くついでがあれば立ち寄りコースになりそうだ。
そうこうしているうちにいい時間になり、堀川団地へ。なるほど、三階建ての古い公団住宅は変哲もないようで足を止めると味わいがある。その一角で「記憶の倉庫」の受付を済ませ、時間までしばし散策。同じイベントの一環なのか、作品展示もされていた。
さて記憶の倉庫はこの団地に住んでいた方々の所有物を集めて見てもらう、という企画で、ありがちといえばありがちだが面白そうなので行ってみた。ほんの30分ほどの時間だが、この団地の誰かの家に転がっていたものたちに触れてきた。なかにはとても珍しいものもあるのだが、ほんとうに触れるべきはごく普通の品物、たとえば冷蔵庫やお皿や本なのではないか。誰かが特別に触れていたものは僕も特別に触れてしまうし、それは決してアートな体験ではない。しかし、誰かにとってありふれてどうでもよくてとるに足らないものが、ここを訪れた僕たちにとってはそうではなくなるということがこのイベントのポイントなのではないかと僕は思った。団地の裏側の景色含めて、貴重な体験だった。
KCUAで「予兆 1960年代を中心に ー京都市立芸術大学美術学部同窓会」展。学生の卒業制作とはいえ、買い上げ対象になったものなのでそれなりのクオリティ。実のところ時代性はあまり感じず、ごく普通の展覧会として見ても違和感がない。しかし彼らはそのごアートを続けていられたのだろうか。
清田泰寛個展はあまりピンと来ず、もうひとつは割と気に入ったのだが名前が出てこない。
京都は底冷えのする寒さでしんどいのだが、体に鞭打って100000tアローントコに立ち寄り、汚れきったメガネに嫌気がさしてalookでメガネを拭いたあとtake-JでCute Is What We Aim For「The Same Old Blood Rush with a New Touch」200円。
ダイエーで明朝用のおにぎりを買ったあと三条のブックオフに行き、最後にバーガーキングでまたも新人店員に4種類くらいの試練、というか研修機会を与える夕食ののち、ArtRock No.1でSAKEROCKオールスターズ「トロピカル道中」2000円、SOFT「Bonjour Bonshanfarm」700円、JED AND LUCIA「SUPERHUMAN HEART」1000円、Chicago Underground Duo「axis and alignment」1000円。インディーズの委託商品も前々から気にはなってるのだが…。
ようやくすべてを終えて寮に戻る。布団は汚れきっていて変な虫がいるし掛け布団も掛けたくはないレベルだが、あまりに寒くて背に腹は代えられず。麻雀の音に負けず寝たが、寒さもあって熟睡には程遠かった。