怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

関西3日目

目覚めたら皆さん寝ていた。そりゃそうだ。
荷物をまとめて、というほどでもないが布団を片付けてさっさと出発。後々考えると、ウサギだけでも探しに行けばよかった。
バスに乗り京都駅へ。ほぼ時間通り。朝の京都駅はバスツアーで出かける客でごったがえしていた。コインロッカーに荷物を押し込み、睡眠不足で寝たいところだが寝付けないまま近江八幡へ。
いつものように歩いてNO-MAへ。天気はいいが底冷えのする寒さは京都と同じ。今回はアール・ブリュット☆アート☆日本という展覧会で、NO-MAだけでなく旧吉田邸などいくつかの会場で行われる大々的なイベント。NO-MAでは台湾の林瑋萱と日比野克彦が並んで展示され、これがまた実によく似ている。アール・ブリュットとアートの境界は曖昧だともいえるし、日比野克彦の作品がアール・ブリュット的だとも言える。そもそも日比野克彦の作品は卒業制作以来一貫してブリュットであり続けているわけで、そう考えると何も不思議なことはない。
続いて奥村邸。こちらは江戸末期あたりの近江商人宅だそうで、階上の使用人部屋や立派な床の間、工夫を凝らした天井や欄間など見所が多い。離れには郗万里絵作品が展示され、なかでも六曲一隻の屏風作品「おってけにげてけ」は色使いや構成も含めて息をのむ迫力の大作。ほかにも六点ほど展示されていたが、この一点の前には霞んでしまう。
まちや倶楽部では古久保憲満、富塚純光、藤野友衣など。ここは良い作品が揃っていて見応え十分な会場だった。しかしほとんどすべての会場に共通することだが、広々とした日本家屋で暖房がファンヒーター数個、出入り口は開けっ放しで天井は高いとあっては寒くなかろうはずがなく、その点はかなり辛かったですね。それからここには海外作品の写真パネルやポスターも展示されて雰囲気を盛り上げてくれてました。
尾賀商店では資料映像の上映。以前川内倫子作品をここで見たことを思い出した。
カネ吉別邸も商人宅で、こちらもずいぶん立派。京都なんかより近江八幡のほうがこうした建物が固まって残っている気がするし、大事に保存されているのかもしれない。ここではなんといっても金崎将司の「百万年」がメイン。重厚な蔵の真ん中に光をまとってごろりと転がる物体はまさに百万年で、3331で見るよりずっと迫力があった。個人的にはこの作品は作品を根元から切ったところにポイントがあり、それをしたのが本人ではないとなると素直に感動もできないのだが、それはともかく。
日牟礼八幡宮に詣でたあと骨董市を一目見てから旧吉田邸。こちらはかなり久しぶり。河野咲子の人形がかなりいいし、ここは美術的にどうとかではなく、情念・怨念のようなこもった展示になっているのも好印象。会場に合っている。
最後がかわらミュージアムで、まずこの会場が暖かいことがありがたい。展示は台湾のアーティストたちで、やはり南国だからなのかカラフルで軽やか。その分、旧吉田邸とは対照的で個人的には好みではなかった。ただキュレーションを日本人がやると別種の作家も発掘されるのかもしれないが。
最後にもう一度まちや倶楽部と奥村邸に立ち寄る。このころにはほかのお客さんも増えており、その私語から気づかされることもあるのでありがたい。アート作品は静かに一人で見るのが好きなのだが、アール・ブリュットに関していえば少しわいわいと見たほうが楽しいかもしれない。
まちや倶楽部で食べたたこ焼きはなかなかおいしかったし、各会場ではボランティアの皆さんが親切に案内してくれてありがたかった。やっぱり近江八幡はいいなあ。
京都駅に戻り、バスで河原町近辺へ。バーガーキングで空腹を紛らわしたあとJET SETと100000t。Cyclo「Cyclo」1000円、ZAZENBOYS「すとーりーず」1300円。
旧立誠小学校でウィリアム・ケントリッジ「時間の抵抗」展。事前にはあまり情報を持たずに出かけたのだが、見れば見るほど謎めいた不思議な魅力のある作品だった。作品に込められたメッセージ性は映像と音楽でぼんやりながらも明確に伝わるのだが、途中から見た一度目より二度目、三度目とどんどん魅力が増してくる。飽きることがない。受け取っているものは変わらないのだが、より強く深く印象付けられるという体験で、これは行ってよかったとつくづく感じた。時間さえあればもう一度見ただろうが、これが限界。バス停に行くとちょうどバスが来るところで、今回の京都ではほとんどバスを待つことがなかった。ついてる。
二条で公○食堂へ。場所がわからず少し迷ったが、なんとか到着。結構お客さんが入っているが、なんとかテーブルの一角を確保。
最初が賢いユリシーズ。揺らぎながら立ち昇る音塊のような演奏で、ガラス越しの夜空を背景にした演奏は見た目にも楽しかった。音源のことを聞いてみたら没になったとのことで残念。スタジオ盤にはライブにはない良さがあるはずだと思うので、のんびり待っておきたい。
転換中になめろう定食を食べ、kaoが始まったのだが2〜3曲でタイムアップ。残念な思いで公○食堂を後にした。
外に出ると案の定というか盛大に音漏れしてて笑ったけど、その音がまたいい感じだった。
ライフで明朝用のサンドウィッチを買い、セルフレジで悪戦苦闘。案内には従ってるんだけど、その音声案内がそもそもカゴも袋も使わないような客を想定してないようで、でも案内が必要なのはまさにそういう層だと思うんだけどね。わかってないよなあ。
バスに乗り込み、さようなら京都。窓から見えるなんてことない夜道が沁みる。
京都駅に着くとなにやら噴水ショーをやっている。バルセロナのを1/1000くらいにしたようなちゃちなものだが、ちょっと見入ってしまった。
荷物を引っ張り出して日の出湯へ。少し雨で濡れつつ着いた日の出湯はまさにザ・銭湯な外観で中もザ・銭湯。番台や脱衣棚、カランや浴槽や女湯との壁、何から何まで昔ながらの銭湯。これはうれしい。おばちゃんも親切で、ほっとするようなひと時を過ごせた。
あとはラウンジに入って出発を待つだけ。時間を計算違いしていたので、実はもう少しkaoの演奏は聞けたのだけど、でも銭湯で時間を気にせず楽しめたのでよかったかな。
VIPライナーはさすがのクオリティであっという間に熟睡。