怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

大阪で

寝起きが悪い。
起きてすぐ風呂に入り、コーヒーとパンで朝食。この来山は無料のコーヒーとトースターのおかげで朝食が安上がりなのがいい。一食45円だもん。
大阪中央病院へ行き、次回の予約。前回頸動脈の問題があったけど、食生活の改善をすっかり忘れていたのでどうなることやら。
歩いて国立国際美術館へ。中之島でラバーダックの後ろ姿を見かける。そうか、今やってるのか、後で見に行こうと思いながら美術館に入る。850円のところエコカード割引で600円。安い。
今回は工藤哲巳「あなたの肖像」展。春に東京国立近代美術館に来るから今見なくてもいいのだけど、今回は大阪にはほかにいい美術展もないし、京都まで行くのは面倒だしでこうなった。工藤哲巳国立国際美術館のコレクション展で数年前に小特集されていたこともあり、新鮮味があまりないうえにそれほど興味もない。だから大きな期待をしていたわけでもなかった。しかし実際に見るとこれが衝撃的に良かったのだ。
二十歳そこそこの青年時代の作品からして特徴的な色彩と構成が見られ、ここで工藤の感性に自分自身がシンクロし始める。そうすると、非常に特異なものに見えたはずの工藤作品が実に納得できる当然のもののように見える。ペニスや人体を模した造形でわかるとおり、工藤の作品群はすべて肉体に根ざしており、肉体で感じられるか否かが焦点なのだ。グロテスクに見えるようなものでも、人体の一部である限りはグロテスクどころか親和性の高いものにほかならず、忌避する理由などないのだ。
そして年代を追い、工藤がアル中で入院したり経済的にも不本意な状況に陥るなどしたころから工藤の変調は始まる。作品は肉体性を失い、青年期のような、生来の色彩感覚などに依存した作品が増える。そして癌に苦しみ55歳で亡くなる直前の作品には痛ましさを覚える。工藤哲巳は徹底して肉体の人であった。裸で堂々とパフォーマンスしている工藤こそが工藤哲巳であった。そのことが展覧会を通してよく理解できる。
作品の点数は多く、しかも個人蔵も多数あり、おそらくは海外のコレクターから借用したものも多いだろう。大型のインスタレーションもあり、精魂傾けて展示を構成したキュレーターには敬意を覚える。これで600円。申し分ない展覧会だった。図録も充実しており、あのボリュームで2400円は格安ではないだろうか。
コレクション展は同時代の作家などの関連企画だが、見覚えのあるものがほとんどだし、この構成自体が珍しくないのでさほど感じるところはなかった。もちろん良い作品は多いのだけど。
バーダックを見に行く。幸い晴れているので、光の中のラバーダックは映えて見えるし、後ろにダイビルなどの高層ビルがそびえているのもいい感じ。ラッキーだった。
お昼になり空腹だが若狭ビルへ。ヨシミアーツで「Insight 10」というグループ展。もちろんお目当ては笹川治子さんなのだが、残念なことに笹川さんだけ年明けからの展示になるらしい。ただ山本志帆さんの作品が良かったので来てよかった。見覚えのある画風だなと思ったら以前ここで個展を見ていたのだった。その時も悪くなかったが、今回はさらに良い。二点とも早々に売れていたのはさすが。
力を振り絞って駅前ビルに行き、金券を仕入れる。青春18きっぷが2回分6200円で手に入ってラッキーだった。
そしてようやくカシミールへ。並んだのが2時前、食べ終わったのが3時前。やれやれ。今回はマトンにした。マトン、久しぶりだがおいしかった。やはりミックスより単品のほうがカシミールは味がいいと思う。あと、待ってる間につげ義春無能の人」をしみじみ読むのも好きだ。
FOLKに寄り古本を物色後、テヅカヤマギャラリーで野田万里子「HOPE」展とdddギャラリーで大宮エリー展。大宮エリーって何がいいのかさっぱりわからなくて、群がってる女の子は何をどう考えてるのかわからない。アートの才能は皆無だとしか思えないので、その辺はっきりしたほうがいいんじゃないの。その後心斎橋の○か×をのぞいたがポイントカードを忘れたことに気付いて何も買わず一旦ホテルへ。
休憩後、大寅で焼肉。おっちゃんらに囲まれて壊れかけのロースターで食べる焼肉、なかなかである。おばちゃんは奈良から通ってるとのこと。へえ。ロースバラツラと大ビールで2500円。満足。
酩酊しながら心斎橋のブックオフに立ち寄り後、nu thingsへ。空き店舗をそのまま使ったようなライブハウスで、客が来たことにびっくりされたような気がしたが気にしない。まあでもそんなもんだよなあ。
今日は結節点i!その26-反復–ということで、即興セッションのイベントなんだけど、まあ客が押し寄せる類のものではない。主催がN.O.Nのギター長野雅貴さんということで期待感があったのだけど、聞いてみるとさすがの出来栄え。出演者がそれなりに息を通じあってるからでもあるが、息の合ったところを見せながら予定調和にも陥らない。最後はダンサーも参加して、これがまた見事だったですね。僕は大瓶の力に負けて正直フルには聞けてないんだけど、聞いた分だけで十分満足できる内容でした。
寒い中ホテルへ。そういえば一日券を誰かにあげるの忘れてた。