怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

大阪から戻る

割とすっきり目覚め、風呂と朝食。すれ違う人が少ないのは、もうみんな出かけているのか寝ているのか。荷物を預けて出発。
野田経由で芦屋へ。余裕を持って出たので各駅停車で進む。空気が冷えていて気持ちいいが、開館待ちはしたくない。
松浜町を通り抜けて芦屋市谷崎潤一郎記念館へ。芦屋市立美術博物館は何度も来ているが、ここはいつも横目で通り過ぎるだけだった。
打ち水をしたばかりの美しいエントランスから中へ。先に記念館を一周。といっても本当に小さいもので、それなりにじっくり見てもあっという間。谷崎の人となりなどは改めていろいろ考えることはあるが、こういう機会でもなければ見に来ることはないし、見たら見たで不満たらたらになるだろう。
不満にならないのは、ロビーで須藤絢乃「幻影〜Gespenster〜」展をやっているからだ。なぜここでやっているかについては、タイトルが細雪作中の言葉から取られているからということであるようだ。理由が何であれ、僕はここで展示してくれたことに感謝したい。というのは、この谷崎潤一郎記念館は京都の旧居に設えていた庭園を模したものがあり、その庭がすこぶる気持ち良いのだ。もともと入館者は数人程度しかいないし、寒いせいで誰も庭園には来ない。人の話し声は聞こえず、ただ近くの道路を走る車の音が聞こえるだけで、実に落ち着いている。時折鹿威しが鳴り、池の鯉が身を翻す音を立てている。端に東屋があり、ここに座って池越しに建物を眺めるとガラスの向こうに須藤さんの作品が見える。実に気持ち良い。
さてその須藤絢乃作品、これがまた良かった。「行方不明になった少女たちのポートレート」という設定なのだが、おそらく入念に詳細に設定された少女たちに扮する須藤さんの衣装とメイク、そして表情が見事というほかない。真面目そうだったりあっけらかんとしていたり、遊んでそうだったり、しかしそのどれもが「行方不明」の前兆を醸し出している。加工された紙も捜索の雰囲気に一役買っており、全部で7点の作品はどれも良かったが、僕はM.S.、Y.K.、K.N.が良かったかな。
一つだけ残念なのは、作品が僕の部屋には絶望的に合わないこと。これはもう仕方ない。ただ、4月に作品集が出ると小さく書かれていたので、それならと思い直した。
1時間ほど過ごして退出。霧雨の中、駅へ向かう。
初めて江之子島芸術文化センターに行き、谷町筋から移転したON THE BOOKSで筒井康隆が責任編集していたころの面白半分81号を300円で。随筆でその顛末などを読んだことはあるが、雑誌としては読んだことがなかったのでありがたい。こういうの、古本屋の醍醐味だなあ。
続いて○か×で山本精一「Baptism」1050円、テニスコーツ「エンディングテーマ」945円。1割引きにもなり、お得であった。
動物園前に戻り、動物園前モツ鍋屋で定食と小ビール。お店の人は非常に丁寧だし店は綺麗だし割りばしは高級だし、すごく違和感。モツ鍋はおいしいけどボリューム不足で、これはお昼のセットだからなのか普段からこうなのか。行列がないのは助かるし、セットがあるお昼は割安だけど、好んで行くという感じではないかなあ。
そしてホテルで荷物を引きとり整理して、なんだけど、ここで大失敗。マフラーを置き忘れてしまった。外に出て寒く感じなかったのと、やはり酔いのせい。せめてすぐに気付けばよかったが。
気付かないまま阪堺電車寺地町まで行き、かん袋でくるみ餅をシングル氷で。冬だが全員氷だ。店内も暖かいし、全然違和感がなく氷を食べる。おいしい。今回は容器を持っていったので150円安くついたし、寄れてよかった。
そして店を出て寒さを感じた瞬間にマフラーがないことに気付き、かん袋に忘れたわけじゃないからもうホテルしかない。慌てて電話したら預かってくれていたようで、着払いで送ってもらえることになった。取りに行くとかなり時間をロスして、この後アウトレットに行けなくなるし。
ほっとしながら湊の駅まで歩き、南海で羽倉崎まで。隣に座ってた女のこと付かず離れずでずっと歩き続け、りんくうプレミアムアウトレットへ。りんくうで降りるより歩く時間は長いが料金はかなり安いという裏技である。
久しぶりに来ると店がかなり入れ替わっており、SHIPSUAtomorrowlandも無い。やれやれ。限られた時間を必死の形相でまわり、結局Timberlandで靴を買った。4830円だがギフト券を使って1830円のお支払。まあ悪くない。元値は1万幾らとかあったが、今やアウトレットが前提だったりするからあまり信用できないけど。
ここのアウトレットは場所柄か中国人などが多く、店員さんもその対応に迫られている風で、店の入れ替わりも客層が原因だろうか。SHIPSが中国人に人気あるとは思えないしね。
結局バスの時間ぎりぎりになり、夕食はファミマのテーブルで弁当という侘しいことに。
空港に着き、荷物のことで係員に尋ねようと思ったら、間が悪くかなり待たされ、外人に列を抜かされたり。やれやれ。しかも結果的には全然大丈夫だったし。
土産物売り場でお土産を買い、ラウンジで休憩。家族連れが大声でしゃべり食べ散らかしという惨状で、こういう時間に当たると嫌だなあ。
関空はバスじゃなく普通の搭乗。行きと違って隣にも人が乗ってきたけど、行儀のいい人だったのでよかった。
到着は約20分早くつき、これならバスも早いのに間に合うかと思い急いだけど間に合わず、結局円年待たされただけということに。車内ではおばちゃんグループのおしゃべりに悩まされたりといろいろあったけど、なんとか自宅に到着。
妻とくるみ餅を食べた。喜んでくれてよかった。ありがとう。