怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

聴こえてる、ふりをしただけ

朝から渋谷へ。忘れ物をして冷や冷やしたけれども、なんとか「聴こえてる、ふりをしただけ」の初回上映に間に合った。ギリギリにもかかわらず、なんとかまずまずの席を確保できた。
ストーリーはは割愛するとして、印象に残ったのは細かな描写がいきとどいていること。ちょっとしたしぐさで気持ちを表現させているので、少ない台詞と短い時間で心情を深く伝えてくる。例えば序盤のエプロンのシーンなどがそうだ。オーバーな演技を排して普通の振る舞いから感じられる心の傷が観客の共感を呼ぶ。最終盤ではもう目がほろほろとしてきた。が、決して泣くために見る映画ではない。人間はこうして成長していくんだなあ、こうして傷をふさいでいくんだなあ、とそういう気持ちがわき出てくる。できれば映画館で、それが無理ならせめて作品の時間をきちんと確保して集中して見て欲しい映画だった。
上映後舞台挨拶というものがあり、自分にとっては初めての体験。今泉監督は小学生役の子供たちと同じくらい小柄で、女優さんと同じくらい輝いていた。
タイトルの意味を僕なりに考えると、起こったこと、聴こえたことをありのままに受け止められることができず、ありのままに振る舞うこともできず、偽って生活していたことを徐々に気付いていき、喪失を自分の一部にすることができるようになったということだと思う。一見わかりやすいようでわかりにくく、でもそれを考えることが映画の理解を助けるという意味で、秀逸なタイトルだと思う。
渋谷ではヒカリエでギャラリーを観覧。さほど気に入ったものはなかった。
靴の底が剥がれかけたので接着剤を買った。