怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

読んでなんぼ

最近頻繁に図書館に通っている。年間数冊しか読まないという暗黒時代が嘘のように、今また読書に耽っている。確か中学時代は年間100冊は読んでいたと思うが、それに匹敵するペースだ。
図書館の良いところは現代作家の作品が気軽に読めるところで、もちろん本屋で売ってはいるのだが、無料だから失敗を恐れる必要が全くないというのがいい。阿部和重町田康のような作家が気軽に読める。村田喜美子黒井千次のような気になりつつも食指の伸びないベテラン作家も読めるし、もっと昔の人なら横光利一も先日「上海」を読んだ。横光利一をまともに読んだのは多分初めてだが、良い作品だった。
今日読んだのは金原ひとみ「アッシュベイビー」。「蛇にピアス」が芥川賞受賞時に賛否両論厳しい非難の声もあった作家と記憶している。たしかにこの人の作品は賛否両論になるだろう。実際読み始めての印象は悪かった。しかし読み進めるとこれは相当な才能のある作家だとわかる。確かに一見吐き気を催すような描写が頻出するし主人公の造型や語り口は文学作品のようには思えない。しかしそれがあくまで表層的な感想にすぎない事がわかってくれば、これぞ文学と間違いなく言える。読者にも相応の力量を要求する作家、おもしろい。