怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

あいちトリエンナーレ2016①

早朝起床。やや余裕があるかなと思ったために結局急ぎ足で駅に向かうはめになった。間に合わないほどではないからいいけど。それにしてもこんな時間にまで観光客が地下鉄に乗ってるから不思議だ。
前回のあいちトリエンナーレは西成の宿から出かけて、車内で玉出の寿司かなにかを食べた記憶がある。夜はぜんぜん眠れず、車内でも眠れなかったので相当辛かった。
その記憶のせいか今回も夜は寝付けなかったのだが、幸い車内ではぐっすり眠れた。アイマスクと耳栓のおかげかな。
名古屋に着いてまずホテルへ。しかし西側に出るルートが分からず、案内係のお姉さん(本来は外国人向け)に聞くも、西側という言い方が理解できないようで、地図を見せて説明する羽目に。予想以上に時間がかかり、また宿泊予定の第2松竹梅では荷物預かりをやっていないらしくニューのほうにまわるなど、なにかとうろうろ。そしてそこからバスに乗るまでにも時間がかかり、9時半の開館時刻に合わせるつもりが15分ほど遅刻となった。
名古屋市美術館でまずチケットと交換、そしてトリエンナーレから常設。
どうでもいい、いやぜんぜんよくないことだけど、この時に全会場全作品の簡単なガイドと地図をくれるんだけど、これ事前にwebで見れないものか。これがないから計画を全然立てれなくて、非常に困った。
小杉武久が当然のごとく良かった(他のお客さんの反応もよかった)し、動物の頭骨などを組み替えて造られたアブドラ・アル・サーディの「腔間構成」という彫刻が素材の持ち味を120%引き出したものになっていてこの会場の白眉。ただほかの作品がどうにも微妙で、こんな調子で大丈夫なのかと心配になる。ただ前回も同じように感じていたが愛知芸術文化センターに入ると一変したのでそれに期待するしかない。この会場が毎回微妙なのはなにか理由でもあるのか。
常設はなぜか既視感ある作品ばかりで残念。トリエンナーレのときしか来ない遠方客のことも少し考えてもらいたい。それともコレクションがこれしかないのか。ただここはキーファーがあるし、それ以外にも来るメリットがあるので次回も必ず訪れたい。
早朝から動いて空腹もつのったので鶴舞に移動し開店直後のとん八で味噌とんかつ定食1400円を食べる。初めて味噌カツを食べたのだが、味噌が想像以上にたっぷり、しかし塩辛さはなくむしろ甘口でまろやか。僕でも食べやすいから、物足りなく感じる人もいるかもしれない。1400円という値段だが、豚肉自体はそれほど上質でもなくまたご飯の大盛りも別料金。客あしらいが特別いいというわけでもなく、入店待ちが数人いるのはちょっと理解できない。これが人気店なら、今後味噌カツを食べる理由はなさそうだ。
愛知芸術文化センターへ。8階を半分ほど見て映像プログラムのピムパカー・トーウィラ「孤島の葬列」を見る。寝不足と疲れ、さらにゆったりとした映像とあって半分くらい眼を閉じていたかもしれない。しかしおおむねの展開はわかるし、そもそも夢幻の世界に迷い込むような孤島への旅にはむしろそれがぴったりだったかもしれない。主人公たちも半分正気を失いつつの道程だったのだろうし、叔母の家のシーンも張り詰めたような薄ものを隔てたような、実に不思議な感覚だった。美しい風景も含め、すばらしい作品。
そこから8階の残りと10階、さらに再見したいものをもう一度。まずマーク・マンダースの作品群が非常に良かった。ギャラリー小柳で見た作品もそうでないものも、そして各所に仕掛けられたインスタレーションも、すべてが良い。調和をもって造られた塑像のようなブロンズに打ち込まれた緊張が最高の効果を発揮している。大きすぎ、ねじくれ、親しみ深くあるべきものが不穏に見え、言い尽せない。ベルギーの作家だそうだが、当時知っていればベルギーで他の作品も見れたのかもしれない。それだけが残念。
そして三田村光土里「アート&ブレックファスト」。和やかで気の効いた、居心地良い空間に大満足。なんなら座りこんで読書にふけりたいような展示室だ。
もうひとつ良かったのがアローラ&カルサディーラ「The Great Silence」。深遠さと諦観に満ちた映像と独白は心に残る。
良作ばかりとはいえないトリエンナーレではあるが、しかしこの3つには満足できた。行ってよかったなと思えた。
無料ゾーンの西江雅之コレクションはなかなかいいものだったので、これはいずれ南山大学人類学博物館に行ってみたい。
最後に映像プログラム高嶺剛「変魚路」。悪くはないが、高嶺剛もやや老いたかという感想。
19時になり、会場まわりは終了。結局名古屋市美術館愛知芸術文化センターだけ行って、栄と長者町、その他無料展示は翌日ってことに。
このまま角屋に行ってもいいが、急ぐこともないので栄のブックオフに行き、UHNELLYSUHNELLYS」140円。500円以下CD半額セールだったが収穫はこれだけ。
栄周辺はお祭りで屋台など大変なにぎわい。僕も心はうきうきするけど、おっさんが一人でうきうきしたってしょうがない。
角屋へ。道すがらがとても寂しく、栄の賑わいとは一変。こういう詩情も悪くないか。角屋は初めてカウンター部分へ。しかし砂肝と胆が終わっており、ちょっと残念なことになってしまった。結局ねぎま、トン、ハツ、とり玉。あと注文間違いで困ってたので引き取ったピーマン1本。値段は110円になっていた。ところで角屋の食べログに「2本単位なんて特殊な…」と評している人がいたけど、そもそも焼き鳥の注文は2本単位がマナーなんだけどな。誰にも教えてもらえなかったんだろうか。まあ最近は1本でも普通に受けてくれるのは僕も知ってるけど、元々は2本単位で焼くもんですよ。お互いを寄りかからせて焼くからね。ビール1本でさっと席を立つ。これだよね。長居するもんじゃない。
ただ、どうもネタが落ちたかなあ、というのと、ちょっと焼きすぎ感もあったりで実はあまり満足はできなかった。うーん。
その並びにある中古CD屋greatest hitsに立ち寄ったところガラスに激突。また眼鏡をゆがめてしまった。しかし平静を装い棚を眺め、といっても9時の閉店まで10分しかなかったので特になにもなし。
さて、もうホテルに行ってもいいんだけど、部屋ですることがなにもないし、やっぱりブックオフかということで日赤中村のブックオフへ。ちなみに日赤病院がなんか悪の拠点みたいな感じでそびえたってた。
しかしこのブックオフが実は閉店してガストになっており、しばし呆然。何しに来たのか。しかたなくバスでホテルに戻るも、乗ったのが名鉄バスで一日券が通用せず別料金。ますます何しに来たのか。
荷物をピックアップしホテルへ。おんぼろながらも十分清潔だし、混んでもいないよう。隣室に客はいたがすぐに寝たようで静かになった。十分だね、ここ。