怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

さらば東京

早めに起き、さくさく支度。コンセントを忘れたせいで携帯とモバイルバッテリーを同時に充電できないのが今回の失敗で、なにかと不都合。なんとかなるけど。
新宿で荷物をコインロッカーに放り込み、かつやで朝食。朝からとんかつなど食ってる若者は何人かいるが、なんで自分がとんかつにこだわってるのかわからない。ただの意地かもしれない。
JRで大宮まで出て東武で岩槻へ。どこかの路線で事故があったらしくヒヤリとしたが、こういうのがあるから旅行は怖いよなあ。予定が全部吹っ飛ぶ。
岩槻は思ったより栄えてるのかと思ったのも束の間、結構な田舎町。こういう街にこそ惹かれる僕はできればぶらぶらしたいくらいだけどそうはいかない悲しさよ。
さいたまトリエンナーレの主会場のひとつである旧民俗文化センターは閉鎖された大きな公民館みたいなところで、ここでトリエンナーレ、しかも作家は錚々たる面々というのが違和感しかない。
ひとが少ないうちにお目当ての【目】を見てあとはさくっと見て回るつもりが、なんと調整中につき1時間待ちとのこと。ショックすぎる。せっかく開場前に着いた意味がない。案の定、人は増えてやっと受付できるようになったころには十人ほどが待っていた。運が悪い。
しかし11時10分、一番乗りで作品を「体験」できたのは幸運そのものだった。これ、2番手と1番手では全然違う。誰もいないところに入っていくことができたのはラッキーだったのだ。そして、調整とはどう見たって大変そうな掃除のことで、それは昨日の雨の影響によるもので、昨日だったら眺めることしかできなかったことを知ったら、もう感謝するしかない。無料のトリエンナーレだけど喜捨くらいはするよと思ったし、清掃してくれたスタッフたちには感謝しかない。ありがとう。ちょっとイライラしてた自分が恥ずかしい。
その他の作品では、小沢剛「帰ってきたJL」など。打ち捨てられたような会場で鳴り響くビートルズもどきが異次元感を出していてよかった。ほかの作品も結構いいものが多く、これで無料は大盤振る舞い。ただ、まるっきり理解できない人らも結構来ていて、その人らにとってはどうだったろう。
気が急く短い滞在だったけど急いでバスに乗り駅へ。大宮に着くと今度こそ遅延しているらしい。JRに関しては土地勘イマイチの自分なのでよくわからないながらも乗り込み、埼京線経由を選んだのが正解だったかどうかもわからないまま約20分遅れで東京国立近代美術館へ。トーマス・ルフ展。
案の定、例の通路部分のおかげでどうしようもなくバラけた展示構成になっており、これほんとどうにかならんのかね。作品自体はいいんだけど、せめて国立新美術館とか国立国際美術館とかならもっとまとまりのいい展示になったはずなんだけどな。大きな作品が多いので鑑賞時間は短め。
コレクション展は比較的未見が多かったかも。サクサク飛ばして見ていった。今回は満足。
さすがに空腹になったががんばって恵比寿まで移動し、バーガーキングでむしゃむしゃ。
新装オープンの東京都写真美術館杉本博司「ロスト・ヒューマン」展。どうしようかと思いつつも時間がありそうだから急遽追加した展覧会だけど、これは追加しなくてもよかったかも。杉本のコレクションを中心に人類の死に絶えた世界を描くという壮大な企画だけど、つまり杉本の個性がモロに出ており、なんだかなあという感じ。好きな人は好きだろうけど。ファラデーの放電気の実演が見れたのがいいかな、というのと、あとデュシャンの「落ちる水」へのオマージュ作品がちょっと好きだった。廃墟劇場は作品の要約に感じるところが多く、これも良し。図録はもちろん買わないが、4500円のポスターが完売しているらしいのには目眩がした。
恵比寿だし久しぶりにwaitingroomに寄ったら、昨日で展示が終わっていた。この辺、下調べの甘さが出ている。MEMに行くと森村泰昌の初期作品展示をしており、このカッチリした構成とユーモア感覚は現在の作品群より好きなくらい。行ってよかった。NaDiffでは映像上映もやっていて、たっぷり時間を取っておく手もあったかもしれないが、急いた心では存分に鑑賞できないのがこの映像作品ってやつなので、これはこれでいいかも。
表参道に移動し原宿AM。ここも様子がおかしいぞと思ったら、なんと月曜は休み。祝日だから大丈夫と早合点していたのはやはり下調べの甘さで、ボロボロじゃないか。荒木経惟はあわよくば購入さえ考えていたのに、この体たらくだからなあ。
GYREのリンチ×西尾はリンチの作品1点のみと西尾の織物による空間構成。通り道だからいいけどさあ。
エスパス・ルイ・ヴィトンの「ピエール・ユイグ - アンティルド ホスト」展はまずまずだった。ヴィトンスタッフに見守られながらあの映像作品を鑑賞するのは実に妙な気分がする。
東京最後の夜。別にこれが最後ってわけじゃないけど、住んでた頃はあまり来ることもなかった夜の表参道。ざわめきと人の群れ。東京から大阪へ行ったときも似たような感覚があった。住んでない人間の感覚。エトランジェ。巴里の亜米利加人。
ここから高円寺へ。とよんちを一応除いたがやはり売り切れだったのでそのまま無力無善寺へ。
高架の耐震工事で半年ほど休業していたはずだからピカピカになってるのかと思ったら、中はほぼ何も変わってない。法師も相変わらずで女性出演者にセクハラの嵐だけど、これどうなんだろうなあ。出てる人の気持ちまで僕が考えてもしょうがないんだけど。
見たのは3番目の坂口沙子から。以前よりしっかりした声になり、その「普通さ」は本人が目指す進化だったのだろうけど、僕にとっては魅力が失われたようにも思える。本人の指向するものにはこれから行き着くのだろう。
4番目の咲。キーボード弾き語りは安定感がある。
5番目は大収穫の利光暁子。虚ろに響くギターは無善寺の空間効果もあって恐ろしい異次元さを醸し出していた。また見たい。正直なところ消去法の結果来たようなものだったが、そこでこういう宝があるからやはり無善寺は侮れない。
最後は法師改め菩薩。相変わらずのトーク
少し時間があったので高架下に新しく出来たらしい広州市場というワンタン麺屋。高円寺に着いた時間帯では行列だったがさすがに10時過ぎると空席はある。広州雲呑麺のワンタンは注文を受けてから包むようでまずまず本格的。悪くない。ただ麺は僕の嫌いな太麺で、おいしいとは思えない。ワンタンだけ食べるならアリかもしれないが、ここに行列ができるってのがわからない。さすが東京。
新宿へ移動しコインロッカー前でのんびり荷物整理してたらいい時間になってしまい、バスタ新宿で急いでトイレと歯磨き。ギリギリでwillerに滑りこみ。
シートの造りは凝っていて、寝やすいといえば寝やすいのかな。毛布が薄くて夜中寒かったのでそれが安眠の邪魔をしたような。この辺は難しいとこなんだけど。でもシート間長いのは楽だわ、なにかと。そこは助かった。