怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

牧野貴2Days その2

早起きのつもりが9時。びっくりした。東京国立近代美術館に着いたのが結局11時。時間もないし特別展の「これからの美術館事典」がいまひとつと判断し常設展のみに。東京の人だと京都や大阪のコレクションが見られるのは魅力だろうが、僕は見たものがかなりあるし。
この東京国立近代美術館の常設展、同じものが何度も何度も出ているので正直なところいつもあまり期待してない。が今回は概要を見たところ面白そうなラインナップだったので来たというわけ。その予想は的中だった。
ハイライトの部屋はほとんど見たものばかりだが、それ以降は未見が続々で、そうでないものも僕好みを出してくる。特に3階と2階は作品選択が素晴らしい。「誰がためにたたかう?」というタイトルゆえだろうが戦争画がフィーチャーされ過ぎなのは仕方ないとして、森村泰昌のレクイエムが再見できたのはうれしい。この作品、鉢巻きに「七転八倒」とあったりして三島を小馬鹿にしたようにも見えるが、安穏たる公園に向かって鬼気迫る演説をする滑稽さと切実さが絶妙のバランスで、公園風景との対比の構図も見事。何とも言えない感慨に襲われる、森村芸術の真骨頂だろう。日本画コーナーも特異な作風をあえて特集して新味を見せている。
そして2階は塩田千春のBathroom。これに不愉快云々と苦情が来るらしいが、そんな奴らは美術館に来なくていいし苦情がありますとわざわざ言明してしれっと展示する美術館の腹の座り具合もいいじゃないですか。
イケムラレイコの横たわる少女も大好きな作品だし、村上隆タミヤシリーズも好きな作品。そして白眉は山城知佳子の「肉屋の女」。森美術館のMAMで見た作品で、フェミニズムの視点から見ることももちろん可能だけど、それにとどまらずに消費されるヒューマニズムとか再生を見ることもできるし、なによりパワフル。肉に集約されたイメージが連綿と連なって息苦しいほどに傑作。作者蔵になっていたが、この機会にぜひ購入すべきだと思う。山城知佳子の作品、ほかにも見てみたい。
というわけで大満足で家に帰り、遅めの昼食はパン。
そして再び出かけて今度は吉祥寺へ。駅南も行きたかったが割愛して百年。いつも通りか。なかなかレアものの多い店だが、そこから選び買うという動作が難しい。
ディスクユニオン。セールの文字に惹かれてついつい余計なものを買ってしまう。ニプリッツ「講堂ブギ」1234円、YankaNoi「Neuma」1081円、TEI TOWA「Motivation 7」649円。
ちょうどいい時間でOngoingへ。牧野貴コラージュ作品を再見し昨日は見れなかった映像作品をじっと見る。何時間でも見ていられそうだからもっと早くに来ればいいのだが、ついつい古本屋なんかに寄ってしまうのが自分の性。
今日は自家製ジンジャーエールを飲んでみる。
今日の企画はレクチャーと参考上映ということで、コラージュを作るようになった経緯やその意図、映像作家その他によるコラージュ作品例などの紹介。参考上映は自作を2本で今日は3Dはないのだが2Dで見ていてもなぜか自然と立体に見えてくる。そして音楽との相関関係が素晴らしく、これが多くの有名ミュージシャンとコラボレートできる理由なのだろう。映像は音楽を殺さないし音楽は映像をサポートし、理想的な共犯関係にある。映像がそのまま音になったような密接さがあり音を映像の形に焼き付けたらこうなるんだろうという色と形が踊る。僕の場合は共演ミュージシャンが大好きだったりCDくらいは持っていたりと大なり小なり頭にある人たちばかりだから特にそう思うのかもしれない。逆に言えば、牧野さんの作品が好きならばコラボレートしたミュージシャンの作品を片っ端から聞くとさらに奥行きが広がるのではないかと思う。
あっという間の2時間。昨日の自主的な宿題を済ませる。喜んでいただけたが、実際調べてみたらどうだろう。ちょっと無理やりだし。その一方で面白そうなイベントの情報も教えてもらったりとなかなか有益だった。
牧野さん葉山さんにもご挨拶して、この夏プチ自慢で着倒してるHorsesTシャツを褒めてもらえたのはうれしかったなあ。あと、久しぶりにナチュラルな関西なまりを聞けてそれもなんかうれしかった。中学校の同級生が「女の子の関西弁はいい」といつも力説してたのを思い出した。