怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

高雄の旅・3日目

起床。さわやかだ。
朝はだいぶ冷え込んだがかろうじてシャワーも大丈夫。浴び終わった後にお湯が出はじめたけどそんなもんだ。
朝を食べに行こうとおばさんに店を聞いたが、台湾式の朝食を出す店はまだやってないよ、サンドイッチなら近くにあるとのこと。台湾の人はよくサンドイッチを食べる。そういうのもいいだろうが、まあせっかくなので遠くになるが中華早點というお店へ。流行ってる。原味蛋餅と甘豆醤を注文。おいしかった。
帰ってくると、おばちゃんが、「ばあちゃんが何か作ってあげようかって」とのこと。うれしい。うれしいが、自強号の時間とバスの時間、その前にちょっと鯉魚山に行く時間を考えるともう無理だ。ありがたいが、お断りするしかない。たかが一泊のしかも僕のようなおじさんにここまでしてくれる宿は初めてだ。世紀旅社に泊まってよかった。ありがとう。おばさんのことは忘れない。今度来たら食べてねという言葉は忘れない。台東にまた来るのは現実には難しいかもしれないし、来てもおばちゃんは忘れているだろう。それでもいい。おばさんは旅の嬉しい思い出をくれた。
旧駅あたりから裏の鯉魚山へ。靴紐を締め直し、少し歩いたところで時間を見ようとしたらiPhoneがないのに気がついた。真っ青。iPhoneをなくしたら、金銭的にも大変だしそもそも旅の予定にも大きく影響する。まずい。自強号を乗り逃してでも徹底的に探さないといけない。だが宿を出た時には確かにあったわけだし、どこで落としたのか考えていくと、靴紐の場面が怪しそう。戻ってみると歩行者信号ボタンの上に置いていた。ほっとした。わずか数分とはいえ盗まれなかったことに感謝だし、見つかったことに感謝。旅も3日目で慣れと疲労があったんだろう。気を引き締めなければ。
なにかの施設前で朝市をやっており、野菜だとかは買ってもしょうがないので雑貨類を見たりする。こういうのが楽しい。
鯉魚山は忠烈祠がどうとかより、太極拳おじさんやカラオケおじさん、麻雀おじさんらのほかに社交ダンスおばさんもいてなかなか楽しかった。台湾の公園はいいな。
そろそろバスの時間なのでバスステーションへ。調べは正しくて、9時半にマイクロバスが出発。乗客は僕だけ。途中で二人乗ってきて、運転手と四人で台東駅に到着。
少し余裕があるので駅構内をうろうろ、といっても小さなコンビニがあるだけ。駅前ではなにかの飴を売ってるおばさんが試食させてくれたり。すぐに時間が来て自強号に乗り込む。この列車も古い。行きは2時間だったのに帰りは3時間というのも変な話だが、遅くなるくらいだから車両が新しくなる道理がない。今度も隣は若い女の子で、なぜか両津巡査のイラストを一生懸命書いていた。なぜだ。
予定では車内で台鉄弁当を食べるぞと意気込んでいたのだが、車内販売は来れど弁当はない。どういうことだ。お昼時、少し長めに停車したあと、近くの席の家族が弁当を食べ始めたので、もしかしたらホームで売っていたのかもしれない。しまった。研究不足だったかも。台鉄弁当は結局ゲットできないまま高雄駅に着いてしまった。
行李房で荷物を引き取り、シングルインへ。路地のほうかと思っていたら四つ角のほうで、無駄に歩いてしまった。おしゃれなシングルインはフロントの男も流暢に英語をしゃべる。やれやれだ。面白くないな。とりあえず荷物を預かってもらって、空腹を満たすべく向かいの正忠排骨飯へ。実のところ排骨飯というものは食べたことがないような気がする。どうだっけ。店員さんに邪険にされつつ注文し副菜を選ぶ。簡単だ。2階に上がって薄暗い店内汚れたテーブルでもそもそ排骨飯を食べる。これがなかなか美味い。無料の紅茶もよく合う。美味いというのは、びっくりするような美味さではなく、なんというかこれが台湾の味なんだなという美味さ。台湾で台湾人が普段食べてるものを食べてる感覚。日本でいうと牛丼とかそういうことかもしれない。
満腹になったところでオレンジラインに乗り、西子灣のほうへ。
ここでもiPhoneを膝下においていたら立つ時にはすっかり忘れていて、あやうく無くしかけた。向かいの席のおばちゃんが騒いでくれたおかげで助かったけど、またやらかすとは。情けない。
塩埕埔站で降り、まず樂虹二手唱片でCDを3枚買う。3枚買うと1割引(9折)で、合計310元が270元になった。鄭秀文「去愛吧」100元劉虹嬅「一人跳舞」90元林玉婷「拒絶不了」120元。端数は切り捨ててくれるようだ。ここはCD専門で、レコードはほんの20枚程度。土曜の午後でも暇そうだったし、やはり今はCDは売れないのだろう。
そこから書包大王へ向かったが、途中で樺達奶茶
という店を見つけた。だいぶ流行っているようだったので便乗して僕も樺達奶茶のタピオカ入りを注文。わりと自然な味わいで、お茶味が強め。けっこう美味しかった。飲みながら歩いて行くと書包大王があったので商品を見る。ぶら下がっていた國立臺北藝術大學の名前が入った鞄がよかったのだが非売品と言われたので、迷った末シンプルなベージュの鞄を選択。正直、都蘭國小は今更感もある。欲しいっちゃ欲しいんだけどなあ。
そこから堀江商場方面へ。かなり古びた街並み、路地が多くあり、僕としてはかなり好きなスポット。そんな中にも地上げ途中のような場所もあったりする。こういう街もだんだん消えていくんだろうが、僕としてはもう少し頑張って残って欲しい。これが台湾の良さだと思うから。
路地をうろうろしてると時間の経つのを忘れる。
堀江商場には何軒もお茶屋さんがあり、たいていは店主が客と茶を飲みながら話し込んでいるので入りにくいのだが、暇そうにしている婆ちゃんのお店で緊圧茶の小さいのを買った。お土産用。
店を出て、藝術特区のほうへ。もうそろそろ夕方だ。途中の公園でフリマをやっていた。家族がやってて子どもが遊んでる、ほんとのフリマ。なんか面白いものあるかな、と見てまわると目についたのが黄色いドラえもんドラえもんはもともと黄色で耳があったのだけど、これは耳がなくて黄色。しかし作りはしっかりしており、模倣品ではなさそうだ。台東の夜市では花柄のドラえもんもいたので、台湾ではこういう展開をしているのかもしれない。
藝術特区に行くつもりが人の波に惹かれて鉄道公園へ。予定なんかどうでもいい。鉄道公園では、大勢の家族連れが散歩を楽しみ、凧揚げをしていた。電線のない広い公園、海からの風で凧は空を舞う。夕暮れの色が濃くなってゆく空を、いくつもの凧が揺れる。暖かな空気に包まれ、僕はいつまでも空を見上げていた。これが台湾旅行なのか高雄観光なのかなんて問題ではない。これは間違いなく幸せな旅の瞬間だった。
やがて闇は濃くなり、凧も少しずつ減ってきた。僕も腰を上げる時間だろう。
まずホテルへ行ってチェックインを済ませ、ついでに簡単に汗を流す。すっきりして、調べておいた阿成炒飯専売店へ。桜エビとカニの炒飯の大を食べる。ビールが飲みたくなったので聞いてみると大瓶だけらしく、それならいいよと言うとじゃああっちで買ってきてとのこと。急いで買ってくるともう炒飯はできていて、おばちゃんがハオツーと言いながら胡椒をかけてくれた。みんな暖かいなあ。すぐに食べ終わっだけど、もう店の看板は電気が消えてて、最後の客だったみたい。パラパラの炒飯おいしかった。
最後にまた六合夜市へ。店のいくつかは曜日で変わっているのか、見覚えないのもいる。うろうろしてそこから他の通りなんかを歩いて、まあ疲れるだけなんだけど。
もともと怪しかった靴底はこの頃にはかなり剥がれてきてて、コンビニで瞬間接着剤を買う。ところがこの瞬間接着剤がなかなか開かず、最終的にフロントにハサミを借りに行った。ああめんどくさい。
それだけではなく、隣の部屋の奴がうるさい。最初はわからなかったが、どうも電話をしてるらしい。結局1時半にフロントにクレームしてやっと就寝。