怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

高雄の旅・2日目

ベッドはさすがの寝心地。疲れと寝不足で爆睡だった。
1泊だけというのは慌ただしいものだけど、まあ仕方ない。荷物を詰め込みあのおじさんに鍵を渡してんでホテルを出る。あのおじさんに鍵を渡して
とりあえず高雄駅の行李房に荷物を預け、と思ったら閉まってる。表示では7時からと書いてあるんだが、変わったんだろうか。困った話だがどうにもならないので、荷物を背負ったまま昨日ぶらぶら歩きしてる時に見かけた田記豆漿という店で朝ごはん。鹽豆漿と油条、焼き餃子が3つ。2つと言ったのに。でもこの焼き餃子が滅法美味かったのでよかった。鹽豆漿もおぼろ豆腐のようだったし、油条もおいしかった。なかなかいい。ただし量は多すぎた。
それにしても台湾のお店は注文の仕方や会計が店ごとに違うからいつも困る。ここは自分で取って豆漿だけ注文、その場で払うスタイルだった。
食べて満腹になったところでまた駅へ。やっぱり行李房は開いてない。開くようにも見えない。駅は地下化の大工事中なので、閉鎖されているのかもしれない。通りすがりの作業員に聞いたがわからないようだ。案内係みたいな人に聞くと、地下のインフォメーションに行けと。そう言われてもそのインフォメーションはこの時間はまだ閉まってるし、どうしようと思いつつ改札のとこにいた案内係に聞くとコインロッカーを教えられる。いやそうじゃないんだ。コインロッカーは時間制で割高だし明日出せるかどうかもよくわからないし、もう仕方ないから荷物を全部持ち歩くかと思いつめたころ、基本に帰って案内板を確認したら、書いてあるじゃん。なあんだ。そりゃそうか。
その行李房、閉まってたんだけど隣の窓口(これが上で言ってたインフォメーションのことだったらしい)に言うと対応してくれた。なあんだ。1個1日30元。明日の分は明日引き取りに来たとき払えばいいとのこと。
というわけでほっとして改札をくぐる。初台湾で台北から嘉義行きの台湾鉄道夜行に乗ったとき、やけに薄暗い駅でドキドキしながら乗り込んだものだけど、この高雄駅は新しいし少し明るくなってドキドキもしない。それがいいことなのかどうかわからないけど。
自強号は思ったより古い列車で、かなり時代を感じる。特急どころか普通列車でもちょっとないくらいの古めかしさ。そういうのに乗りたかったのでうれしい。新幹線に用はない。トイレも相当古い。新型開発の労力は全部新幹線のほうにいってるんだろうか。指定席の隣は若いかわいい女の子。やはり台東で降りたけどどういう用事だったんだろう。
すこしうとうとしたり風景を見たりで台東には定刻より少し遅れて到着。ぞろぞろと駅の外にでたけれども、バス停がよくわからずバスもよくわからずで結果的にバスを乗り逃し、1時間近く待つことになった。待っていた客たちは次々に来たバスに乗り込んで行き、僕が取り残される。何もない。風が吹く。犬が歩いてる。南国の駅前って感じだな。駅が旧式ならもっといいが、まあ仕方ない。
やがて来たバスに乗り込んで旧市街へ。バスステーションで降ろされてさてどうしようかどっちにホテル街があるんだろうと歩き出したところ、原付が猛然と走り去った。台湾のよくある風景だが、敷石がぐらついていたようで前輪がはまって原付はきれいに前方に半回転しクラッシュした。僕はあぜんと見てるだけだった。ノーヘルの兄ちゃんは当然流血していたが意識はあるし重症ではなさそう。作業に来ていたおっちゃん達や近くのカフェの人らが集まって原付を起こしたり救急車を呼んだり。台湾はちょうど地方議会選挙の真っ最中のようだったが、その運動員らしき人がしきりに写真を撮っていた。
僕ができることはなにもないので、あとは任せてぶらぶら歩く。サイレンを鳴らす救急車とすれ違った。
歩けども意外とホテルがみつからない。勘が鈍ったな。そうこうしてるうちに観光客も多そうな一角に入り、先に昼食でもと思ったが、有名店がどこも14時からだったのでやっぱり先にホテルだなと歩く。やっとホテル街らしきところにさしかかった。高すぎてはいけないのでいくつかやりすごしたところに見つけたのが世紀旅社。見た目も名前も安宿そのままだ。入り口の長椅子でテレビを見ていたおばちゃんに聞いてみると700元。この外観にしては少し高いようにも思ったが、値切るほどでもないし他所を探す気もしない。なにより、おばちゃんが親切そうなのでここに決めた。
鍵を渡された305に行ってみるとがっかりしたのは古さではなく部屋が汚れていること。前の客が出た後、たぶん掃除してないのでは。別にいいんだけど、でも掃除済みの部屋がほかにもあるので、一応言ってみたらごめんごめんとすぐ替えてくれた。たぶん、客はまず305から入れることにしてて、昨晩たまたま客がいたけど毎日満室になるような宿ではないというか客は来たり来なかったりなんだろうから放っておいたんだと思う。
というわけで荷物を置いて昼食へ。まず林家臭豆腐。開店したばかりだというのに客がいっぱいだったけど辛うじて空いてたスペースで小を食べた。60元というのが高いのか安いのかわからないけど、なるほどおいしい。臭みはあるけどあまり気にならず、サクッとカリッとしている。といっても半分以上食べたあたりからだんだん臭さが鼻につきだしたけど。でも、この臭豆腐ならまた食べてもいいかなと。
それだけでは終わらせられないので、宿の並びにある福田水餃店へ。入ってびっくりの餃子1個1元。安いなんてもんじゃない。王将の1/10くらいの値段では、いくら台湾でも原価くらいじゃないだろうか。味はややさっぱりで、台湾としてはめっぽう美味しいというレベルではないだろうが十分美味しい。それにしても最低20個というのは厳しかった。後から考えれば、代金は20個分で餃子は半分にしてもらえばよかった。この福田水餃店、オーナーが篤志家らしく、あちこちに寄付している映像がずっと流れている。この店もその一環なんだろう。僕なんかが食べるのはお門違いだったかもしれないが知らなかったから仕方ない。
あとは台東帆布行と東昌帆布行。縦縞の東昌でA4が縦に入るサイズのを買った。140元。あと、ちょっと目についたカジュアルそうなお茶屋さん台東老東芳青草茶で30元の仙草茶をおそるおそる試しに飲んでみた。このお店がいいからかどうか知らないが、適度なクセがあってなかなかおいしい。お思ったよりグビグビ飲んでしまった。しかし実は試飲で出てきた熱々のお茶”福冒熱茶”がとてもおいしくて、ティーバッグタイプのを購入。220元だった。ちょっと楽しみ。
一旦ホテルに帰って少し休憩していたところ、たところ、お湯が出るようになったよとのこと。そういやそうか。安宿のお湯なんていつも出るもんじゃない。でも大丈夫。Tシャツの季節だから出なくてもなんとかなるさの心構えでいこう。
旧駅周辺に行ってみると、事故現場にはコーンが置かれていた。
鐵花村の周辺はちょっとしたおしゃれスポットのようで、ストリートミュージシャンが演奏したり出店が手作り系のものを売ってたりする。気球を模した提灯も飾られている。夜は黒旋風というバンドがライブもやるようだが、リハを聞いてる限りあまり興味がもてないしそもそもチャージを払わなくても音が丸聞こえだ。
僕が耳を留めたストリートミュージシャンがたのはmilee cookie(米粒餅)という二人組。ギターと二胡という組み合わせはベタだしカバーの選曲もベタ。しかし台湾の田舎町で夕暮れに耳を傾けるにはちょうどいい音楽だった。CDを売ってたら買うんだけど、そういう時代じゃなさそうだ。
周辺ではほかにも数組のミュージシャンがやっていたが、そのなかでもこのmilee cookieには多くの人が聞き入っていた。
台東観光夜市も本格的に始まり大盛況。高雄の六合観光夜市よりこっちのほうが楽しい。観光客の少ない台東だからこそだろうし、どことなく店も客もギスギスしたところがなくのんびりした様子がある。楽しいといっても何か食べるわけでもない。台東に来たからには米苔目を食べないわけにはいかない。そのためには、ここでは何も食べられない。まあどうしても食べたいものもないことだし。ぶらぶらしてるうちに7時になったので夜市を抜ける。
米苔目の有名店はいくつかあるようだが、一番有名そうな老東台米苔目に行った。立派で広い店だが、中に入ると客はまばら。間違ったかなと思ったが有名人の写真だかが壁一面を飾ってるから有名店なのは確かなようだ。7時すぎだからそんなに遅い時間でもないはずだけど、この米苔目というのは夜食べるものではないのかもしれない。ここも注文システムがわからなかったが、席に案内されてメニューを見て注文を書き込んだら札に書き込み入り口のレジに持っていき金を払い、あとは出てくるのを待つらしい。誘導されてやっとわかった。外国人の面倒見てるお姉さんも大変だろう。すまん。食べたのは汁ありの方で、鰹節が乗っててかなりうどんに近い。おいしいのはおいしいのだが、うどんの亜種と思えてしまっては海外旅行の気分が出ない。でも親切にしてくれたスレンダーお姉さんありがとう。
余市に戻ったが、お昼の餃子20個が効きすぎていまだに満腹でどうにも食べる気がしない。辛うじてフルーツジュース(火龍果鳳梨汁)を飲むくらい。これはこれでいいけど。本音を言えば東山鴨頭にチャレンジしたいのだが、どんな味だか見当がつかず、結局チャレンジできなかった。次回こそはなんとかしたい。油で揚げてザクザク切っていくあの雰囲気はたまらない。無難そうな部位さえ選べばなんとかなるはずなんだが。あと、当て物系の屋台も気になるのだが、ルールがはっきりわからないし巨大なぬいぐるみをもらってしまうとそれはそれで大変なのでやめておいた。もっとも、初めての人間にはぬいぐるみどころかガムすら難しいわけだけど。
もう一度milee cookieの演奏を聴いたりまた夜市に戻ったりで、夜市のひける10時で宿に戻る。おばさんが待ちかねていたようだ。すまん。安宿はそういうとこにも気を使うべきなのだが、うっかりしてた。まあ許容範囲だと思うが。
お湯はたいして出なかったが、体を洗うのはなんとかなるので大丈夫。ごろり横になって熟睡した。