怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

TOKYO2

風呂入ってさっぱりしてから一度チェックアウト。毎日チェックアウトとか、面倒で仕方ないのだが。なんとかならんのだろうか。清潔感や客層など悪いカプセルホテルではないが、このチェックアウトシステムとカプセル・ロビー間の移動に時間がかかりすぎるのはかなりの欠点。
とりあえず定番の松屋で定番のソーセージエッグ定食。松屋のご飯、美味しくないんだけど文句言える値段ではない。
まず東京国立近代美術館。お目当てはゴードン・マッタ=クラーク展。過去に行われたビルディング・カットなどの記録や資料が多く、そこから作品の意図を読み解いていく展示。まあ作品そのものを展示できるわけではないし、意図こそが作品とも言えるからこれは当然のこと。
ただそうなるとやはり作品を見ての新鮮な驚きや感動というものは生まれにくく、どうもお勉強してる形になってしまう。美術館の、あるいは美術展の意義のひとつはお勉強だから当たり前のことではあるが、僕のようなライトな美術ファンには敷居が高いところもある。あるいは、展示は見なくても図録さえ熟読すれば良しというか。そんなわけで、そこそこで切り上げてコレクション展のほうへ。久しぶりなせいか、ここにしては珍しく初見のものもたくさんある。ちょっとずつは展示替えしてるんだなと見直した。コレクション展での今回の見どころは寄託のミリアム・カーンだろうか。もう少し広いスペースなら真価が出るのだが、こんな箱では仕方ない。国立国際美術館に寄託すればいいのにね。
また、最後の小企画「瀧口修造と彼が見つめた作家たち」が非常に素晴らしいものだった。彼自身の作品がもちろん優れたものだし、しっかりした審美眼を通して選ばれた作品群のなかに身を置くことそのものが心地いい。瀧口修造関連はなにかと見に行ってるが、よほど感性が合うのだろう。
恵比寿へ移動し、暑いのに坂道を登ってpost。基本的に書店なのでどうも行きづらいのだが、ホンマタカシ「その森の子供」は淡々と茸を写しているにも関わらず、撮影の背景を聞くまでもなくねっとり絡みつくような恐怖感が現れており、さすがだなと唸った。
NADiffはChim↑Pom「日本のアートは」展。「泉」を糸口に彼ららしい破壊と暴力のイメージで圧倒してくる大規模なインスタレーション。作品の意図やメッセージ性そのものが特に優れてるというものではないが、まあやはり見ておきたいというところか。MEMでは石原友明「三十四光年」。初となるスクールデレック芸術社会学研究所ではさすがにオープニング、ダレン・アーモンド「時の光」。既存のイメージに差異を作って別世界誘う作品はギャラリーの名前との相乗効果もあって、アカデミックな世界だった。
地下鉄で六本木へ。ギャラリーmomoとピラミデビル、complex665へ。OTAの久門剛史「トンネル」とmomoの池田幸穂「知らない島」はまずまずいい展示。禪の架菜梨案はこれはこれでいいものなんだろうけど、思ってたのと少し違ったかな。ギャラリーの色とは外見はかけ離れてるし、しかし主張はしっかりこのギャラリーらしいのは面白かった。
ほぼ夕方になってきてゴーゴーカレーで昼食。小汚い店だが六本木で手早く安く食べるとしたらこことバーガーキングしかない。選択肢があるだけマシ。もうすぐゴーゴータイムが廃止になるようで、つまり値上げ。そうなったら来ることも少なくなるかもしれない。
六本木の最後はタカイシイfilmで奈良美智写真展。奈良さんはあの絵がいいのであって、陶芸とか写真とか別に、と思いつつ行ったのだがこれが良かった。対象の切り取り方、向き合い方はまさに奈良さんそのもの。絵を見ている時の感覚で写真を見ていられる。なんでもないような写真だが、ひとを惹きつける力がある。例えば台湾の古いアパートの前で俯く少年をとらえた1枚は、少年への瑞々しい感情と台湾への愛が伝わる。奈良さんの年齢からするとこんな若々しい写真が撮れるというのは奇跡のようなもの。感動しかない。テーブルにコラージュされた写真たちも、一点一点に見入ってしまう。こんなにいいものとは思わなかった。思わず写真集を買いそうになったけど、うーん。写真集すらためらう僕の財布よ。
そろそろ夕方。新宿タワレコへ行き、懸案のミチノヒ「but to do」を購入。今日のライブで売ってる可能性はあるが、そこは特典に釣られる僕のさもしさである。まあデモとか未収録曲ではなく特典が残っててよかった。レジのお姉さんは研修中のようだけど、言葉遣いが妙に丁寧だし手を組んでゆっくりお辞儀するし、そう教えられてるんだろうけどタワーレコードにそんなこと望んでないのに。普通にやってくれたら充分なのに。上の人がおかしいんだろうな。
金券ショップで余りを売却。昨日直接声をかけるのはさすがに勇気がなかったというか大阪なら普通に商談できることが東京では警戒感あらわだったりするのは実体験で知ってるから出来なくても仕方ないとしても、よく考えると持ち帰ってあとで売っても良かったのだった。まあいいけど。
少し時間もあるので移転したというディスクユニオンにも立ち寄ったところ、ビルのエレベーターにいまどき珍しいエレベーターガールがいた。珍重すべし。むかしは当たり前にいたものだたけど、技術のいらない今のエレベーター、立ちっぱなし接客しっぱなしで意外と重労働、考えるほどに消えて当然のものだ。ここだって時間の問題なんだろう。
秋葉原に移動してクラブグッドマンへ。JRで行くのは新鮮だ。なにしろ大阪に引っ越してからは初だからトイレの様子もすっかり忘れていた。ここのトイレはライブハウスには珍しく広々していて気持ちいい。
今日は壊れかけのテープレコーダーズワンマン。前回はフィーバーだったっけ。壊れかけにはこっちのほうが似合う。
ワンマンだけに掛け値なしのロングセット、最近の曲中心でありつつも過去の名曲ももちろんふんだんに織り込んだ構成で、今の壊れかけと壊れかけの歴史両方を表す曲群だった。集大成でありつつ未来を見据えるあたりは小森さんらしい。明後日見に行くひとも来ていてご挨拶など。
グッドマンを出て、駅と反対方向へ少し歩く。まっすぐ帰るのはもったいない。夜の風と道。身体はくたくたでも心はそれを必要にしている。
夕食にコンビニ麻婆丼を買いホテルへ。
チェックインして、昨日よりはマシな動き方で無駄を省いて就寝まで。