怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

東京3/4

御徒町に出てかつやで朝ごはん。重ねてくると不思議でもなんでもない、当たり前の揚げもの朝ごはんだ。御徒町の駅でまごついたが結果的には問題なく南青山にたどり着き、開館前に岡本太郎記念館。20人の作家がそれぞれ1作品を出しているという僕の苦手な構成だがキュンチョメさんの新作が出ているからには行くしかない。しかしながらその「空で消していく」という新作、出だしがネガティヴなのでなかなか難しい。「嫌いなもの」をバラエティ豊かに集めたのだと思うが、嫌いなものについてのいろいろな人たちへのインタビューはユーモラスなものから諦念、から怨念までさまざまなニュアンスがあり、すべてをアートに昇華できているかといえば。憎々しげに語る人への悪感情を払拭できないとアートとして惹きつけられるに至らず、結果的には成功ではないだろう。本展ではサエボーグさんのいつもの作品タイプながら鬼気迫る映像作品が印象的だった。あの迫力はどこから生まれるのだろう。それにしても職員さんのいい加減な扱いには腹がたつ。仮にも展示作品だぞ。
この辺りはギャラリーも数多いのだがどこも12時からなので一旦移動するしかない。というわけで豪勢にタクシーで六本木へ。行き先を説明するのに苦労したが費用はぜんぜん大したことないのでこれでいいか。こういうの、これからも導入してゆこう。
まずCLEAR EDITION & GALLERYという全く知らなかったところでMark Drew「.. AIN'T NO FUN!!」。ポップカルチャーをベースにした作品はカッコよくてシニカルでニヤニヤさせられる。
六本木では、小山登美夫でパウロモンテイロ「The outside of distance」、タカイシイで五木田智央 「Holy Cow」、シュウゴアーツでリー・キット「Not untitled」これはDMがめちゃくちゃカッコ良かった。wakoでMiriam Cahn, Henk Visch, Noritoshi Hirakawaのグループ展、OTA FINE ARTSで「ニルヴァーナからカタストロフィーへ ― 松澤宥と虚空間のコミューン」。これはすごい毒気だった。ここの展示で感銘を受けるのは久しぶりでは。
GALLERY MoMoで小野さおり「信じるカタチ/見えざるカタチ」。茫漠と地味なようでいて見れば見るほど引き込まれる。このひとは逸材なのでは。
歩いてAXISビルへ移動。ここのIMAショップはどうやら本格的に閉店らしく残念だし閉店セールで何も買えないのも残念。タカイシイfilmで花代 「hanayo III」。花代ってこんなにいい作家だったのか。よかった。
麻布へ。疲れるなあ。迷い猫の貼り紙を見ながらtake ninagawaで加藤泉。ぐいぐい迫ってくる迫力がたまらない。小さなギャラリーだし足まわりも悪いがここはいつも外せない展示をしてくれる。九段下で成山画廊。行ってみたら僕みたいなものが足を向けるところではなく、顧客向けに営業しているようなとこだったからドア越しに鑑賞しただけ。時間の無駄だったがそういうこともあるしそもそも僕なんぞがギャラリーなんておこがましいのだ。散る桜が美しかったしそれでいい。
原宿に移動してBlum & Poeで權寧禹、内藤楽子、ドロシア・ロックバーンの展示。共通した感覚をもつグループ展でここに佇んでいると原宿の良心て感じだ。それからギャラリーAMで恒例荒木経惟。四季のシリーズはこれにて完結だけどまだまだやるんだろう。僕もまだまだ来なければ。作品はちょっと買えそうにないが、カタログだけでも楽しみ。
新宿に移動して、崩壊寸前くらいの趣のあるビルにあるKEN NAKAHASHIで大垣美穂子「Threshold」これは何がやりたいのかよくわからなかった。photographers' galleryで大島尚悟「滲んだ景色」これはちょっと凡庸だったなあ。期待してたんだけど。YUMIKO CHIBAで木下佳通代「等価に存在する何か。」展だが前期の方も見たかった。そちらが好みだったかもしれない。
ケンジタキで渡辺英司「瞬き」、時間もなくなってきたので初台は当然諦めて新宿経由で両国に向かい初のGALLERY MoMo 両国で早川克己、ジェイ・ムーン、村田朋泰、吉田晋之介による「Cityscape」展。才気あふれる若手作家の競演は非常に刺激的で、これがなぜ両国でという気持ちにさせられる。六本木の方は何度もお邪魔していて、やはり新鋭発掘が上手いという印象がある。今後も訪れたいしできれば何か買うことができれば。
大塚へ。MISAKO & ROSENでパウロモンテイロ「The outside of distance」。ぜんぜんわからなくって、僕もまだまだだな。ていうか、ここは前回行った時も当時の僕は全然わからなかった記憶があるのでいつも数歩先を行ったりしているのかもしれない。
なんか食べようかなと迷いつつ、そんなに時間ないので大塚ミーツという初めてのライブハウスへ。大阪に越してからもライブハウス開拓は進んでいるのがなんか面白いけれども、つまりは住んでるときに行けてなかったんだなとつくづく思う。なんでだろう。そしてこの大塚ミーツ、ドアに壊れかけのテープレコーダーズの5年前のポスターが貼られている。ポスターをここに貼りたがるバンドは山ほどいただろうに、頑として貼られ続けていた4人。ここはいいライブハウスだ。間違いなく。
エレファントノイズカシマシのレコ発は題しまして「ギャラガー」。
いきなり一昨日ライブを見た方に声をかけられてびっくり。奇遇というほどではなくむしろ腑に落ちるくらいだが、つい話し込んでしまった。
まずKK manga。今日は短めの濃密なセットで強烈な印象を残した。こういうKK が好きだな。
そのあとなので割りを食って股下89が少し冗長に感じられてしまうのが気の毒だった。関西に来ることはそんなになさそうなのでこの機会に見れてよかった。
そしてエレファントノイズカシマシ。
ギミックは影をひそめ、真正面からノイズたるものをぶつけてくるステージ。最後はモッシュとバイオレンスに満ちた終わり方で、僕も無心に暴れていた。
終わっても終わった気のしない最高のレコ発だった。このライブハウスを出ると魔法が解けてしまうような気がして、なかなか帰れなかった。この感情を言葉にすることはできない。それはそのとき確かに自分の中にあって、たぶん小さくはなっても一生残るのだ。残ってほしい。
来月は大阪でもライブがあるけれども、今日これを見るのは必然だった。最高を更新し続けるバンド、未来を指し示すバンド、エレファントノイズカシマシは燦然と輝いている。
弁当を買いホテルに戻って定住者に混じって食す。こういう安宿はえてして定住者が目障りだったりするのだが、まあそれも宿命か。