怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

普段よりちょっと遅いくらいの時間に起きて滋賀へ。昨日はライブで遅かったし一日しかない休みだからゆっくり寝ていたいのはやまやまだが、僕の好奇心が許してくれない。因果な性格だけど、それを無くしてしまったら僕じゃない。
寝不足だけど電車で寝ればいいかと思ったんだけど、結果的に目が覚めたのは膳所。乗り過ごし。
140円払うはめになったことも痛いが、大津からの送迎バスに乗れないから歩いて大津プリンスホテルに向かうしかなくなったのも痛い。時間のロスが痛い。やれやれだ。
大津プリンスホテルのコンベンションホール淡海では毎年恒例のアール・ブリュット国際フォーラム2016で、僕はImages展〜アール・ブリュット、芸術の地平を開く〜だけがお目当て。行ける日は今日しかないし滋賀県立近代美術館にもまわろうとすると他に講演などを聞く時間はない。
このImages展、やはり楽しみなのは未見の作家。何度も見ているものでは、このところお気に入りだし何度も目にする機会があるからたぶん評価もされつつある秦野良夫がよかった。秦野良夫は60台になってから絵を描き始めたということで、題材は子供のころ暮らした家などに限られている。絵の直線部分は菓子箱を使って丁寧に描かれているが、遠近法という視点ではかなりの狂いがある。家に配置された物たちも考えにくい場所に考えにくい大きさで置かれている。つまり、秦野良夫のなかで強く記憶されるものが大きく、手前に、強調され描かれている。一般的な意味では稚拙というしかない、子供のような絵だが、思いの深さがそのまま表現された絵は秦野良夫の生涯と重ねて見ると深い印象を残す。父親と暮らしたもっとも幸せな時代。それ以降の数十年はおそらく彼にとって不本意な時代だっただろうだけに、その憧憬に満ちた色使いの絵は痛切でもある。これからも見る機会はあると思うが、もっともっと知られてほしい作家のひとりだ。グギング芸術家の家、メンタルケア美術館等からの出品も楽しみにしていたが、僕の感性にはあまり合わなかったようで、日本の作家群がもっとも良かった。
各施設からの出店では特に欲しいものはなし。
お昼は大津警察署の食堂が一般も入れると聞いたので物見遊山的に行ってみたがあっさりと追い返され、そもそも日曜はお休みとのこと。平日なら紛れて入れるのかもしれないが、さすがに無理か。残念。
そうなると食事場所を考える必要があるが、瀬田駅前にパン屋さんのイートインがあったはずだからそこに行こうかと考えつつ歩いていたら電車に間一髪間に合わず。おばあさんにびわ湖ホールへの道を聞かれなかったら間に合っただろうが、まあ仕方ない。道を聞かれるのはいいことだし。
時間が空いたので駅裏にあるクロックワークという古本屋に行ってみて、ここがまあ意外に品ぞろえのいい店なんだけど時間もないのでざっと眺めただけ。ゆっくり品定めする機会はいつ来るのだろうか。
瀬田へ。イートインのあるパン屋は定休日で踏んだり蹴ったり。これなら膳所で食べておけばよかったけど、選択肢はもうロッテリアか王将しかないので王将でレバニラ定食。なんかもうあれこれ残念な成り行きだ。
バスで滋賀県立近代美術館へ。ぼんやりうっかり乗り過ごしてしまい、ここでも時間とバス代のロス。疲れてるのかな。疲れてるんだろうな。
二度目の滋賀県立近代美術館、「ビアズリーと日本」展。ビアズリーに強い興味があるというわけではないけれども、わりと興味深い展覧会とコレクションがあることだし足を延ばしてみた。でも車なかったらなかなか行かないよな、ここ。地方都市の美術館にはよくあるけど、将来建て替えの際はぜひ移転していただきたいところ。徒歩15分以内ならなんとかなる。
短いビアズリーの生涯ではあるけど画風は変遷していて、しかしその中でやはり圧倒的なのはサロメサロメに勝るビアズリーはない。とはいうものの、当然ながら版型が大きいわけではなく、だったら画集でよいのではという気がしないでもないのだが、そこが美術館の、学芸員の出番。蔵書印が押された書物には、ビアズリーが本来芸術家ではなく挿絵画家であることを改めて感じさせるし、画風の変遷と波乱の生涯をうまく伝えるキャプションも上出来。そして後半は関連作家の紹介で、ここに「ビアズリーと日本」が効いてくる。「ビアズリーと日本」と言われると普通は浮世絵の影響を思い浮かべるし実際そうした展示もあるのだけど、ここではビアズリーが日本にもたらされ日本に影響を受けた作家が日本に影響を与えていったことが丁寧に語られる。紹介されているなかでは水島爾保布高畠華宵小林かいちが印象に残った。
常設展はコーネルが最もいい。ラウシェンバーグがたくさん出ていたが、僕はあまり好きじゃないんだよなあ。いまとなっては評価も高くないのでは。
帰りはぶらぶら歩いて帰る。前もそうだったっけ。下り坂なのではかどるけれども、歩いて楽しい道でもない。
ローソンでパンなどを買い、帰りの電車で食べる。
大阪駅に着きムジカジャポニカへ。開場時間直後くらいに到着したが結構な行列ができていてイスはギリギリでなんとかゲット。危ないところだった。
青葉市子と双葉双一のツーマンで青葉市子から。ギターの響きがよく、ぼーっと聞く。
休憩後双葉双一。やや飲みすぎかなと思われる調子で、出だしはミスも多い。ミスがあるから悪いとは限らないのがライブだけど、もう少ししっかり、と思っていたら徐々に立ち直ってきて中盤からはむしろ絶好調に。曲目も僕が好きなのが多く、特に「星はただの点」をやってくれたのがうれしかった。
双葉さんといえば独創的なMCも楽しみだけど、今日はまさかの婚約報告まであって、その切り出し方と余韻の残し方がまた双葉さんらしくて素敵だ。少し伸びかけの髪もいい感じだった。5月にまた来るそうで楽しみ。
あと、入るときにお目当てを聞かれなかったけど、双葉さんです。おじさんが全員青葉さん目当てだと思うなよ。