怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

青春18きっぷの旅Part.1

早起きして準備。問題なく出発して折り畳み傘を用意してないことに気付いたが、天気予報を信用してナシでいこうということに。
土曜の早朝なのに電車は人が多い。
日暮里から常磐線。車窓は眺めててもしょうがない。
水戸到着。まだ9時半だが朝食から結構時間が経っているのでここのミルクスタンドで栄養補給。前回来たときにちょっと気になってたんだけど、まあ普通の牛乳ですね。隣の椅子ではおじさんに見えるけど実はそこまでおじさんではない人がずっとぶつぶつ何か言っていた。なんだろう。
なにしろお盆だから閉まってる店も多い。前回は年末だったしなあ。もう少しまともな時期に来るべきなんだけど。
のんびり歩いてたら水戸芸術館には10時過ぎに到着。早速「カフェ・イン・水戸R」を見る。美術館の構造がよくわからなかったが、ここは展示室がおおむね横に横に繋がっているようで、あまり大型の展示をする想定ではなさそう。それが顕著に出てしまったのが宮永愛子「空中空」で、国立国際美術館でのあの空間とは全く違ったみすぼらしい展示になってしまっていた。非常に残念。展示には空間設計という概念が必要なのだなあと痛感した。これなら空中空ではなく別の作品だったほうがと思うのだがそうはできなかったのだろうか。
志村信裕はハッとする美しさがあって、お客さんにも好評な様子。
大塚千野は一部再見。でもやはり好きですねこのひとの作品。
この展示、「Rというキーワードをもとに〜」というコンセプトだそうだけど、事実上ノーコンセプトな気がしないでもなく、それはそれでいいんだけどなんだかなあとも思うところ。
まあそれなりの作家さんを揃えてはいるし嫌いじゃないんだけど、柳家花緑にだけは首を傾げるなあ。
そして展示の事実上最後は目【め】。お待ちかねのメインアクト。入り口だけを見てまたか、と思ったのも束の間で作品は凄まじい作り込み。偏執狂か。よくぞここまでという細部に小道具、そして着想。「たよりない現実と〜」では“アトラクション”という見当違いの非難を受けたりもしていたが、この作品はその馬鹿な評論家への見事な回答になっている。これをアートと言わずしてなんというのか。詳細を書くべきではないと思うからこの「Replicational Scaper」について語ることはできないが、必見というほかない。この作品のためだけにこの展覧会に来る価値がある。そして是非作品のコンセプトを実践すべきだろう。僕も恥ずかしながら実践して、そしてその価値を身をもって感じることができた。頭でもある程度は感じられるけど、やってみたらその何倍もの感動がある。背筋が必要以上に伸びたからなあ。
ただ残念なのは、僕が観察してる限りコンセプトを理解していたのは一組のカップルだけでそれでも実践はなし、他はみなさん全くわからないまま「ああ、作ったのね」でしかなかったこと。水戸市民頑張れよ。
満足してショップに行ったら図録は予想通りまだ。始まったばかりだからね。ただ過去図録のセールをしていて思わず手が伸びたのだが、今買うとこの先明日夜まで辛いことになるので明日の夕方買えばいいと思い付き事なきを得た。
街中展示は始まったばかりのものはもちろんこれといった体験ができないわけだし、ぐるりと回っただけ。
お昼はスズキでラーメンと思ったが案の定盆休み。次善の策で行きしなに見かけたミナミ食堂というお店に。50年以上この角でやってるという食堂で、メインはラーメンのようだ。昔ながらの醤油ラーメンで、あっさりとして塩味もあまりきつくない。セットの半チャーハンも本当に普通の昔ながらの味。いつもはおいしさを求めてしまうが、こういう味のよさもある。こういう店はぼんやりテレビでも見ながら食べるとさらに引き立つから不思議なものだ。この近くにある富士食堂も老舗で、そちらは別のところでやっていたのが移転してきたし途中止めていた時期もあるが70年くらいやっているのだという。次はそちらも行ってみたい。
ここでちょうど列車を逃したので次まで1時間ほど街歩き。東照宮の下や風俗街などを歩く。廃墟的物件はいくつもあるのだがさすがに中に入るのはためらわれる。それにしても空き地・駐車場が多いなあ。どんどん再開発されて何が建つんだろう。マンションか。つまんないな。
最後、観光案内所で土産物の質問。おばさんはここぞとばかりに非常に丁寧に教えてくれた。妻に聞くとそのなかであんドーナツがいいというのでそれに決定。
水郡線で北上。混んでいる。青春18きっぷで乗るといつも思うのだが、ローカル線は1〜2両編成なのに結構混んでてほぼ満席だったりすることが多いのでなんとかしてくれないかな。
常陸大子という駅で下車。
駅からまっすぐ伸びるメインストリート沿いはもちろんしもた屋も多く、築年の古さで味わい深い。そして案外と営業中の店も多い。このお盆に。山間の小さな街だが都市が遠いから逆に賑わいが残っているのだろうか。老舗あり昭和のスーパーあり、見ていて飽きない。メインストリートの突き当りは川で、この河原もまた居心地がいい。清流と緑、そして鳥。夏だが雲があって涼しいし、絶好の日よりのせいか楽しいお散歩だ。その川向うは道の駅があり、名産品を売ってるし温泉もある。なかなかのロケーションだ。商店街の名残か意匠を凝らした街灯もあるし銀行の支店を再利用した施設もあって展覧会もやっている。絵自体はたいしたことはないが、銀行の金庫が見れたのはラッキーだった。あとは駅に戻りつつ北東側にある蒟蒻神社だとか見ようかなと思っていたら、夕立。あと1時間弱だからのんびりゆっくり観光できるはずが雨宿り。傘は持ってなかったし持っていたってこの豪雨では役に立たない。ひたすら雨宿り。30分くらいで止むだろうという期待もむなしく、少し勢いが落ちたからこのまま止むかという予想もむなしく降り続く。
どうしようもなく最後は濡れながら駅へ。服はまだしも靴が濡れたのがなあ。スエードというだけでなく、靴は濡れると途端に臭うようになるから。嫌だなあ。
ここからの電車は少し空いていた。窓から眺める暮れ時の、雨上りの風景は美しい。
とはいえ暮れ時の時間は短く、やがてとっぷり暗くなってしまった。
郡山到着。なぜか20分ほど遅れた。
駅前の広場は人でいっぱい。社交場にでもなっているのか、ここで夕涼みなのか。
早速駅前を歩き回る。異常に客引きが多い。入りそうに見えるのかな。手当たり次第なんだろうけど。
目についたのが大豊とじゅん天という二つのお店だがどちらも満席で断られた。後者は常連オンリーの雰囲気ぷんぷんだったのでそれでよかったかも。安積永盛のネットカフェで泊まるつもりだったので電車の時間を考えてますやという店のラーメンで妥協。年に幾度も食べないラーメンを一日に二度食べる羽目になるとは。
あとは流石に淋しいのでローソンで梅酒ソーダを買い飲みながら安積永盛へ。祭りの後片付け中。淋しい田舎駅の跨線橋を味わいながらネカフェ、の前に目についたブックオフへ。場所柄そんなにいい棚ではないけど壊れかけのCDがあったのが救い化。普通ならブックオフでは見たくないけど、郡山の誰かが壊れかけを聞いていたというのはちょっといい話に思えてくる。
ネカフェへ。割引クーポンで快活CLUB入会金無料。こういうの、出さなくてもサジェスチョンしてくれる店もあるけどここは違うようだ。自己責任。フラットはなかったのでとりあえずリクライニング席へ。ただこのリクライニングは倒せばほぼフラットになるので結果的には問題なかったかも。
少し飲み食いし少し読書。寝る前に岡崎京子の「ヘルタースケルター」は合わないね。