怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

影野わかば@西荻窪アートリオン

昨日とは打って変わって寒い。
今夜のライブは西荻窪だが荻窪で下車。すぱいすというカレー屋へ。この近辺では割合に評判がいいようなのだが、ガラス戸の前に立つと客はゼロでどうしたものかと思う。まして店主がカウンターに座っているのが往来から見えてるというのは危険信号だが、来たからには入ってみた。僕のあとは続けざまに5人ほど来たからそういうものなのだろうが、それでも静まり返った店内にサザンのインストが流れるのはどうもお寒い。一番ベーシックな骨付きチキンカレーをベーシックな辛さで食べてみた。ほぼスープカレー。スパイス感はほどほどにあるものの、塩気が強い。宝石より強いからやはりちょっとバランスが悪いように感じる。ご飯は麦入りで食感は良好。全体的に決して悪くはないが、そう称賛するようなものでもなく、もしまたこちらに来ることがあったら再訪より新規開拓を優先したいかなあ。多くのメニューが1000円超えというのも、それなりのこだわりがあっての結果だとは思うが、正直なところそこまで出す気はしない。
西荻窪へ。夜来るのは初めてだが、駅前は焼け跡闇市がそのまま残ったような酒場になっており、煙やひとの気配がそそる。僕はもともとそんなに飲まないし最近はさらに飲まないが、こういうところには行ってみたいなと思う。大阪にもなくはないのだが、この雰囲気は東京ならではかなと思う。
アートリオンは大きなビルの地下にあり、ほかにも数軒飲食店が並んでいる。居酒屋のようなお店だなと思ったのも道理で、ドアは普通の引き戸でガラス窓も多いから他店の酔っぱらいの声が聞こえてくる。つまりここのライブの音なんてどれだけ漏れていることやら。それでも営業できている西荻窪の寛容さは大好きだ。ファンダンゴなんて歓楽街にありながらガチガチだからなあ。
スリーマンは影野わかばから。新曲を織り交ぜながらのライブで、ギターはもう非の打ちどころのない安定感で歌っている。そこに重なるボーカルは影野さんの気持ちがノッてくると途端に切れ味が増す。中盤が大きな山場で、そして気がつけば「紳士」をやらないままライブを終えた。「紳士」は僕の知る限りはずっとライブでやってきた曲だし、まずとかげさん自身が大好きな曲のはずで客の反応も良かったと記憶している。それだけに紳士1曲の幻影にとかげさんが縛られていたという面はあるかもしれないし、そこを踏み越えてこそ改名する意味もあるのだろう。僕自身、紳士という曲が嫌いなわけはないし好んで聞いていたけれども、一方でとかげさん=紳士という固定観念は持ちたくなかった。だから時には紳士をやらないことがあってもいいという思いは奥底にあった。この曲を謳わないことに影野さん自身も躊躇いはあったかもしれないが、僕はそれでこそだと思う。もちろん折に触れまたやっていく曲になるはずで、封印するわけではないだろうけど。
次が山田庵巳。ギターは言わずものがなだけど、今日は声の調子がいいのか気持ちよさそうに歌っていたのが印象的。Oさんとも話したのだが、山田庵巳さんは客の身体にシンクロしてくるようなところがあり、聞いている側と聞かせている側という垣根があまり感じられない。
最後が沢田ナオヤ。ゆるーくエノケンのモボから始めて空気をつかむうまいライブ。今日の3人とも偶然前回はソウルキッチンで聞いているのだが、実は3人とも今回のほうが出来がいい。それはたぶん適度な距離感であるとか空間があるとか、誰のファンもほかの2人を楽しみにしている空気だとか。ブッキングの良さでもあり場所の良さでもあるけれども、だからといってこれを定例化するといいのかといえばそうでもないから難しいところだ。
満足な2時間半。個人的には影野さんの持ち時間をもう少し、とも思うが、いたしかたない。
帰りにツーマンのチケットを買ってさようなら。チケットを持つのは紛失の危険だとかを考えるとあまり好ましくはないけど、先にチケットを売りたい理由もわかるのでこのくらいは応援したい。
寒い中Oさんと帰途。Oさんにせっかく勧められたフードを断ってしまったのは失礼だったかなとあとで思ったが仕方ない。僕のやることなんてそんなもんです。
それにしても眠くて仕方ないのですぐに就寝。