怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

府中市美術館とパラボラアンテナ

お昼は出雲そば。いつもながらつゆが辛い。
食べてすぐ東府中へ。寒いことは寒いが陽射しは明るいし何より風がない。駅から遠いのでこういう気候がちょうどいい。
自衛隊基地をぐるっとまわって公園を通り抜けて府中市美術館へ。生誕100年 小山田二郎展。小山田二郎という画家は僕は知らなかったのだが一時代を画したひとで人気はあるのだという。写真で見たところベーコンを連想させるようなところもあり、ちょっと興味深かったので来てみた。
この府中市美術館は郊外市の美術館なので展示室は広くはないがかなり立派なもので、また学芸員も優秀な人がいるのではと秘かに思っている。
生誕100年の回顧展だから生涯を通じての変遷が楽しめる。初期は真似たような画風だが、その後は幾何学的な構成や色使い、そして幻想的な主題が印象的。実際に見てみるとベーコンを思わせるところは少なく、むしろアンソールのほうが近い。此世と彼岸を橋渡すようなイメージと、陰鬱でありながら瑞々しい色遣いが人気を博したのだろう。たしかに重厚な部屋にはよく合いそうだ。僕が見たところでは中期の多磨霊園そばに住んでいた時代のものが一番好みだった。ただ明るい展示室で眺めるよりも、夜間に懐中電灯で照らし歩きながら見るほうがよほど絵の趣がありそうで、この展覧会を最も楽しめるのは夜警ではないだろうか。
不思議に思ったのが額で、たとえばねじめ正一の父が買ったという「盲人達」はクラシカルな額に収められているものの、多くの絵個人蔵も含め似たような黒い額に入っており、これは府中市美術館が入れ替えたものなのだろうか。それとも人手に渡るときにすでに額付きだったのだろうか。
延々と親に話しかける子供とそれに何の対策も講じず悠々と鑑賞を続ける両親に殺意が湧いたほかは何の問題もない美術展だった。
常設展はやや脈絡のないものではあるがそこそこの品が展示されており、必見とまでは言わないが見て損のないもの。赤瀬川源平の千円札の脇に資料ファイルが置かれており、見ると当時の新聞記事に「赤瀬川源平が自称芸術家と書かれて憤慨した」とか帝国ホテルのパフォーマンスについて「こんなものが芸術なのか」などと書かれており、今が50年前と全く進歩していないことを知った。
ショップでは「レゾナンス」という本を1080円で購入。図録は見送ったが、テキストはなかなか魅力的だった。
このあと、もうひとつの目的地へ。旧米軍基地跡。
目指すパラボラアンテナがなかなか見つからなかったが、北側の住宅地あたりからはところどころビュースポットがあり、住民に不審がられながらも満喫できた。これは確かに絶景。広い敷地に朽ちた住宅が残っている様子なども良いもので、できれば取り壊される前に一般公開してほしいものだ。まあ崩壊の危険もあるだろうからできないのだろうけど。
夕方の時間帯はなかなか良いタイミングだったがすぐに暗くなってしまい、後半は残念かな。でも一度でも見れて良かった。楽しかった。
ほくほくと帰宅。
夕食は宣言通り唐揚げ。
年賀状の印刷をするもレイアウトが失敗していて妻が激怒。僕も至らなかったとは思うがそんなに怒らなくても。
ぎこちない感じで就寝。
ところで昨日買ったmy letterのCDRはまだ読み込みできなくて、これは本格的に不良品かもしれない。