怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

0.5ミリ

バタバタと支度して有楽町スバル座へ。どうもはっきり思い出せないのだが、この有楽町ビルディングには一度来たことがあるはずだ。
有楽町スバル座はモギリの位置といい階段といい、古き良き映画館そのもので、こんな劇場で初日を迎えられる「0.5ミリ」は幸せものだ。
中に入るとまずまずの入りで、見やすそうな席がぽっかりと空いているのは関係者席だった。今日は舞台挨拶があるからだろう。
日舞台あいさつといえば、以前アップリンクで見たことがあるのだが、あちらはインディーズでスターが出ているわけでもなかったのに対し、今回はいかにも舞台挨拶らしい舞台挨拶なのでいわば初体験。
映画はヘルパーのサワが職を失いホームレスになったところを老人のところに飛び込んでしぶとくサバイバルしていくというストーリーで、都合4つのエピソードがあるロードムービー。介護という切り口、老人たちとの心温まるハートフルな…という予告編には少しげんなりしていたが、本編を見るとだいぶ印象が変わる。まずサワが野蛮。犯罪スレスレのやり口で老人の弱みに付け込んで生きる糧にしていくわけだから、したたかという言葉では物足りないほどだ。だからといってアンチヒーローというわけでもなく、サワは老人たちの生きるよすがにもなるわけで、そのさじ加減が絶妙だ。
演じる安藤サクラを想定したいわゆるアテ書きというのも納得な、安藤サクラの魅力を大爆発させている映画で、ここが安藤桃子監督の功績だろう。
老人たちも芸達者な面々を揃えていて、特に坂田利夫が秀逸だった。ミスキャストのいわゆる“サムい”ことになりはしないかと冷や冷やしたのだが、坂田利夫らしさをさほど抑えるでもないのに違和感のない人物像でまさにハマリ役。
196分という長い映画なのだが、長さをあまり感じることなく見終わってしまう面白さだった。
もちろん難点もいくつかある。まず終末期にしては老人が元気。また、先生のエピソードで描写の省略は当然の場面としても、時間の経過が不明なので急展開すぎて受け入れにくい。そして佐々木家のエピソードでは陰鬱になっていくのは仕方ないとしても、安藤サクラの魅力も薄れていってしまうのは残念で、ラストも唐突すぎた。
だが総じて面白かったし、見る価値のある映画だったと思う。
舞台挨拶は奥田瑛二の司会進行で、さすがに舞台慣れした堂々としたものだが初めてさは去り際の早足に現れていて微笑ましかった。
安藤桃子監督は堂々としていて初監督とは思えない受け答え。一方で主役の安藤サクラは意外にも泣き出してしまい幕に隠れ津川さんの腕にすがるという一幕がかわいらしい。実際、実物は相当可愛かったですしね。津川雅彦はもう大スターの風格で場を支配していた。
高揚してしまった僕は安藤監督のサイン会に参加。ひと言も喋れなかったし写真は例によって目をつぶっていたけれど、いい記念になりました。ありがとうございました。あと、高知県のお米もありがとうございました。
空腹だけどエルメスを再訪。二度目はさすがに感動も色あせるけど満足。
ディオールの世界展は空腹につき流し見。名和晃平宮永愛子らの作品が出ていた。
ギャラリー小柳は会期終了間近なので無理やり再訪。
そして空腹をかかえて新宿に帰着。かねてから懸案だったBERGを訪問。ソーセージの盛り合わせとギネスを1パイント。1577円て高いなこれ。高いけど、確かにビールは美味い。丁寧に注いでるだけのことはある。まあものの数時間で空腹にはなったけど、確かに美味かったからいいや。高いけど。
帰宅して、夜の半額弁当を狙ってたのに空振りだったから仕方なく別ので妥協。散財してしまった。