怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

東京国立近代美術館、写美、キセル、トラベル

東京国立近代美術館の無料観賞日が今日だったことを思い出し、慌てて出かける。
コレクション展では新収蔵の秦テルヲ作品が目を引いた。簡素なペン画であるが、世の暗い断面を描き出したような筆致。また、東山魁夷の「白夜光」もしんとした北欧の風景画心に沁み入った。
2Fではなんといっても高嶺格の「God bless America」が凄かった。諧謔と諦念とユーモアにあふれた作品。高嶺さんと恋人(スタイル抜群)が明らかに横でセックスしていて、子供と見ていたお父さんが慌てて出ていったのが面白かった。いや、あれはだいぶ脚あげてましたよ。
ほかの作品もあれこれ良かったし、既見の作品が多かったけど時間がないのでちょうどよかったし。
小企画「都市の無意識」も充実で、畠山直哉「川の連作」勝又公仁彦「Skyline」高梨豊「都市のテキスト 新宿」など盛りだくさん。タダですいません。
帰ってお昼は焼きそば。前回妻が作って酷い出来だったやつだが、僕がリベンジしました。
食べてじきに恵比寿へ出発。まず東京都写真美術館で「米田知子 暗なきところで逢えれば」展。米田さんのさまざまなシリーズを一度に見られる企画で、こうしてみるとどの写真も米田印なのだと気付かされる。一方で、僕はあまり米田さんの個性に惹かれるところがなく、一部の写真にだけ惹かれることもわかった。米田さんの作品は、写真というよりはその背景・ルーツを踏まえて想像させる契機として機能し、その想像が羽ばたけるような場を提供している作品なのだけれども、どうも米田さんが持つ興味が僕のそれと食い違っていて、そこがうまくない。
ということをつらつらと考えた。それにしても、最後の氷晶シリーズがやけに扱いが悪いのはどうしてだろう。新作なのに。もしかして、構成が決まったあとに無理やり押し込んだのか。
その後、笛吹跡地を横目にNaDiffへ。北野謙「our face: Asia」は結構よかったんだけど、先客さんがずいぶん話し込んでいたのできちんと見ることができず、残念。写真集もあるようだったから見たかったけど。
G/P galleryでは細倉真弓「Floaters」。旧作の写真集があったけど、断然新作が美しい。きちんと見れなかったけど、いい写真でした。
地下の森山大道の近作は割愛。明らかに北野謙や細倉真弓のほうがいい写真を撮っている。
恵比寿駅に戻って妻と合流、リキッドルームへ。意外と大入りで、意外にもキセルが先。
ドラムは北山ゆう子、キーボードはエマーソン北村・・・ではなく野村卓史。今はそういう編成なんですね。割と最近の曲を中心に、さらっとしたステージ。野村くんのキーボードはキセルにぴったりで、とてもよかった。キセルは兄弟二人での編成が好きだったけど、意外とバンド編成もいいなと思った。
続いて奇妙礼太郎トラベルスイング楽団。出てくるなりハイテンションで、パーティー感がマックス。だらだらしゃべってるかと思うといきなり盛り上げてくるからすごい。周りの会話を聞くと今日初めての人も結構いたようで、こうして段々売れていくんだなと思うと、奇妙君がポルシェを買う日も近いのかもしれない。ミヤジみたいに。
ライブは盛り上がりまくりで、奇妙くんもいつも以上に自由自在で、バンドが結構振り回されてシャンゼリゼの途中で演奏が終わってしまいそうになったりするところを安田くんが強引につなげたり、上手くなったんだかなってないんだか。楽しかった。
ただ僕としては、先に奇妙くんで盛り上げて、そこからキセルで落ち着かせる流れも悪くなかったんじゃないかなと。まあでもこのツーマンなら文句ないですけどね。
終って、一応俺のフレンチを偵察に行ったらこんな時間でもまだ並んでたので呆れて駅へ。
乗り換えのところで例によってはぐれたけど、一応合流できて帰宅。妻はぺヤング、僕は松屋で生姜焼き。松屋の大盛りご飯が厳しく感じられる年齢になってきた。