怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

10年ぶりのパティ・スミス

原宿からSHIBUYA-AXへ。道のりは淋しくて同好の士も見かけないので気持ちが盛り上がらないが、向かうはPatti Smith。10年ほど前、今は亡き大阪厚生年金会館大ホールで初来日コンサートを見て以来だ。その後はフェスなどでは来ていたようだが、大阪では機会がなかったのだった。その時の席は中段の端で見にくくはないものの会場の一体感を味わえなかったのだが、今日はスタンディングなので期待が高まる。あの時のライブは中盤でのポエトリー・リーディングがガレージパンクというよりノイズのような凄まじさだったことを今でもよく覚えている。終演後最寄駅では電車に乗らずに暗い道を歩いてぽつんと営業しているドトールで余韻をかみしめたことも。
中に入り早速ビールを飲み、仙台の青葉学園へのチャリティ募金に2口応募する。1名にサイン入りバスドラヘッドが当たるというのだがこの人数だから望みはない。しかしせっかくパティが日本のために募金活動をやってくれているのだから通り過ぎるわけにはいかない。あとで集まった金額を聞いて残念に思ったけど。ここで一番よかったのは、パティ自身が撮ったポラロイド写真を見せてもらったことかな。
物販はメイプルソープ好きとしてはHorsesTシャツが目に入ったんだけど、長蛇の列だったので買うのは終演後にして場所取りに。チケットの番号の割には前の方に行けていい感じ。
ライブは新旧いろいろやったけど、基本的にはゆったりした感じ。パンクやガレージの色は薄く、ベテランシンガーという色合いが強いので正直なところ期待どおりとはいかなかった。ただ今回はかなり前方だったので、パティの表情やレニー・ケイの佇まいをしっかりと見届けることができた。パティ・スミスのTシャツに「恐れる者は・・・ここでは・・・」といった日本語が書いてあるとかまで。
中盤でパティがステージ下に降りてきたんだけど、そこはレニーをずっと見てたので通りがかるまで気付かず、帰り道でようやく手を差し出したんだけど触れることはできなかった。見た感じ女性中心にタッチしてた雰囲気で、安全面を考えると仕方ないのかな。でもスルーしながらこっちを見て微笑んでくれたような気がしたのでもうそれで十分です。嘘。
本編最後はGloria。このころにははっきりとレニー・ケイがばてていて、ライブが1時間半と短めなのも激しい曲が少ないのもレニーの体力によるものなのかなと。ただレニー・ケイ抜きのパティ・スミスってパティ抜きのハンバーガーのようなものだからそこは受け入れるしかないかなあ。
今回のパティ・スミストークショウでも感じたけど非常に穏やかで慈しむような振る舞い。それにステージ前に出て来すぎて歌いだしに間に合わないパティとか楽屋の方向を思いっきり間違えるパティとか、なかなかお茶目。その一方で激しく唾を吐き捨てる姿もあったりして、ライトにキラキラする唾がまた美しくてドキドキしたなあ。
そんなこんなで充実したライブでした。やはり間近で見るっていいよね。
終って、レニー・ケイが大量のピックをプレゼント。ゲットできた人たちうらやましい。ほっそりしたジーンズにチェックのシャツを着たレニーは老画家の雰囲気があって僕が見ても滅茶苦茶カッコ良かった。そしてマネージメントなのかな、募金のブースにいた女性がステージセットに飾られていた花を皆さんにプレゼント。僕も1本頂きました。せっかく花を置いてるならライブ中にパティが胸に抱いて詩人っぽく客席に投げる、とかあってもいいのに。
終演後いざ物販に並んだら、HorsesのTシャツは売り切れに。そうか、こういうことだからみんな開演前に並ぶわけね。勉強になりました。無いと聞くとますます欲しくなるけど、一つを得たらもう一つは得られない。トークショウでパティが言っていたように、何かを犠牲にしなければ成功できないし犠牲にしたからといって成功できるわけでもない。そういうことだ。
余韻に浸りつつ坂を降りて帰宅。