怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

ゲルハルト・リヒター、そしてタテタカコ+友部正人

2割引きの葉書の期限が近いというかいい加減出さないといけないのでクリーニング屋へ。なぜか行列ができており、寒空の下しばし待つ。受付を丁寧にやっているのはいいのだが、説明を一度にまとめるなどの工夫がないのも時間がかかっている要因のようだが、こういうのは自分で気付けないんだろうなあ。
お昼は焼飯。少し水分が多かっただろうか。文句は言いません。
妻が出かけたあと、リッツを食べて六本木へ。
まずピラミデビルのワコウ・ワークス・オブ・アートへ。ゲルハルト・リヒターの「New Strip Paintings and 8 Glass Panels」展。僕はゲルハルト・リヒターの作品をいくつか見たがどれもそれほどのものと感じたことがなく、正直過剰評価ではないかと思ったりもしていた。しかしこの個展は素晴らしかった。多様な太さと色の横線で構成されたペインティングは視覚を幻惑させるようなトリッキーで魅惑に満ちた作品。8 Glass Panelsも、簡単な構造にもかかわらずガラスに反射する像が重層的に提示されて惹きつけられる。ほかにMuseum Visitシリーズも展示されており、非常に充実した内容。正直なところ現在制作中というカタログではこの個展の魅力は伝わらないと思うのだが、なんにせよ必見といえる展示だった。
ピラミデビルではほかにOTA FINR ATS「草間彌生 新作絵画 II」、Taka Ishii Gallery「吉野英理香 Digitalis」(これもよかった)、禅フォトギャラリー「北井一夫 過激派」。場所を変えてGALLERY MoMo「Zeitgeist -時代精神-」。これは篠原愛がよかった。GALLERY MoMoのホスピタリティはすごくうれしいんだけど、ほかの観賞者さんたちとはあまり話したくないです。
ところで六本木って、どのあたりが中心地なんだろうか。昔よく聞いたアマンドのあたりだろうか。正直なところお店がいくつかありますねという程度であまり盛り場のような雰囲気は感じないのだが、どこに行けば六本木らしさがあるのだろう。
歩いてTOTO ギャラリー・間に行くが6時までで閉まってました。その割には1階の受付でお姉さんが身じろぎもせずに座っているのだが。
少し早いが仕方ないので南青山曼荼羅へと向かう。その間には青山墓地があるのでもちろん青山墓地を通る。街燈はないので遠くの灯りなどでなんとか通路がわかる。墓石のシルエットを見ながら踏みしめる草の音を聞く。正直なところかなり寒くて先を急いでしまったのだが、もう少し気温が高ければゆっくりと歩きたい。どうして墓地はこんなに気持ちいいのだろう。静かで暗くて墓石が少しだけ人の気配をさせているからだろうか。
青山墓地(ってどこかチゲ鍋のような居心地悪さのある名前だが)を出て曼荼羅はすぐそこ。先にチケットを引き換えるものとは知らず並んでしまったが、それはともかく入ってみるとライブハウスと言うのが憚られるお洒落感。この場所で友部さんかーと思うと複雑な心境にもなる。店員さんはすごく丁重だし、それはいいことなんだけど。
最初はタテタカコさん。初めて見たのは西部講堂ボロフェスタで、その時ぶりのグランドピアノ。やはりキーボードとは段違いの迫力で、この人はグランドピアノで聞くべきなのだと確信した。僕の位置がちょうど真横だったので、右足で踏むペダルや時折左足で踏むストンプ、鍵盤の上で軽やかに舞う指先がよく見えて、これはちょっと至福でした。今までで一番のタテさんだったと思う。
次が友部正人さん。多分3度目かと思うけど、ボロフェスタ以来だとすると5年ぶりだろうか。風邪をひいたとかで声は少し苦しそうだったが、友部さんの場合はあまり問題にならない。やはり詩人だなあと歌詞を追いながら思う。もちろん好きな歌詞そうでない歌詞はあるのだが、歌というよりも歌詞こそが友部さんだ。真っすぐ立ってギターを抱える友部さんの髪は少し薄くなり皺も増えた。だがその老いはとても好ましい。見苦しく若づくりしている連中に見せたい年の取り方だ。
最後は共演でお互いの曲を一つづつ。満足なイベントだった。曼荼羅さんの企画だそうだが、いいお店だな。
足早に帰宅し途中ライフで少し粘ってお弁当とアジフライ。