怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

牧野貴とふちがみとふなと

お昼にそばを食べて大阪ビジュアルアーツ専門学校の地下で行われる爆音上映に出かける。
広いような狭いような会場で、まずはケネス・アンガーから。正直に言うとケネス・アンガーはよく知らない。名前だけは聞いたことがあるかもという程度。作品はストーリー的にはちょっと変な、短編映画としてはごく普通の流れ。人造の水の映像がよかった。爆音だから当然なのだけれど、音が大きい。正直に言えば、爆音ではなく普通の音量の方がもっといいんじゃないだろうか。爆音にすると印象が変わるというのはその通りなんだろうけれど、ケネス・アンガーの4作品に関しては裏目なのではないだろうか。僕がちょっと耳が弱いせいもあるけど。
続いて牧野貴作品。最初が処女作なのかな、「Intimate Stars」で、作品としてはこれが一番よかったです。映像に粗さがあるのがいい味になっているし、素材もある程度判別できるのがイメージに深みを出していると思う。波の映像は印象的でした。牧野氏によるサウンドコラージュもいい感じだったと思う。「Elements of Nothing」に続いて「Still in Cosmos」これが今回の爆音上映に一番向いていたと思う。ジム・オルークによるバンドサウンドがまず爆音向きだし、ハイビジョン映像の細かさがスクリーンで見るとよく映える。呆然とするような美しさだった。最後は「光の絵巻」で終了。どの作品も素晴らしかったし、スクリーンで見ることができて幸運だった。僕の中では結構熱狂の渦というかうおおおおおぉ、という感じだったわけですが、その場に居た数十人の心の中もそうだったと信じたい。
実はこっそりおとうた通信に載っけてもらおうとしてスルーされたわけですが、これ実際見たら絶賛するおとうた読者は結構いると思う。僕もたまたま去年100000tで[+]のフライヤーを見たからこうしてここにいるわけだけど、そうでなかったらいまだに知らなかったと思う。そういう意味でもぜひ載せて欲しかったんですが、まあ仕方ないですね。
最後牧野氏と樋口氏でトーク。牧野氏の話で面白かったのが、「映像作家はリュミエールエジソンソニーパナソニックしかいないことになる」というくだり。映像作品ってなんなのよ、というレゾンデートルに関わるこの問い。牧野氏が役者を撮ることができないというくだりとも関連するが、牧野氏にとって、映像作品とは俳優の演技でもなければ美しい風景を原形のまま映すことでもなく、自身の持つビジョンをスクリーンに映し出すことなのだと思う。そこには他者の作為も自分以外の何かによるオブジェも必要ない。牧野氏の作品は、そのどれもが牧野氏の感性で満ちていて、それが僕を魅了するのだと思う。
終わって、本当は余韻を楽しんだりしたいところですがそういうわけにもいかずムジカジャポニカへと急ぐ。急いだ甲斐あってか一応最前列ではありますが席を確保できてよかったわけですが、結論から言うとムジカは最前列でも音はいいんだけど、最前列はステージングが見にくくていけない。むしろゆっくり来て後ろの方で見てても良かったかもという結果論ですけど。
そういうわけでふちがみとふなと。レコ発だから新作からの曲が多いわけだけど、できたばかりの「大阪のうた」がよかったです。渕上さんらしいユーモラスで温かい楽しい歌でした。アンコールは2度目の最後の「ヘブン」で結構完璧に終わったと思っていたけど3度目がありました。船戸さんもついに着替えがなくなり(ひっこむたびに着替えていた)というから、ほんとに想定外だったのか。楽しくていいライブでした。最近イベントやらで割とポピュラーな曲をよく聞いているので次は珍しい曲を聴いてみたい気がする。