怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

第32回富松薪能

薪のあかりだけじゃないんですね

昨年見忘れていた富松薪能へ。一昨年は静御前が去ったあたりで雨のため中止になったのでした。
最初は子供たちが披露するらしいのでどうなのかと思ったら意外にたくさんの人。まだ明るいので雰囲気が出ないが、発表会にはいい感じ。小さい子は小学四年生もいて、声はさすがにうまく出ないけれども身のこなしは堂々としたものだった。床を足でどん、とやるのが好き。能を習う子供がいるんだな。素晴らしい環境だと思う。
狂言は盆山という演目。せりふは普通によくわかるし、こっけいでありながら凛とした所作は見ごたえがある。大学の先生が「最近は建物の中で演じられるが本来はこうして神社でお祭りのときなどに披露されるものでこうして蝉の声を聞きながら」というようなことを言っていたが、全くその通りだと思った。たしかに車の音や子供の泣く声、いろんな雑音がするけれども、風に吹かれ木々に囲まれて見るのはうれしい体験だと思う。
だんだん暗くなり、薪に火が入る。市長の挨拶のあと、能の演目は胡蝶。こちらは台詞自体が難しいのかもしれないし面をつけているためかもしれないが台詞はところどころ程度の聞きとり。その分、闇の中で浮かび上がる演者と鼓などの演奏が厳かに感じられた。見た目としては、最初めそめそしていた地味な蝶の霊が坊さんに供養してもらうとばっちりメイクして踊りまくるという、なかなか楽しいものだった。
8時過ぎまでかかり、皆さん事情があるのか途中で帰る人も多かったのと、余韻を楽しんだり自分の椅子を片付けたりする人が少なかった(まあ義務じゃないですけど)のが個人的には残念かな。
僕としてはすごく楽しませていただいたなという気持ちです。能や狂言というとどうにも敷居が高いものだが、機会があればまた見てみたいなと思った。意外と楽しいものだ。
ともあれ、関係者の皆さんお疲れ様、ありがとうございました。