怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

淋しき元旦

姉の家に寄ったのち、サンリブにて湖月堂の福袋。そのまま熊野神社に向かう。買い物のついでに詣でるようで格好がつかないと思うのだが妻は気にしていないようだ。感覚の違いか。数年来気になっていた小銭入れのなかのおみくじを奉ずる。
帰途墓参も済ませる。
昼食後妻は下関に戻る。私は読書。今日は澁澤龍彦「旅のモザイク」石川淳「蛇の歌」を読了。「旅のモザイク」は旅行記。澁澤らしいところは随所に見られるが、その一方で観光客然とした写真もあり、おかしい。何分30年ほどまえの旅行記であり、今読むと隔世の感がある。流氷の時期に観光客のいない知床、テヘランやバクダットの情景、のんびりとした西表島阿蘇の噴火が長く続いたときのことは今でもうっすらと記憶にある。「蛇の歌」は未完ではあるが、さすがの筆致で面白く読ませる。「小説は生活を任意に切り取ったもの」と言った石川淳であるから、未完であっても小説としての価値は小さくない。これは単行本初版で旧仮名遣いがうれしく、また活字が独特である。おそらくは石川淳は毛筆でこのように書いたのだろうと思えるもので、そういう細やかなところもよいものだ。
最近の元旦らしくない元旦、ひとつには元旦から平常通り営業している店があるせいだ。元旦が平常では意味がないではないか。そこに平常通り来る客もおかしい。馬鹿ではないか。我が家が淋しくひっそりとしているのはともかく、そういうことではいけないと思わないのか。