怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

7日目

ツアーの人はこういう夜景は見れないの

まずは朝から国会議事堂に行く。昨日今日と閉まっていたはずだからさぞや行列が、と思ったらそんなことはない。警備員の人に聞くと、うるさそうに団体を連れたガイドのおばさんに何か一言、そしてガイドさんが英語で説明してくれたところによると、デモのために個人の入場は出来ず予約ツアーのみ入れるということだ。日本からの観光客を警戒する必要は無いように思うのだが、身元がはっきりしていないと駄目なのだろう。朝の今などはたしかに人は少し集まっているものの、平和な雰囲気だしTVの車がたくさんいるにしても殺気立ってはいない。ハンガリーの旗の真ん中に穴を開けたものがひるがえっているがどういう意味なのだろう。
仕方なく次の予定を検討、エチェリの蚤の市かゲデレー城か。どちらも郊外なのでゆっくりしたスケジュールでないといけないところだ。一応蚤の市に決めて出かけたが、最寄り駅からバスに乗り換えようと思いバス停を探すが、バス停もその路線もあるものの、本に載っているバス停は表示が無い。これはもう路線が変ったのか、バス停にいる親子に聞いてみたがわからない。仕方なく蚤の市はあきらめ、ゲデレー城に向かうことにする。
M2地下鉄の終点まで行きHEVに乗り換えるはずだが、毎度のことだが乗り場への案内が不十分でよくわからない。案内板の前で考えていたら、ややホームレスっぽい雰囲気のおじさんが笑顔で「地下をくぐってあっちだよ」と教えてくれた。何度もお礼をいい、乗り場に向かった。チケットも無事買えたものの、次の電車は約30分後。とりあえずそばのショッピングセンターで時間をつぶす。ここは西駅そばのよりもっと庶民的な雰囲気だ。帰りにまた寄ることにして、列車に乗り込む。
出発時間が近づくにつれ人が多くなり立っている人も多くなった。通路を挟んで斜め前の席に若い女性が座った。キティちゃんのついた手帳を持っている。
列車のスピードはあまり速くないがその割りに揺れは大きい。各駅停車なので随分時間がかかる。到着時間はだいたいわかってはいるが、やはり乗り過ごす心配はある。駅名は一応各駅に表示されているが1〜2ヶ所くらいのようで見落とす危険は大きい。
斜め前の女性はロシア系だろうか、金色だがやや薄いブラウンの髪を襟までの長さに揃え暑いので少し開けられた風に揺れている。鼻筋は根元のあたりが少し膨れているがすっきりと高く、目元はフランスのジュリエット・ピノシュを彷彿とさせる。知的な雰囲気をただよわせ、他の乗客とは空気が違う。申し訳ないけれども目が離せず、風景を見るふりをして(駅名を確認する必要があるのは確かだが)見入ってしまう。写真に撮りたいのはやまやまだが声をかけると他の人が注目するし勝手に撮れば印象が悪いだろう。悶々とした至福の時間はすぎ、目的駅に着こうとしている。数駅前にすいた席に代わっていた彼女は立ち上がるとこちらを見て微笑を浮かべ左手で降りるしぐさをしてみせた。列車を降りると彼女は北の方角に去っていき、後姿さえカメラに収めることはできなかった。
ゲデレー城は城というよりは邸宅、別荘というべきもので見事ではあるのだが所詮は近年修復されたものという感はぬぐえない。とはいえ、見ごたえのあるインテリア類もあり、中心部の喧騒から離れて土産物屋も無いこの場所はよい気分転換になる。有名な観光地のはずだが団体客は少ないし駅は屋根も無い小さなもの。一応レストランと軽食スタンド(厨房は同じ)がある。ホットドッグ220フォリントを買い、食べる。パンは少しクセがあるがおいしい。妻に気をつけるように言ったそばから私がケチャップをシャツにこぼしてしまった。やれやれ。
地下鉄駅近くのショッピングセンターに向かい、ここのスーパーで買い物。トカイワイン6プットを7000フォリント余りで、その他みやげ物を購入。AMEXカードで決済。
私が一旦ホテルに荷物を置き、妻はまた(3日連続)中央市場に。待ち合わせてみやげ物をすませ、さて食事はとなって中央市場の周りをうろついてみたがここぞという店は無い。観光客の多い地域なので価格設定の割りに魅力がなく、なにより時間帯のせいもあるのだろうが客が居ない。結局妻の提案でまたMENZAに行くことになった。
MENZAは大盛況で、外の席はほとんど空席が無いが、案内のお姉さん(パンツスーツでゴージャスな感じの美人)が予約席が8時からなのでそれまでなら、と案内してくれた。妻はラビオリ、私はガーリックポークステーキ。どちらもおいしく、値段もさっきみたレストランより安い。やはり流行るには理由がある。ウェイトレスは愛想なしで少し嫌だったけど。でも最後の夜に最高の食事が出来たと思う。
まだ時間があるので王宮に最後の夜景を楽しみに行く。この時間は人は少ないので暗い夜景スポットに行くのはためらいもあるが、スポットの当たりは少しは人もいて安心。ドナウ両岸を眺められるゲッレールトと違いこちらはほぼ対岸のみだが、代わりにくさり橋は間近に見ることが出来、こちらもよい眺め。
堪能してホテルに戻り、荷造りをすませた。まだ心残りがあったのでオクタゴン駅近くのロスチャイルドスーパーに行ってみる。いくつか物を買い、戻ってみるとオペラ座の前で若者グループが2組、ワインを回し飲みしている。デモの帰りか。雰囲気はさほど悪くはないが、こういう感じになってくると夜間の外出はためらわれる。