怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

6日目

温泉気分

何たることか、朝から雨。傘は持っていかなくていいよと妻に言った手前、非常にばつが悪い。
フロントで入り口においてある傘を貸してくれ、というと不機嫌そうに1つだけ貸してくれた。こちらの英語はかなりつたないが、それにしてももうすこしましな態度があるだろうと思う。
傘を差してセーチェニ温泉に向かう。たいした降りではないが、少し肌寒いし、残念だ。入り口で英語の表示があるのを長い間気づかずにマジャール語の解読に時間を要する。それでも入ってしまえばあとはスムーズで、温泉は適度にぬるめで気持ちいい。日本の温泉は熱すぎていつも不満だっただけに、このぬるさは大変よろしい。1時間ほど居ても全然飽きない。きょうはこれだけでもいいや、という気になるが、妻にせかされて退出することに。そのまえに写真をいくつか撮った。入っていた人には申し訳ないけど。
その後動物園に行こうと思ったが、入り口は温泉から離れたところらしいので、あきらめて博覧会用に建てられたという城を見て、その後英雄広場へ。グンデルでランチもいいけど格好がいまひとつだし、と思っていたところ、国立美術館ピカソ展をやっているらしい。妻の許しも出たので行ってみる。まず地下に入り、右手の展示室に入ろうとするとおばさんに止められ、傘を預けるように言われる。預けて入りなおしてみたら、これが素晴らしいエジプト遺物の展示室。棺、ミイラ、石像、その他もろもろが素晴らしい。おばさんも親切にピカソの場所などを教えてくれてうれしい。ただ、肝心のピカソ展「Picasso in Love」はあまり良いものではなかった。地下にもう一つ、ハンガリーの作品展示では一つだけ良いものがあり、FRANZ VON STUCKのThe Kiss of the Sphinxという絵で、これは写真に撮りたかったのだがEXTRA CHIKETが必要というのであきらめた。だが、あれは本当に収穫だと思う。地上階でレンブラントを見るがリトグラフが主体で余り興味を覚えない。1階にあがり、中世の絵画を鑑賞。チケットのクラナッハの絵が載っていたのでどこかにあるはず、と思っていたら発見。実に8枚ものクラナッハだ。何時間でも見ていたかったが、入って2時間近くたってしまっていたのであきらめる。
一旦ホテルに戻り、傘を返してからまた出かける。妻が行きたいというジェルボーへ行き、昼食がてらケーキを食べることに。また雨が降り出す中、ジェルボーで妻が馬鹿高い飲み物と有名らしいケーキを注文、私はカプチーノとナッツトルテ。一口、まずい。ケーキやコーヒーは日本の基準からすれば高いものではないのだが、ハンガリーの標準からすればやけに高いし、ましてケーキの味は犯罪的だ。名物にうまいものなしというが、観光客目当ての店は所詮こんなものだろう。
雨がひどく、観念して折り畳み傘を買う。999フォリントだから特に高いわけではないが、ばつのわるさもあって気分は良くない。トラバントミニカーを1200フォリントで2つ購入。妻は中央市場でまたみやげ物探し、私はその横にあるはずのルドヴィグ美術館に・・・と思ったら、ない。そういえば移転場所の確認があいまいだったかなぁ、ホテルに戻ればインターネットも使えるのだから前日の夜にでもやっておけばよかったか、と思うがいまさらどうしようもない。その辺の道をうろうろ散歩、これはこれで楽しい。
待ち合わせの5時になり、集合。いくつかみやげ物を買って市場の上の店で揚げパンのようなものや魚フライなどを食べ、ビールを飲んで満腹になり、ゲッレールト丘に向かうことになった。トラムからバスに乗り換え、うねうねと山を登ってゆく。バス停に着いたが下りたのは我々だけ。道を歩く人も無く不安になる。一応ツィタデラにはついたようだが、本当に人気が無い。土産物屋も店じまい。大丈夫かなぁ、と思っていたら一応ぱらぱらと人は来ているようなので治安は大丈夫と言い聞かせながら夜景の時刻を待つ。ただ待っているのもつらいので要塞横にあるカフェで休憩。兄ちゃん1人と姉ちゃん2人で営業している模様で仕事というより騒いでいる合間に仕事をしているっぽい。そろそろ灯りがともり始めたので店を出るとき、邪魔なので背中にさしていた靴べらを指して何か言われたので抜いて斬りかかるまねをしてあげたら「ニンジャ!」と大うけである。妻は不機嫌になった。
だが、夜景は確かにきれい。ドナウ川を真ん中に王宮と市街が見え、その間にくさり橋。たしかにこの夜景は価値がある。ずっと見ていたかったが、妻がトイレを我慢しているからというので引き上げる。こういうところで時間を取れるのがツアーとは違うところのはずなんだけれど。
帰りのバスで終点のトラム乗り換え地点に到着しても一人のおじさんが爆睡している。電車で寝るのは日本人だけ、というのはありゃ嘘だな。
一旦ホテルに戻ったあと、くさり橋を近くから見に行く。順路が少しわかりにくかったが、くさり橋を往復してこれはこれでまたきれい。帰りの地下鉄乗り場を見落としたせいで長々と歩くことになってしまい、妻がまた激怒。
エレベーターで、昼に一度ドアを開けてあげたおばあさんがおじいさんと一緒に今度は我々のためにドアを開けてくれた。ナポリから来たそうだ。