怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

3日目

地下鉄A線。近未来的。

妻がそろそろチェコ料理を食べたくなってきたらしく、今日の昼夜はちゃんとしたチェコ料理にしたいという。昼はガイドブックに載っていた店にするそうだが夜は決まっていない。ということでインターネットで調べたある店にしようと思ったのだが場所がはっきりしないので朝散歩がてら下調べに行くことにした。
ヴァーツラフ広場の脇道なのでもしかすると治安が悪いかもしれないがそれならすぐ引き返せばいい。一人なら身軽だし貴重品も部屋に置いていけばいい。何より、1人で裏道を歩くのは旅の醍醐味でもある。
情報メモを手がかりに歩いてゆき、目指す場所はすぐに見つかったようではあったがそこはチェコ料理ではなく中華料理店。もしかすると移転したか閉店したか、それとも見当違いの場所なのか。はっきりわからないままもう一つの店を探しに行く。裏道で早朝だから人通りは無いが特別治安が悪いということはなさそうだ。ショーウィンドウをのぞきながら歩く。台所用品店があるかと思えばキャバレーがありリムジンが停まっている。これもプラハの一面だ。ヴァーツラフ広場にはチェーン店らしきホットドッグ店がいくつもあり、若者が立ち食いしている。まだ7時前というのに元気なことだ。それとも徹夜明けか。1人が何か声をかけてくる。「お前も食えよ!」ってところか。そうしたいがホテルの朝食を前に食べるわけにもいくまい。満腹ポーズでやり過ごす。少し貧相な身なりの男が近寄ってきて、小銭が無いかという。わからないふりをしてやり過ごす。物価の違いを考えれば、少しあげてもいいのかもしれないが、渡すともっと出せということになっても困る。暴力的な人物ではなさそうだが。もう1軒の店も全然わからない。もしかしたらなくなっているのかもしれない。ヴァーツラフ広場は地元の人々が利用するような店が結構あり、それはそれで興味をそそる。ベネトンの建物など地味ながら面白そうな建物もある。まだまだ見ていたいがあっという間に1時間経っており、ホテルに戻ることにする。
遅すぎたと妻はむくれているがともかく朝食。妻がチーズと甘いパンを食べまくっている。私は喉が渇いていてジュースを飲みまくる。小さなホテルの小さなレストランは満席になってくる。
今日はまず展望台に上ってみることにする。また1日券を買いう。売店は今日はおじさんではなくお姉さんがいるがつんけんした態度で応対している。だれにでもそうなのか人種感情かはわからない。言葉が通じないので手間がかかりいらいらするというのもあるだろう。
今日もカレル橋からのスタート。まだ9時過ぎなので店はあまり開いていないが、ガラス屋が1軒開いており、妻がそこで置物を2つ買う。1つは傷ありだったのを50コルナディスカウントしてもらい、2つで400コルナ。妻が満足そうなので何より。なんとかケーブルカーの駅にたどり着き、満員のケーブルカーで上る。途中の駅で妻が降りようとして周りの人にあわてて注意される。終点の駅から展望台を目指すと、なにやら階段を下りてくる人が見える。物好きで階段を下りているのだろうが、下りとはいえ疲れるだろうと思っていると、どうやら階段しかないらしい。どうしようと思ってもチケットは買った後。だまされた気分だが仕方なく上り始める。最初はどうということもなかったが、外が見えて風が吹き込む階段なのでだんだん怖くなる。引き返そうと思ったが気合で何とかたどり着く。でも帰りもあるんだけど。展望台はさすがにいい眺めでだがやはり足がすくむのであまり窓には近づけない。がんばって写真を撮る。下りは極力下を見ないようにするがどうしたって視線は下に来る。そこをなんとか踏ん張って、ようやく下ることができた。
妻がアイスクリームを買い、少し元気を取り戻して今度はストラホフ修道院に向かう。展望台のある公園から修道院への道がよくわからないが、おおよその見当でそちらに向かう。間違ったらかんしゃくを起こすだろうと思っていたが幸い到着。哲学の間を見に来たのだが、それらしいものがないうえにチケット代も安い。12時に閉まるというので見ているうちにちょうど12時。こういうところでお昼休みは珍しいが、おばあちゃんが係をやってるようなので仕方ないのか。
外へ出て、哲学の間はどこにあったのだろうかと思っていると、LIBRARYの表示が。どうやら今見たのはもう1つの観光場所で、哲学の間は別にあるらしい。なんだそういうことかと思ったが、ちょうど昼休み中だからどうせ入れない。まずはお昼にすることになったが、妻が予定していた店がない。もうこれもなくなってるのかなぁ、と思っているうちに王宮までたどり着いてしまった。王宮は人だかりがしていて、衛兵のような人が行進している。よくわからないが、皆さんにならって少し見て、そして土産物屋が多いという通りに向かう。妻が木彫りおもちゃ屋に入り飾りものを2つ買う。私は鉛筆型の鉛筆立てを欲しかったのだが、これは色鉛筆入れでケースだけは売らないというのであきらめる。ふたの無い奴に値引き札が貼ってあったのでちょうどいいやと思ったのだがあれはいったい何なんだろう。
いいかげんおなかも空いたので適当な店に入り昼食。私はローストポーク、妻はビーフグヤーシュ。獣臭いのは臭消しがうまくないのか、それとも肉がこういうものなのか。私は問題なく食べるが妻は苦手のようだ。付け合せのクネードリキやゆでジャガイモもあまりおいしくはない。こういうものなのか、それともこの店の水準が低いのか、なんとも判断できかねる。
トラムでまた修道院に戻り、やっと観光。哲学の間や標本類が素晴らしく、澁澤龍彦の随筆を思い出す。海外旅行にはほとんど行かなかった澁澤氏は晩年にヨーロッパに行っているはずだが、ここも訪れたのだろうか。ぜひ訪れていて欲しいところだ。
聖ミクラーシュ教会を訪問、モーツァルトの弾いたパイプオルガンなどを見る。夜ここでコンサートがあるらしい。こういうところで聞くクラシックは格別だろう。妻がなぜか関心を示し、じゃあ来ようかというところで合唱コンサートであることに気づき、急に興味をなくす。いやなら無理に行くことも無いのでじゃあどこかよそのに行けば、ということにする。
また旧市街に行き、旧市庁舎の展望台に登ってみることにする。チケット売り場はわかりにくかったが3Fにあるという表示をみつける。3Fからは専用のエレベーターでのぼるのだがこれが結構かっこいい。地下鉄の雰囲気もそうだが、近未来的な趣がある。上ってみると先ほどの展望台とはまた違う風景。赤い屋根が並んでいるが屋根の葺き替えをやっている人がいる。
日本語で声をかけられ、よく見るとどうみても外国人。アメリカからの観光客だが長野で3年間働いていたらしい。若いせいか非常にうまい日本語で驚く。彼と同じくメダルを作って別れる。
地上階の下にあるトイレに妻が入っているのを待つあいだ、長野くん一行が帰っていった。
一応一通りの観光は済んだので一旦ホテルに戻る。途中スーパーに寄りCAPPYを購入。CAPPYはうまい。
休憩した後、私はミュシャ博物館に、妻はその間自由行動になる。
ミュシャ博物館は思ったよりも小さいが「ハムレット」「4つの花rose」「MEDEE」など良い作品がある。美女のまなざしが印象的で、こちらをきりりと見つめる知的で意志の強い視線にひきつけられる。ショップも色々なものを置いているが、実物を見た後ではどんな印刷物も色あせてしまう。しおり20コルナを2つだけ購入。
ホテルに戻ると妻はまだ戻ってない。鍵は持っていなかったのでエレベーターホールの椅子で待つ。もしかしたら迷子になっていないか、犯罪に巻き込まれていないかと心配になるが、6時過ぎにのんきにご帰還。どうやら旧市街広場方面まで行っていたらしく、お土産まで買っていた。これからまた行こうということで行ってみる途中、洋服屋ジーンズを見るが裾上げがどうやら間に合わないようだ。当然か。TESCOならできる、近くだというのできょろきょろしていると市場で果物とかを売っていたおじさんが台車で運んでる途中トマトが盛大にひっくり返る。瞬間を。見てしまった。転がった奴を集めるのを通行人数人が手伝う。通行人のおじさんがインターナショナル人助けだなとか言ってて笑う。TESCOは結局見つからず、夕暮れの旧市街広場を散策。妻はホットドックが食べたいというが、こんな観光地よりもヴァーツラフ広場の店のほうがいいだろうと思い、そちらに戻ってみるが、立ち食いでかつ値段もそこそこするのを見て怒り出す。妻は昨日のDONNA PIZZAに行こうと言うが、同じ店では味気ない。どこというあてもないがそのあたりを歩いてみて、やや斜向かいの結構にぎわっている店に入ることになった。私はビールと料理、妻はリゾット。これがなかなか美味くてびっくり。夕食に関しては2日とも当たりだったと思う。
食後、ホテルに戻った後TESCOに行ってみるが閉店後。スーパーで雑貨を見たかったのだが、しかたない。
帰る途中、MUSTECAの駅で外人に「〜はこの線でいいのか」と聞かれる。それっぽかったので、そうだよ、Maybeと答えると、Maybe?おいおいGreatJobだな、と大笑いしていた。
今日もぐったりと就寝。