怠惰な日々

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イワンの馬鹿

鈴木大拙「日本的霊性」をやっと読了。
岩波文庫の青は昔はよく読んでいたが、最近はごぶさたなので、あまり読まないと脳が駄目になるのではと思い読み始めたのだが、もう遅かったようだ。
内容が、タイトルから受ける印象と違い、浄土真宗を中心とした土着の宗教心を紹介しているものだったということも原因かもしれない。
「聖なる愚者」という思想はどうやら世界中にあるもののようだが、この本を読むと浄土に最も近いのは小ざかしく立ち回っている者ではなく、愚鈍で実直な者たちなのだろうと感じられる。
では自分がそうなれるのかといえば、これはなかなか難しい。浄土を願うことこそがまた煩悩でもあるというジレンマを克服するには、頭で考えるだけでは駄目なのだ。
そういう意味では、鈴木大拙がこういった書物を著することが鈴木大拙自身にとって意味があると言えるのか、読み手にとって意味があるといえるのか、そんな疑問もまた悟りへの道の一里塚なのかもしれない。