怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

東京①

早起きといっても横浜に10時だから少しはマシなのか。みどりの窓口が開いてる時間だし。妻がおにぎりを作ってくれてるのも大きい。思った以上に助かる。
新幹線には無事乗り、いつもの席は間一髪で取られてしまったが、空いてるから大した問題ではない。炭水化物で爆睡して新横浜到着。初めての新横浜だが、これのぞみの停まらないレベルの駅だな。こだま駅よりはマシだけど、すごくこじんまりとしてる。
不安になりつつ乗り換えて無事に桜木町到着。寒いのでビル内で時間調整してから横浜美術館へ。
なんかおかしい、と感じたのも当然、なんと休館日。力が抜けた。何しに来たんだ。馬鹿だ。たいていの美術館は月曜日が休みだからまさかと思ってたが、国立新美術館の例もあるんだから完全に確認ミス。あーあ。
嘆いてるヒマはないので、テキパキ考えた末、東京ステーションギャラリーに行くことに。交通費もムダなら時間もムダ。もう二度と横浜美術館では失敗しないだろうが、余所ではまたやりかねない。
その東京ステーションギャラリーには11時前に到着。少しイライラしてるのがわかる。落ち着け。
「コレクションのドア、ひらきます」は明日か明後日あたりに予定してたもので、ここのコレクションがどんなものかちょっと見たくて来た。なので、飛ばすところは飛ばす方針。
コレクションに鉄道関係の作品が多いのは、なるほどと思わなくもないが、美術愛好家の目線から見ればちょっともったいない。もっとも、そういう作品ばかりというわけではなく、例えばピカソの作品も優れたものを所蔵している。そして一番だと思われるのが、イケムラレイコ「lying in redorange」。麻布に染み込む絵具が形づくる少女の寝顔。何度も何度も見惚れる。立ち去ってはまた戻り、堪能して離れてはまた見たくなる。入場料の大半はこの作品のために払っていると納得できる。
続いてSCAI THE BATHHOUSEでヴァジコ・チャッキアーニ「Moment in and out of time」。うっかり田端まで行って戻ったり、つくづくダメだ。東京のJRは路線が把握できてないからミスしやすい。予報よりずっと早く雨も降ってくるし最悪だ。銅像を引き上げて引きずる映像作品は、時代の変化を受け入れきれないまま磨り減ってゆく心を示しているようで心に残った。
次は駒込かと思ったところで手にドーナツがないことに気づき、考えた末東京ステーションギャラリーのロッカーで忘れたらしいとわかったので電話し確保してもらう。あったのはよかったし、都区内フリーパスだからお金もかからないが、相次ぐ失敗に打ちのめされそう。もうロス時間は1時間半以上だぞ。
お礼を言って紙袋を持って駒込へ。また道順を少し迷う。寒いし雨だからiPhoneの確認を怠りがちだけど、それじゃいけない。
ところが肝心の駒込倉庫はまだ会期前。なにやってるんだか。もう一つ、KAYOKOYUKIの鈴木光「MONTAGE」は見ることができたが、だったら駒込は土日あたりにして、他へ行けばよかったのだ。つくづくダメだ。3日目あたりから疲れで判断力が落ちてくることはあったが、初日でこれはひどい。やれやれだ。しかも駒込のどこかで手袋をなくした。こうなることを予想して片方だけのを持ってきてたとはいえ、初日はダメだろ。
新宿でバスに乗りケンジタキの塩田千春個展。これも京都と同じく糸を使ったインスタレーションで、こちらは黒糸に毛のないブラシ。京都は規模に圧倒される部分はあったが、こちらはブラシというのが想像力が刺激されてよい。隣のHAGIWARA PROJECTSの展示も、今井俊介、城戸保、松延総司、中崎透という4人のグループ展ながら統一性があって非常に良かった。
渋谷に移動し、ヒカリエでDavid Lynch版画展。新作「も」あるが、旧作が多いのと、作品としても「女と機械」が傑出しているくらいでレベルはそう高くない。とはいえ希少な機会。ありがたや。NANZUKAでは佐伯俊男「雲然」。この人の画風や題材は基本的に好きではないので寄り道程度なんだけど、ここはいつも外人さん多いなあ。たしかに欧米受けする日本の高級サブカルを扱ってるイメージはある。
雨の中よいしょよいしょと國學院大學博物館へ。学園祭ライブ以外で初めて来た。博物館は道路を挟んだ敷地の地下にあり、これがまた広い。延々と続く地下の展示室には圧倒される。これ、国立国際のフロアくらいあるんじゃないだろうか。特別展の「いのちの交歓−残酷なロマンティスム−」はその一画を使う形で、残りは大学の成り立ちや古事記神道関連の展示。これはこれで興味深いんだけど、今はじっくり見る時間はない。東京は色々奥深いな。住んでる時に訪れたかったが、あのころはまあ結構疲れてたし。
その「いのちの交歓」は、作品は岡本太郎関連が多いけれども、それが骨子というわけではなく、古くは縄文時代から現代に至るまでの人間や動物植物虫たちの命のやりとりをいろいろな角度から見せてゆくもの。食っては食われてきた歴史。命への敬意とかいうおざなりなものではなく、一種の必然としての交歓が示される。独特のキャプションにも気迫が感じられ、これはなかなかの展覧会。小粒とはいえ無料のレベルではない。せめてもと思い300円の図録を買ったがこれまた300円のレベルではないのでまたしても申し訳ない。展示は全体が良かったんだけど、作家として印象に残ったのは井上亜美。通俗に堕さずに投げつけてくる映像のインパクトと余韻は忘れがたい。
どうせ時間はないけど恵比寿まで歩いてJRで大塚へ。キッチンABCで大盛り豚からし焼肉。コショウを山ほど振った豚焼肉で、そのジャンク感が素晴らしい。空腹だからペロリと食べたが、量も相当多いし、こういう店は近所に欲しいなあ。大塚に来る事があったらまた行こう。
いつのまにか昔とだいたい同じ場所に戻ったらしいMISAKO & ROSENで八重樫ゆい「夏から冬までに」。評価のされ方がよくわからないので僕もまだまだだ。
少し時間があるのでブックオフに立ち寄った甲斐があって、OGRE YOU ASSHOLE「HOMELY」500円。棚のよくない店という印象だったし今回もそうだったのだが、買うものが1点あったんんだから大勝利だ。
開演時間の少しまえに大塚meetsへ。かなりの良ブッキングと思った割には混んでいるわけでもないから、ほんとみんな節穴なんじゃないだろうか。
グルパリさんにドーナツを渡したあと、最初が大河内大祐。お名前はかねがね聞いており、なるほど掻き毟るような歌だった。
ふゆふきうどんは以前大阪でよくやってた大暴れライブ。普通にライブやったらこんな実力ある人はいないのに、それは自分でもわかってるだろうにこうなっちゃうのは憎めないところ。でも歌をもっともっと聞きたかったというのも正直な感想。新しいCD出すそうなので、来阪を期待したい。
片岡フグリさんのソロはずいぶん久しぶり。ノイカシを知る以前だし、もう4〜5年前じゃないだろうか。ソロはナルシスティックな節回しの弾き語りで、僕はやはりノイズの方が好みではある。
グルパリさんは今回わりとさらっとした印象。このあたり、共演や場所によって変わってくるのかもしれない。絵日記欲しかったけど、リクエストしておけばよかった。
鼻ホームランの林は、4人編成の森からメンバー欠けでいるためのネーミング。フル編成ではないしましてや6人時代の音ではないけれども、3人でもバンドはバンド。久しぶりの鼻ホはノスタルジックで、山下さんも変わってない。大阪では見ることのできない、今日一番のレアライブだった。
終わって少し挨拶などしてホテルへ。荷物は重いというより、今日のような日は忘れ物の遠因になるし地味にトラブルの原因になっているようだから、やはり極力預ける方向で考えよう。今回なら上野で途中下車とかできたわけだし。
カプセルホテルはいつもどおりだし空いてるし、今回はレアな横型でラッキーだったのだが、やけに神経質な人がおりうるさい人を怒鳴りつけて大騒ぎしてた。まあ確かにうるさかったのだが、そこは耳栓とか自己防衛でいこうよ。カリカリした人が多いな、東京は。