怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

朝早く、といっても6時だからほんの少し早起きして近鉄電車に乗車。
うとうとしながら乗ってゆく。そういえば昔赤目で、とか名張で、とかいろいろ思い出す。ああいう旅こそ記憶に残る。
青山町で乗り換え。青山町、近鉄電車の行き先としてよく名前は見るがただの田舎だな。榊原温泉口駅で下車。
ただ一人、てくてく大観音寺&ルーブル彫刻美術館へ。俺も物好きだな。
大観音寺の受付してるおばあちゃんから券を買って中へ入る。おばあちゃんは無類に親切で、いろいろ世話焼きしてくれる。正直、ここで真っ当な意味で一番のコンテンツはこのおばあちゃん。
僕が物好きだからこんなところにわざわざ、しかも2000円も払って来ているだけで、普通は来ませんよ。と思ったら数組の客が来てるから、土日はもう少しいるんだろう。それでも大赤字には違いないが、まあお寺がやってるから。
大観音寺のほうは、まあお寺といえばお寺なんだけど、俯瞰してみると妄執に囚われた異様な世界が展開してて、そういう視点から見るとまあまあ面白い。そして営業中なのに妙な廃墟感もあって、そういう点でもちょっと変でちょっといい。
ルーブル彫刻美術館のほうは、これも彫刻の複製と言われるとまあその通りなんだけど、グチャグチャバラバラに詰め込んだところがどうにもこうにもやはり妄執。これは絶対に美術ではない。田舎の家にある飾り棚そのままである。ルーブルの人も来たらしいが、顔には出さなくても衝撃だったのでは。
この近辺に潰れた飲食店を二つ見かけたけど、こんな施設でも開業当初はガイドブックに載り客も来て賑わってたし、それを当て込んでたのかなと思うが、その空想の光景を重ねるとまあいろいろと悲しい施設ではある。時価5億円のなんとかとやらは売っちゃったのかな。金庫は空になってたけど。それか、ガードマンの経費が重たくなって展示をやめたのか。
合計2000円の入場料、高いけれども行かなければずっと宿題になってしまうのでこれはこれでいいか。こんなの見たくてもなかなか見れないよ。
榊原温泉口からとことこと伊勢中川、そして名古屋へ。電車内でまたうとうとする。少し早起きはしたが、睡眠不足なんだな。
お昼は名古屋らしいものと思わなくもないが、まあこだわらずに、あかつ亭へ。これだなと決めていたほうれん草とポテトが売り切れでやむなく大根とサバのカレー。ただ、和風出汁の風味はあるものの、これサバはどこに入ってるんだろう。完全に溶け込んでるのかな。大根の存在感とは対照的。カレーもぬるいというか常温くらいのもので、これはちゃんと作ってるのかどうか疑わしくなる。味はパクチーの香りがうまくバランスを取っれていて風味のバランスがよい。本来はもっと美味しかったはず。
バスで名古屋市美術館へ。平日とはいえさすがシャガール、結構お客さんは多い。という「シャガール展 三次元の世界」。シャガールの現実を夢に変換したような絵画の世界をさらに立体に変換した作品群は、そのエッセンスのところが凝縮されているものでもあるが、実はそこで切り離された部分こそがシャガールの魅力を形作っているともいえる。デッサン・写実にとらわれない絵画は意匠のような彫刻になり、それがシャガールの一面を強調している。
たど、いい作品もいくつかあるとはいえ、全体に満足とまではいえない。シャガールファンなら違う感想もあるだろうか。
地下の常設展はおおむねいつも通り。作品の入れ替えが少ないのは所蔵の乏しさが原因ではないと思うんだけど。今回は塩田千春作品が寄託で2点出ていた。いいなあ。
ケンジタキギャラリーで田中信行展。知らない作家だったが、物体の美しさがあって意外にいいものだった。
明日見にいく「ビルディング・ロマンス」展の前売券を探してみたが名古屋市美術館にも愛知県美術館にもどこのプレイガイドにも見当たらず。美術館ですら扱ってなければプレイガイドは無理か。そういうものなんだろう。しかしポスターやフライヤーもないというのはなんだろう。仲悪いのか。チケットは結局ローソンで購入。味気ない。
そんなわけで今日の宿へ。途中、バナナレコードの本店で野佐怜奈「DON'T KISS, BUT YES」880円。後日聞いたらなかなかの名盤だったのだが、帯がわずかに切れてるとかの表記はいらんからケース割れのほうを書いてください。
さらに途中、バナナレコードの名古屋駅前店でcolleen「Les Ondes Silencieuses」880円。
福屋ホテル(または福屋ホステス)は駅からそう遠くない一角にあり、けっこう小さな4階建。仕様はよくある安宿なのだが、ベッドが雨に打たれたらしくかなり汚い。誰か窓を開けっぱなしにしてしまったんだろう。シーツは清潔らしいがスリッパや毛布はどうだろう。僕は大丈夫どが、大丈夫じゃない人も多数いるだろうな。
とりあえずシャワーを浴びて、あらかじめ目星をつけておいた丸勝という店へ。ところがこれが満席とのこと。見たところ空席はあるので、予約とかそういうことなのだろう。ここで何時なら空くか聞いておけばよかったのだが、そこまで気がまわらず仕方なく外へ。ほかにあてもないのでどうしようかと考えて思いついたのが遊廓跡の探訪だった。ここから遠くはないはずだし、ひと回りして戻ったら店も空くだろう。
というわけで中村遊廓跡へ向かったのだが、いやはや寒い。シャワー浴びたのもまずかったが、それにしても寒い。なんじゃこれは。
遊廓はいまも風俗街ではあるようだが、ソープが10軒ほどで、それ以外の業態だとか関連商売はあまり目につかない。ソープの隣にファミリーマンションというのも珍しくなく、なんとなく埋没感すらある。
しかし区割りが比較的ちゃんと残ってるのと、当時の建物がいくつか現存しているのが見所。恥ずかしい歴史ではなく、多少の誇りも含めて街が在るという印象。
また、やはり古びた建物やしもた屋も数多くあり、そうしたものも含めてかなりの観光になった。これは行ってよかった。ライブばかりが能じゃないな。
あっという間に1時間以上経ったのでどうかなと思いまた丸勝へ行ってみたがやはり予約満席とのこと。予約とかそういう店には見えないんだが、ネットの時代だからね。はいはい。
しかし今さら角屋に行く気にもならないし、どうしたものかとおもったが、まあ折角なので台湾まぜそばでも食べるかということではなびという有名店へ。閉店間際だったが無事間に合い、定番の台湾まぜそばを注文。茹で上がっても店員は延々ほかの仕事してるので大丈夫かと思ったけど大丈夫でした。
寒い中宿に戻り、珍しくテレビ見たりして就寝。あっという間に熟睡。