怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

オリジンで弁当を買う。この時間に数人客がいるというのが不思議だし作り置きもあるというのもまた不思議。新大阪から新幹線。最後尾の最後席を確保。というか、そもそもお客さんもそんなに多くないので全然余裕。最後席なので充電もできるし人通りもほとんどなく落ち着いているのでよく眠れる。ここはなかなかいいかもしれない。降りる時も実はそんなに遠くないし。
おおむね1時間余り爆睡し、新横浜で起床、20分で弁当をかきこむ。朝買った弁当だがそこそこ冷え切っていておいしくはない。本当はパンくらいのほうがいいんだろうが、それだと昼食休憩が必要になるし、難しいところ。
上野でまずホテルへ行き荷物を預かってもらう。幸いおじいさんが居て、チェックインができた。これが毎回通じるかどうかはわからないが、夕方もう一度行かずに済んでラッキーだった。
ナスタロウでライアン・ガンダー「In practice simplicity has never been a problem」。小さく気の効いた人形が等間隔で延々と並ぶのは確かにアートで、これをバラにしたらダメなんだろう。
IMA CONCEPT STOREで荒木経惟「センチメンタルな旅 – コンプリート・コンタクトシート」。僕は冬の旅との合本でしか見たことがないので、そういう意味でも新鮮な写真が並ぶ。また、旅の経過がリアルに進んでいくのもいい。夫人の心中はどうだったのか知らないが、なんにせよ性愛のシーンよりもそうしたものを排除した写真が素晴らしい。そこかしこで脱がせているアラーキーには悪いけど、でもそれは間違いない。
タカイシイで吉野英理香「NEROLI」。
OTA FINE ARTSで草間彌生モノクローム」。中国人の家族が来ており、クサマ人気が知れる。ここは草間の近作もよくやっているが、やはり旧作のほうがずっといい。とはいえ、それでも最近は食傷気味かなと思う。僕なら買わない。なあんてね。
ゼンフォトで有元伸也「TOKYO CIRCULATION」。眼力の強い写真で、東京の写真ながらアジアの風がある。
ミズマで会田誠「はかないことを夢もうではないか、そうして、事物のうつくしい愚かしさについて思いめぐらそうではないか。」。弁当の容器に立体的なペイントを施した作品が延々と並ぶのだが、実はこれ作家のステートメントこそが作品なのではないだろうか。そういうメタな構造をもった展示かと思う。
東京ステーションギャラリーで「12 Rooms 12 Artists UBSアート・コレクションより」。ルシアン・フロイドの作品が多いもののほとんどが小品でこれは期待外れかなあ。良かったのは荒木経惟「切実」でこれはもう素晴らしいの一言。それに尽きる。小沢剛、スーザン・ローゼンバーグもよかった。
不忍画廊で「線の芸術」ドローイング展。池田俊彦目当てであったが、初見の箕輪千絵子がよくて霞んでしまった。旧職場の近くだというのに行ったことがなかったなんて、ほんと馬鹿だな。リーフレットを購入。
資生堂ギャラリー石内都「Frida is」。石内都がそれほど好きというわけではなかったのだが、フリーダ・カーロを彷彿とさせる遺品の数々が瑞々しくそして鮮やかに立ち上がっていて、さらに色鮮やかな壁面と相まって印象的。これも素晴らしい。ここは場所柄美術展にそんなに興味のないひとも多いのだが、そいういう人たちを一瞬で引き込む力がある。作品はここに展示された物以外に多数あるはずなので、ぜひ本格的な展示をお願いしたい。
エルメスで「奥村雄樹による高橋尚愛」展。これは最近奥村雄樹が手がけているシリーズになるけれども、奥村雄樹や高橋尚愛による作品は添え物で、本質はインタビュー映像だろう。この目まいがしそうな仕掛けは真骨頂。
シャネル・ネクサス・ホールでカルロス アイエスタとギョーム ブレッションによる共同写真展「Retrace our Steps – ある日人々が消えた街」。技術の高さを見せつける写真はそれなりに鮮烈ではあるが、だからこそ作り物のような嘘臭さを拭いきれない。僕はそこがどうも受け入れがたいし、技術的には劣っているくらいのほうが生々しく恐ろしいと思う。シャネルの社長が目を留めてこのプロジェクトが陽の目を見たようだけど、ハイブランドならではの薄っぺらい発想だよなと思わざるを得ない。
さすがに空腹になり、なにか食べないとと思いつつ、場所柄どこに行ったって高いしそもそも時間的にも昼食的なものはどこに行けばと思っていたところ、たまたま木村屋を見かけ、そういえば有名なあんパンを食べたことがないなと思い、この機会に買ってみる。
日動コンテンポラリーアートで「Identity XII – 崇高のための覚書 ―curated by Taro Amano―」。有名ギャラリーなのに初めて行ったという己の間抜けさだが、お目当てだった小西紀行が良い。さすがにいいお値段だったがやはり欲しくなり値段を聞いてみるもすでに売約済みとのこと。少しほっとした。ただ、片手ならどうしても無理ってほどでもないから、いい作品さえあれば次こそは。
七針に行く前にローソンでコーヒーを買おうと思ったら取り扱ってないと言われ眼が点。そういう店もあるのか。狭くはないんだけどな。セブンで買って木村屋のあんパンを食べる。あんこはまあまあおいしいけど、パンは別にどうってほどのものでもないし、桜の塩漬けはおいしいけどそれでこの小さなパンがこの値段かという気持ち。場所柄仕方ないことだろうけど、一度食べれば十分だよなあ。
ライブは
木目鳥
quiet finis
Gargle
tAk & Demont
の順番。初めて見た木目鳥が音といい構成といい、格別のよさ。quiet finisも悲しげにもの憂げにの演奏がいい感じ。メインアクトのtAk & Demont(from France)はDemontのライブペインティングがいい出来で、版画よりそっちを売ってほしい気持ち。作りこんだものでないから作品とは扱いたくないのかな。王舟くんの台湾土産を食べてたりするところも七針らしく、いいライブでした。少し早目に終演。
上野で富士そばに行ったが大盛りと言い忘れ悲しい思い。この種の失敗は何度も繰り返すことになる。
ホテルに戻り、簡素だが一応清潔そうな風呂場でシャワーを浴びる。宿は旅館というより下宿屋のようなつくりで、もしかしたら元々はそういうものだったかもしれない。おおむね満室のはずだが静かだ。エアコンは点けず、窓を開けて寝た。